まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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「お米の方はこっちから言うことないんで、もう完全にお任せするね。串の方はたまにひっくり返しながら、じっくり焼いておいて」
「解りました」
「わかったー」
「じゃあ俺はかまどの方を手伝ってくるから」

そういって、焚き火のそばから離れる。
竈の前では、マリーが鍋を混ぜている。

「あっ、サイトさん。イイ感じに煮えてますよ!」

こちらに気づいたマリーがお玉片手に嬉しそうに言う。

「ホントだ。もう味付けしても良さそうだね」

鍋の中は肉はホロホロ、根菜類も透き通って、火がしっかり通っている。時短魔法のおかげで、これぐらいの時間でも十分柔らかくなっている。

「なに味にするんですか?」
「やっぱり、煮込みといえば味噌でしょう」

煮込んだモツやスジからでる脂と味噌のコンビネーションといったら、もう。
トマト系とかももちろんアリだけど、郷に入っては郷に従えというし、ケーラルの味がいいだろう。米もあるし。

「いいですねぇ。暖まるんですよね」

ホントはここにケーラル酒もいきたいんだけど、彼女らは依頼遂行中なのでさすがに自重。
若い冒険者にワルい遊びを教えちゃいかんでしょ。

「てか、サイトさんって。ケーラル文化に馴染みすぎじゃないですか?  楽しみ方が地元のおっさんたちと一緒ですよ」
「お、おっさん……」

ナチュラルにグサッとくる若者の言葉。
まぁ、前世含めたらけっこういい年なので、おっさんでも仕方ないのかもしれないが。

「前に一度、仕事でケーラルに来たんだけどさ。そのときにビビッときてね。それからだいぶはまっちゃったよ」
「へぇ~、そうだったんですね」
「王都とかでケーラル料理食べようとしても、あんまない上に、値段が高いしね。しまいには、どうしても食べたくなって、つい旅行の日程を立ててたんだ」

だから今回の旅行を目一杯楽しんでいるのだ。

「まぁきっと、前世はケーラル人だったのかもね。それくらいビビッときたんだ」

正確には日本人、だけどね。



煮込みに溶かした味噌のいい香りが鼻をくすぐる。

「ん~、いい匂い~」

少しだけ自分の器によそい、味見をする。

「ん、いい味」

肉の脂から溶け出したうま味に負けない味噌のガツンとした塩気。
ここにさらに野菜の甘味も加わり、奥深い味になっている。

「やっぱり、煮込みは濃いめがうまいな」

山登りの疲れた身体に濃いめの味が効く。

「サイトさん、私にも、ヒトクチ」

俺のリアクションをみて我慢できなくなったのか、マリーが自分の容器を差し出してくる。

「ふふっ。はい、どーぞ」

必死なマリーに、煮込みをお玉で掬ってやる。小さめな肉もおまけにつけてやろう。

「あざまーす」

冒険者流のお礼をしながら、ごくりといくマリー。

「おいしーい!!」
                                        「いいなー」

遠くから腹ペコの声がしている気がするが気にしない。

「味はこれで大丈夫そうだね」
「はい、すごく美味しいです」

やっぱ味噌の煮込みはみんな好きだよな。
食材のカットさえ事前にやっとけば、後は素人だって美味しくできる野外料理の主役だよ。

「後は食べる直前に香草類を入れて、完成だ」
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