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本編 神も悪魔も幽霊嫌い
3 仲間じゃん。おれたち
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「地獄の底より我が声に応えよ!我が魔力を糧に再び戦場へ参れ、黄泉の戦士よ!!」
聖都の入口では人間と死霊軍の闘いが始まっていた。
さすがは神々を信仰しその加護を受けた国家なだけあり、アンデットをメインに編成する死霊軍には分が悪い。
だが、リーヴァイの挑発に乗ってしまった以上、やるしかない。
俺は戦場で死んだ人間を早速死霊軍の一員として召喚した。
死んでから時間が経っていないため、肉や内臓が残ったままで見た目はゾンビ状態。
俺たちは見慣れているが、人間には見た目にもおぞましい最適の人材のようだ。
「た、隊長。ヴァネット様。今日は張り切ってますね」
「あ、あぁ。いつもあんな熱いお方ではないのだが・・・」
ふふふ。部下からの眼差しを感じるぞ!これで、今日は俺も帰ったらみんなと料亭で地獄鍋をつつくぞ!
「ゆけ!我に逆らう愚か者に裁きを!」
ここは戦場。死霊使いの俺には手駒があふれて仕方ないぞ!
いける!この感触はいけるんじゃないか!
「闇夜の死者!来いっ!」
「御意」
戦場の中を頭部のない馬を馳せ俺の腹心が駆け寄ってくる。
「戦況を報告せよ!」
「現在、聖都入口部分はほぼ制圧完了しております。このまま市街区、城門へ兵を進めて参ります。ヴァネット様による援軍により、士気も高まり、人間兵は後退を始めております。報告によれば、すでに城からの撤退も開始されている模様です。いかがしましょうか」
俺に跪くライダー。
き、気持ちいい。ずっとなかったこの高揚感。戦場で血肉湧き上がるこの感覚。
兵と一丸になり、敵に戦いを挑むこの瞬間。
先代魔王様の時は、勝てない勇者に噛ませ犬のように使われ、一瞬で浄化されて終わったこともある。死ねない身体だからと、首だけ切り取られて道案内に使われた時代もあった。
それが今、嘘のような快進撃!。さらに失いかけた部下の信頼も取り戻し、一丸となり成し遂げるこの満足感!
「さ、最高だ」
「・・・はっ!最高でございます!ヴァネット様のご活躍の賜物です!我らはどこまでもついていきますぞ!」
しまった。思わず声に出てしまった。
「ゴーストライダーたちは街の東門へ廻れ!人間を逃がすな!だが、深追いをするな、我にはお前たちが必要だ。死なれては困る。我はこのまま城まで突き進もうぞ!目的地は城だどこかでまた会うだろう」
「し、しかしそれでは誰がヴァネット様を守るのですか!?」
「我は死霊軍が将軍。死霊使いのヴァネット!魔王様腹心の一人にして、最強のヴァネットなり。人間ごときに遅れは取らん!!兵をいくらか連れてさっさといけ!」
「ぎ、御意・・・。必ず、来てください。ヴァネット様!」
ライダーは正門を再び外へでて、聖都を囲っている城壁を外から大きく周り東門へ向かう。兵を連れて東門へ走っていく。
兵を連れて・・・。
「あれ?」
俺の背後には、新参者の部下しかいなくなった。
つまり、この戦場で作り上げた兵士のみ。
古株の兵たちはみなゴーストライダーについて行ってしまった。
戦力の7割程度、ゴーストライダーと共に東門へ・・・。
「敵が減った!今こそ押し返せぇ!!」
人間が息を吹き返し応戦してくる。
できたばかりの死霊兵は使いにくい。意思の疎通も、動き方も慣れていないので戦力としてはかなり弱いのだ。
まずい。まさか、ここまでゴーストライダーに人気があるとは・・・。
(いくらかの兵をとは言ったが、まさか正規軍全て連れて行くとは)
俺はただひたすらに死霊の召喚をし続けた。
「も、ものには限度が有るぞ・・・」
俺は永遠と死霊の召喚を行っている。
なにも、今日死んだものが対象ではない。いつ死んだのかわからないような骸も今は老体にむち打って頑張ってもらっている。
「地獄の底より我が声に応えよ!我が魔力を糧に再び戦場へ参れ、黄泉の戦士よ」
一体、何度言えばいいのだ?疲れたし、飽きてきたぞ。
目の前では召喚しても召喚しても人間になぎ払われる新規死霊軍。
粉塵が東の方で巻き上がっているのを遠目で見ると、ライダー達は着実に中心部へと進行していることがわかる。
かと言って俺の方は・・・。全く進まない。
「邪魔をするな!人間!!」
俺は怒りのあまり声を上げて叫んだ。
邪魔だ、邪魔だ。邪魔だ!!
こいつらがいなければ、こいつらが早く死ねばライダー達よりも先に城へ行き、俺の凄さを見せつけるチャンスだったのだ。
『いつも安全地帯にいる』
『部下の苦労がわかっていない』
『直ぐに帰っちゃう』
そんなレッテルを貼られた以上、ここは威厳を取り戻し、部下からの熱い眼差しを得るためにもここで足踏みをしているわけにはいかないのだ!
「ダークフレア!!」
俺は右手に魔力を集中させ、人間に向かって魔界の炎を放つ。
その炎はいくつかの新参兵を巻き込みながら人間を包み込み、物言わぬ肉片へと変える。周囲には肉の焦げる匂いが漂っている。
「ふん・・・。初めからこうすればよかったな」
俺はそのまま焦げた肉の山を踏みつけ先へ急ぐ。
「人殺し・・・」
背後に声無き声が響いた。
おかしい。背中を取られるとは・・・。人間が生きていたのか!?
