神速の凡才剣士

藤堂 鷹獅

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11話

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トントントントン…
「…」
トントントントン…
「…」

え?いないのかな?
でも中の電気付いてるしなぁ…

トントントントン…


「うるせぇぇ!!!」

「どわ!痛!?」
急にドアが開いて…そのドアが俺の頭に直撃して…てか、痛ぇ…

「なんのようだ?てか、お前、誰?」
そこには、すらっと細身で真っ黒な髪を目にかかるくらいまで伸ばした長身イケメンが立っていた
「あ、初めまして!今日から、隣の部屋に住むことになった!トウヤ=キリュウです!よろしくお願いします」

「そうか…よろしく」
バタン
扉を閉められた
え!?!?反応薄くない!?もう少し、ほら!なんかあるじゃん!

「2年のトミル=ケマーニだ…うるさくしたら殺す」
あ、反応してくれた
部屋にいるときは静かにしようと心に決めた



気を取り直して、次に行こうと思う
目の前にあるのは972室
トントン…
前回(トミルさん)に怒られたので少し控えめで
「はいはーい、ちょっと待っててくださいね~」
ん、なんか聞いたことある声だぞ
足音が近づき、扉が開かれた
「あれ?トウヤー?どうしたーの??」

はいはい、あなたはここの部屋でしたか
サーシャ=キャリエス
「今日から、隣に住むことになった。よろしく。じゃ、他のとこも行かないと行けないから」
こういう時は、素早く手短に要点だけを伝えるに限る
「ちょちょちょ、ちょっとくらい話ししてってよ」
やだよ、長くなりそうだもん
「ごめんなー、また後でくるから!」

「ゆったねー?ちゃんと話し相手してよね!」
そして、ドアが閉められる 
やったー!乗り切ったぞー!
勝手にガッツポーズがでていた
「何、ガッツポーズしてんの?」

「いや、なんでもありません」
いつの間にかサーシャが外に出ていた
びっくりしたー…

さて、次は973室
さっきと同じ要領でノックしてみる
「はい、どなたですか?」
まてまて、この声は
「…トウヤだ」

「おお、トウヤか!どうした?」
なかなか出てきたのは
ヴルム=シュナイデンだった
「今日から、971室に住むことになった。よろしくな」

「おお!お前もこの階の住人か!とゆうことはシェニアさんか…まぁ、よろしくな!」
握手を交わす
ん?シェニアさんがなんだって!?
「なぁ、ヴルム、シェニアさんがどうしたって?」

「いや、なんでもない!気になるなら本人に聞いて!それじゃ!」
バタン

なんかめっちゃ気になるな
そして俺は、残りの部屋(2部屋留守だった)の挨拶回りを終えたのだった
いろんな人がいたけど、楽しく過ごして行けそうだ

そして俺はシェニアさんに言われた通り、シェニアさんの部屋の前に来ている
なんか、緊張するな…
とんとん
「どなたですか?」

「トウヤです」
鍵が開く音がして扉が開く
「中に入ってくださいまし」

「は、はい」
シェニアさんに言われるがままに部屋に入っていく
って、何俺は普通に女の人の部屋に入っているんだ!?
「どうしたんですの?」

「いや、なんでもないでしゅ!?」
やばい…噛んだ…痛ぇ…
中は、白と黒を基調としたゴシックな部屋だった
家具もとてつもなく高そうだ
「そこにお掛けになってですわ」

「はい」
出た、ですわ節
椅子に腰をかける
間も無くすると、シェニアさんが紅茶とお菓子を持って来てくれた
「どうぞ、お飲みになってですわ」

「それでは頂きます!」
この姉妹…紅茶好きだな
ん?この紅茶すっごい美味しいぞ
「どうですか?」

「すごい香りが良くて…美味しいです」

「それは良かったですわね」
満足そうな顔をしている

「こほん」
シェニアさんが咳払いをする
ここからが本題だと言わんばかりに
「トウヤ、どうですか?このフロアは」

「いいとおもいます。お二人ほど会えてないのですが、他の人たちもいい人ばかりで…」

「喜んでもらえて何よりですわ」
気品のある笑い声をあげる
「この9階フロアは選ばれた人しか住むことができないのですわよ?」

「そうなんですか!?」
やっぱりなんかあるのか…この階は
会う人会う人、強者のオーラや雰囲気をまとっていた
「基本、このフロアに住んでいる人に実力を認められ、推薦された人しか住むことができないんですの」
ということは、俺は認められたのか
ちょっとむず痒いな
「トウヤは勝手ながらわたくしが推薦させてもらいましたわ」
さっきヴルムが言ってたことはこのことだったのか
それにしても、シェニアさんは俺を認めてくれてたのか…嬉しいな
「わたくしは、わたくしと同等かそれ以上の方が現れたら、推薦するつもりでいたんですわ。ですが、1つ下の世代にはいませんでしたわ…ですが、その下にあなたが現れたんですの」
そうか…シェニアさんは自分の後釜を探していたんだ
少し遅ければこの部屋に入ることもなかったな
「初めてあった時のこと覚えていますか?」

「はい。噴水通りですよね?」
迷子の俺を助けてくれたんだったっけ
めっちゃ罵倒された気がするけど…
「あの時、わたくしは思ったんですわ。この男は強いと」

「そうなんですか?」

「まぁ、妹を毒牙にかける不届きものってことは見破れなかったですわ」

「だから!手は出してないですよ!」
この人絶対シスコンだ
「わたくしは、妹に嫌われたかもしれないですわね」

「なぜですか?」

「まぁ、いろいろですわね!」
なんだ?気になるな
「それでも、貴方には強くなってほしい。これは本心ですわ」
もしかして、俺を助けてくれたのも、情けをかけてくれたのも…この為に?
そう思うと、少し泣きそうになった
「わたくしがこの学園を卒業する前にわたくしを超えて見ることですわ!」
ビシッと俺の事を指差す
(そうか…この人は俺に期待してくれてるんだ)
この人には、いずれ恩返ししないとな…
戦いで!





「絶対に貴方を超えてみせます」

「望むところですわ」
そして、俺とシェニアさんは拳を軽くぶつけたのだった

俺は、絶対に強くなる
期待してくれている人のためにも
そう決めた時だった



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