童話のようにはならなくて

まだ閉じている蓋

古の森を守る女神と古の森に迷い混んだ精悍な王子様の物語。



この物語は国で一番愛されている、美しいラブロマンスだ。



『私は森を愛さなければいけない女神、だから森を離れるわけにはいかないの。いくらあなたを…ルースを愛していても』



『君は本当に心が清らかな女神だ、シャラノワール。大丈夫、僕が森ごと君を守って愛するよ。そうすれば神も僕らを許してくれるだろう』



そうして実った愛は美しい森に更なる加護を与え、今でも幸福の森として親しまれているのでした。



美しいラブロマンスは終わりまで美しく、人々の心に愛と憧れを抱かせる。



もちろん、私も心酔まではしていないが、物語を好ましい目で見ていた。



今、この出来事が起こるまでは。