第一次ネトゲ戦争

ごっちぃ

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1話

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 「…茂、いつまで部屋に篭ってるの。いい加減学校に行ったら?」
 母の声がした。彼にとっては数週間ぶりだろう。毒島茂。日夜ネットゲームにのめり込む、不登校の高校生。
 「…あぁ、行くわ」
 「本当!?」
 毒島はパソコンを閉じ、部屋の扉を開け、久しい母の顔を見る。窓から差し込む光が彼を照らす。
 「茂、貴方、…臭いわよ。お風呂入りなさい」
 茂はこれまた数週間ぶりのシャワーを浴びた。ボサボサの髪をテキトーに整え、数ヶ月ぶりの制服に腕を通す。
 「茂、何で急に行く事にしたの?」
 朝食を食べている時に話しかけてきたのは、彼の姉、毒島凛花。彼と同じ学校に通う高校二年生。
 「…今日転校生が来るから」
 「…またお得意の未来予知?ホントに当たるから怖いのよね。にしても、何で転校生が来るからってアンタが行く事になんのよ、もしかして超美少女?」
 「んじゃ行ってくる」
 姉の言葉を無視して、彼は家を飛び出した。


 「おい、毒島じゃね?久しぶりだな!」 
 学校に着くや否や、クラスメートらしい人々に声をかけられる。今も自分の席が確保されていた事が驚きだ。
 「あぁ、まぁ…」
 「お前さ、コレやってる?」
 男子生徒の一人がスマホの画面を見せて来る。それは毎日毎日見てきた、とあるゲームのタイトル画面。
 「FPSっつってさ、最近スマホ版が海外から配信されて、今大人気なんだよ」
 「あー、そうなんだ。今度やって見るよ」
 「んなこと言わずに、今やってみろって。ほら、俺の端末貸すからさ」
 毒島は言われるがままに端末を受け取る。
 「ここを押してな…って、操作方法分かんのか?」
 毒島に操作の説明など必要なかった。
 「まぁ、似たようなのやったことあるから」
 戦闘が始まった。
 まず全員が輸送機で運ばれ、各々好きな場所に降り立ち、戦闘する。操る男が降り立ったのは、都心部。誰でも最初は一般人のような服装だ。
 毒島はいつも通り、ゲームの中の自分と重ね合わせる。
 (…あの家には…二人か。見るからに動きが素人だな。辺りの武器は全部回収されたな。仕方ない)
 画面内では、一人の男が二階建ての家へと入って行く。待っていたのは、銃声のオンパレード。二人掛かりで待ち伏せしていたのだ。が、男は既に背後に回り込んでいた。初期装備のまま、防弾チョッキを着けず、拳一丁で。偶然落ちていた発煙弾を投げ付け、煙の中で二人の敵を拳で撃破した。
 (…チームで固まってるな。ここら一帯の武器は奪われてるとして、となると、かなりの重装備かもな)
 男は倒した相手から拳銃M1911、言わずと知れたアサルトライフルAK-47、HK416、防弾チョッキ、手榴弾二発を奪い取る。
 敵二人は当然、男の立て籠もる家屋へ侵入する。が、二人は扉が開けっ放しである事を深く捉えなかった。それが命取りとなる。
 扉の裏に潜んでいた男が、一人目を集中攻撃する。一人目が致命傷を受け、ようやく反応出来た二人目の攻撃が始まるが、その時男は既に扉を閉め、外へ出ていた。扉を閉める直前、二発の手榴弾を投げ込んで。
 爆音と共に、二人は死亡した。
 
 「お前スゲェじゃん!一人でチーム一つ潰しやがった!」
 気付けば、辺りは人が集まっていた。本当に流行っているらしい。
 「あぁ、まぁ、偶然だよ」 


 「ほらほら、お前ら席着けー」
 扉を開け、担任が入ってくる。気付けばホームルームの時間だ。辺りの人間はばらけて行く。
 「おお、毒島。久しぶりだな。先生嬉しいぞー!」
 「そして、皆には良い知らせがある!何と転校生が来たぞ!入りなさい!」
 言われ、入って来たのは、一人の少女。白い肌に、白い髪。白い瞳。
 「鈴原冬香。今日から一緒に勉強する仲間だ。アルビノって言って、別に健康だが、少し色素不足が原因で、こうやって全体的に白い彼女だが、性格は明るいから、仲良くしてやってくれよ!」


  一日は何気無く終わった。
 「おい毒島、一緒に帰ろうぜ」
 言ってきたのは、朝周りに集まっていた男子生徒達。
 「あぁ、そうだな」
 毒島は嬉しい反面、怖かった。いくらゲームの世界でヒーローでも、現実ではすぐに忘れ去られる。
 「毒島君、だっけ?」
 彼の耳に入った声は、女子生徒のもの。それも転校生だ。未来予知で見た通りの。
 「ちょっと話があるの。来てくれない?」
 「おいおい、毒島、久々に学校に来りゃ、妖精のような美少女から呼び出しかよ、羨ましい奴だな~おい」
 背中を押され、彼女の後を追う事になる。
 向かった先は、小教室。
 「座って」
 一つの机を挟み、彼女と向かい合うようにして毒島は席に着く。白いロングヘア。彼ののめり込むネット世界にしか出てこないような少女だった。
 そんな妖精が取り出したのは、イメージを壊しそうなスマートフォン。
 「やろ」
 「何を?」
 「FPS」
 妖精の口から信じられない単語が発せられる。
 「えっと…」
 「早く起動して。スマホにも入れてるんでしょ?」
 毒島は言われるままに起動する。
 「私が勝てば一つ、私のお願いを聞いてもらう。逆も然りよ」
 「勝敗はどう決めるんだ」
 「ルールは個人戦。チームは組まない。最終的に生き残った方の勝ち。途中で負ければそれで負け。両方負ければこの話は無し」
 マッチングが終わり、百人のプレイヤーが輸送機から飛び立って行く。
 「良いぜ、やってやるよ。それなりの腕なんだろ?」

 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
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