俺は焦る気持ちを隠して、後ろを振り返った。
聖都の入口では人間と死霊軍の闘いが始まっていた。
さすがは神々を信仰しその加護を受けた国家なだけあり、アンデットをメインに編成する死霊軍には分が悪い。
だが、リーヴァイの挑発に乗ってしまった以上、やるしかない。
俺は戦場で死んだ人間を早速死霊軍の一員として召喚した。
死んでから時間が経っていないため、肉や内臓が残ったままで見た目はゾンビ状態。
俺たちは見慣れているが、人間には見た目にもおぞましい最適の人材のようだ。
「た、隊長。ヴァネット様。今日は張り切ってますね」
「あ、あぁ。いつもあんな熱いお方ではないのだが・・・」
ふふふ。部下からの眼差しを感じるぞ!これで、今日は俺も帰ったらみんなと料亭で地獄鍋をつつくぞ!
「ゆけ!我に逆らう愚か者に裁きを!」
ここは戦場。死霊使いの俺には手駒があふれて仕方ないぞ!
いける!この感触はいけるんじゃないか!
「闇夜の死者!来いっ!」
「御意」
戦場の中を頭部のない馬を馳せ俺の腹心が駆け寄ってくる。
「戦況を報告せよ!」
「現在、聖都入口部分はほぼ制圧完了しております。このまま市街区、城門へ兵を進めて参ります。ヴァネット様による援軍により、士気も高まり、人間兵は後退を始めております。報告によれば、すでに城からの撤退も開始されている模様です。いかがしましょうか」
俺に跪くライダー。
き、気持ちいい。ずっとなかったこの高揚感。戦場で血肉湧き上がるこの感覚。
兵と一丸になり、敵に戦いを挑むこの瞬間。
先代魔王様の時は、勝てない勇者に噛ませ犬のように使われ、一瞬で浄化されて終わったこともある。死ねない身体だからと、首だけ切り取られて道案内に使われた時代もあった。
それが今、嘘のような快進撃!。さらに失いかけた部下の信頼も取り戻し、一丸となり成し遂げるこの満足感!
「さ、最高だ」
「・・・はっ!最高でございます!ヴァネット様のご活躍の賜物です!我らはどこまでもついていきますぞ!」
しまった。思わず声に出てしまった。
「ゴーストライダーたちは街の東門へ廻れ!人間を逃がすな!だが、深追いをするな、我にはお前たちが必要だ。死なれては困る。我はこのまま城まで突き進もうぞ!目的地は城だどこかでまた会うだろう」
「し、しかしそれでは誰がヴァネット様を守るのですか!?」
「我は死霊軍が将軍。死霊使いのヴァネット!魔王様腹心の一人にして、最強のヴァネットなり。人間ごときに遅れは取らん!!兵をいくらか連れてさっさといけ!」
「ぎ、御意・・・。必ず、来てください。ヴァネット様!」
ライダーは正門を再び外へでて、聖都を囲っている城壁を外から大きく周り東門へ向かう。兵を連れて東門へ走っていく。
兵を連れて・・・。
「あれ?」
俺の背後には、新参者の部下しかいなくなった。
つまり、この戦場で作り上げた兵士のみ。
古株の兵たちはみなゴーストライダーについて行ってしまった。
戦力の7割程度、ゴーストライダーと共に東門へ・・・。
「敵が減った!今こそ押し返せぇ!!」
人間が息を吹き返し応戦してくる。
できたばかりの死霊兵は使いにくい。意思の疎通も、動き方も慣れていないので戦力としてはかなり弱いのだ。
まずい。まさか、ここまでゴーストライダーに人気があるとは・・・。
(いくらかの兵をとは言ったが、まさか正規軍全て連れて行くとは)
俺はただひたすらに死霊の召喚をし続けた。
「も、ものには限度が有るぞ・・・」
俺は永遠と死霊の召喚を行っている。
なにも、今日死んだものが対象ではない。いつ死んだのかわからないような骸も今は老体にむち打って頑張ってもらっている。
「地獄の底より我が声に応えよ!我が魔力を糧に再び戦場へ参れ、黄泉の戦士よ」
一体、何度言えばいいのだ?疲れたし、飽きてきたぞ。
目の前では召喚しても召喚しても人間になぎ払われる新規死霊軍。
粉塵が東の方で巻き上がっているのを遠目で見ると、ライダー達は着実に中心部へと進行していることがわかる。
かと言って俺の方は・・・。全く進まない。
「邪魔をするな!人間!!」
俺は怒りのあまり声を上げて叫んだ。
邪魔だ、邪魔だ。邪魔だ!!
こいつらがいなければ、こいつらが早く死ねばライダー達よりも先に城へ行き、俺の凄さを見せつけるチャンスだったのだ。
『いつも安全地帯にいる』
『部下の苦労がわかっていない』
『直ぐに帰っちゃう』
そんなレッテルを貼られた以上、ここは威厳を取り戻し、部下からの熱い眼差しを得るためにもここで足踏みをしているわけにはいかないのだ!
「ダークフレア!!」
俺は右手に魔力を集中させ、人間に向かって魔界の炎を放つ。
その炎はいくつかの新参兵を巻き込みながら人間を包み込み、物言わぬ肉片へと変える。周囲には肉の焦げる匂いが漂っている。
「ふん・・・。初めからこうすればよかったな」
俺はそのまま焦げた肉の山を踏みつけ先へ急ぐ。
「人殺し・・・」
背後に声無き声が響いた。
おかしい。背中を取られるとは・・・。人間が生きていたのか!?
俺は焦る気持ちを隠して、後ろを振り返った。
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