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「今回は本当に、ありがとうございました」
そうお礼の言葉をこちらへ向ける依頼主のサダヨシ・マツダイラさん。
メンテナンス作業が終わッた頃を見計らって俺を迎えに戻ってきた彼は、水源地を見てとても驚いてくれた。
それもそのはず、あの寂れた空き地が、今や手入れの行き届いた庭園へと生まれ変わっていたのだ。
水の魔力が自然発生し周囲に溢れ、空気まで浄化されていて心地良い。まるでどこぞの大神殿の聖域と言っても納得してしまうような変化ぶりに、さすがの敏腕経営者も驚きを隠せない。
「いや~、腕がいいのは前回で知っていましたが、さすがにここまでとは思いませんでした」
手放しで喜ぶ依頼主の顔にほっとした。
特大のアクシデントこそあったが、あの地に住まう精霊の願いに応えたことで、水源が地力を取り戻したのだ。
水質だって、当然最上級のSクラスである。分析前だってわかるレベルだ。
「爺さんが昔話でしていたここの真の姿。それを私の代でまさか復活できるとは……」
サダヨシさんの声が少し震えている。
霊地の維持というのはすごく難しい作業であり、熟練の魔法使いであっても、現状維持が精々といったところ。
たまたま俺がそういう作業に特化した能力を持っていただけで、本来はもっとちゃんと準備を整えて、大がかりな対策を練って、やるものなのだ。
それが今回は、ちょろと綺麗にしてくれれば、ぐらいの軽い気持ちで依頼したら、劇的なビフォーでアフターしちゃったから、大驚愕、である。
精霊というのは自然界の理からいえば、そこから逸脱したものであり、調和に大きな影響を与える存在である。
それを危ういバランスで保っているのが霊地であり、そのおかげで魔力を豊富に含んだ資源を産み出すことができるのである。
そして、そのバランスはとても歪で、崩れやすい。
ほとんどの霊地が年月の経過によって、その地力を保てなくなり、荒廃していく運命にある。霊地が誕生した頃の環境と、時代を重ねた現代の環境が違いすぎるから。
このマツダイラ酒造の水源地もその途上にあり、メンテナンスである程度くい止めてはいたのだが、徐々に水質が落ちてきつつあったのだという。
「サイトさん、本当にありがとうございました。貴方はウチの恩人です」
「いえ、やれることをやっただけです。この地のポテンシャルと、これまでの管理がしっかりしていたからこそですよ」
まぁ精霊云々のことは当然オフレコだが、結果的に最高の仕事ができたことには違いない。
基本的にこの仕事は、水源とそこに住まう精霊のご機嫌伺いに他ならないのだ。
そういう意味では、十二分にその仕事を果たしたといえるだろう。
「当然、報酬は追加させていただきます」
「いえいえ、そんな……」
「いえ、これだけのことをしていただいて、そのまま済ましてしまえば、私はもう先祖に顔を向けられません。……どうか、何卒」
「――解りました。ありがたくちょうだいいたします」
「ありがとうございます」
再び、深く頭を下げられた。
こっちとしては偶然が重なった結果だから、なかなか気まずい。
「それと、ぜひ報酬とは別にお礼をさせていただきたい」
その後のサダヨシさんの心づくしの提案は、俺にとってものすごくうれしいものであった。
そういうわけで、これからはよりいっそう新酒の季節が待ち遠しくなったというわけだ。
そしてそのうち、あの水で仕込んだ酒も飲める日がくるだろう。いつか来るその日が楽しみだ。
「なぁ、アオイ」
『あい!』
そうお礼の言葉をこちらへ向ける依頼主のサダヨシ・マツダイラさん。
メンテナンス作業が終わッた頃を見計らって俺を迎えに戻ってきた彼は、水源地を見てとても驚いてくれた。
それもそのはず、あの寂れた空き地が、今や手入れの行き届いた庭園へと生まれ変わっていたのだ。
水の魔力が自然発生し周囲に溢れ、空気まで浄化されていて心地良い。まるでどこぞの大神殿の聖域と言っても納得してしまうような変化ぶりに、さすがの敏腕経営者も驚きを隠せない。
「いや~、腕がいいのは前回で知っていましたが、さすがにここまでとは思いませんでした」
手放しで喜ぶ依頼主の顔にほっとした。
特大のアクシデントこそあったが、あの地に住まう精霊の願いに応えたことで、水源が地力を取り戻したのだ。
水質だって、当然最上級のSクラスである。分析前だってわかるレベルだ。
「爺さんが昔話でしていたここの真の姿。それを私の代でまさか復活できるとは……」
サダヨシさんの声が少し震えている。
霊地の維持というのはすごく難しい作業であり、熟練の魔法使いであっても、現状維持が精々といったところ。
たまたま俺がそういう作業に特化した能力を持っていただけで、本来はもっとちゃんと準備を整えて、大がかりな対策を練って、やるものなのだ。
それが今回は、ちょろと綺麗にしてくれれば、ぐらいの軽い気持ちで依頼したら、劇的なビフォーでアフターしちゃったから、大驚愕、である。
精霊というのは自然界の理からいえば、そこから逸脱したものであり、調和に大きな影響を与える存在である。
それを危ういバランスで保っているのが霊地であり、そのおかげで魔力を豊富に含んだ資源を産み出すことができるのである。
そして、そのバランスはとても歪で、崩れやすい。
ほとんどの霊地が年月の経過によって、その地力を保てなくなり、荒廃していく運命にある。霊地が誕生した頃の環境と、時代を重ねた現代の環境が違いすぎるから。
このマツダイラ酒造の水源地もその途上にあり、メンテナンスである程度くい止めてはいたのだが、徐々に水質が落ちてきつつあったのだという。
「サイトさん、本当にありがとうございました。貴方はウチの恩人です」
「いえ、やれることをやっただけです。この地のポテンシャルと、これまでの管理がしっかりしていたからこそですよ」
まぁ精霊云々のことは当然オフレコだが、結果的に最高の仕事ができたことには違いない。
基本的にこの仕事は、水源とそこに住まう精霊のご機嫌伺いに他ならないのだ。
そういう意味では、十二分にその仕事を果たしたといえるだろう。
「当然、報酬は追加させていただきます」
「いえいえ、そんな……」
「いえ、これだけのことをしていただいて、そのまま済ましてしまえば、私はもう先祖に顔を向けられません。……どうか、何卒」
「――解りました。ありがたくちょうだいいたします」
「ありがとうございます」
再び、深く頭を下げられた。
こっちとしては偶然が重なった結果だから、なかなか気まずい。
「それと、ぜひ報酬とは別にお礼をさせていただきたい」
その後のサダヨシさんの心づくしの提案は、俺にとってものすごくうれしいものであった。
そういうわけで、これからはよりいっそう新酒の季節が待ち遠しくなったというわけだ。
そしてそのうち、あの水で仕込んだ酒も飲める日がくるだろう。いつか来るその日が楽しみだ。
「なぁ、アオイ」
『あい!』
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