2 / 28
まどろみ皇帝
しおりを挟む
推敲に次ぐ推敲は破壊に近づいていく。宿題をとき終えてからでなければ、悪夢はより濃いものとなるだろう。グリップがおぼつかない。微動する指先から、引かれ始めている。海月道、猫落ち葉、バナナ竜。歪んだ風景が、罫線の縁から介入してくる。恐ろしくもあり心地よくもある。誰の使いだ?
「まどろみ皇帝だ」
邪悪な奴め。金魚、キャラメル、ちりとり、バームクーヘン、くさりかたびら、岩石、毛虫、消し屑。横殴りのノイズが、覚醒の邪魔をする。皇帝は、余計なものばかりをよこすもの。
「あなたが呼んだのでしょう」
「うるさい!」
幻聴に抗って僕はまだ留まれる。夢の浅瀬こそは現の絶頂期なのだ。ここにいたい。先へ進みたい。この決戦は、引き裂かれそうなほどの高揚の中にある。反逆者の残党がペン先を奮い立たせる。掌編の構図が歪み、世界観が荒れている。グリップは現の淵に生の執着をみせてしがみついていた。
まどろみ皇帝の押すブランコが揺れている。土埃を上げながら少年はボールを蹴っていた。木が少年を止める。猫が少年から奪おうとする。どこでどこに触れてもいい。それを全面幸福と少年は呼んだ。
「ここにあったの」
少年の足下に素晴らしいタッチはあった。
「何を探すことがある?」
既に見つけてしまったあとで。
ブランコは夢と現を行き来している。
この風だ。空間だ。重力だ。
ここでつかめ!と本能が叫んでいる。
ここにあるものはここにしかない。ここで手にしたものが次の夢を決めるだろう。僕の宿題は、何にもならないことを取っておくことだ。(それは未来の下敷きとなる)死を忘れながら生きられる人間にならできること。
強まるまどろみ皇帝の攻勢。僕は風に手を伸ばす。
ここでつかめなければ、この先ではもっとつかめないだろう。
ここでつかめ!
ここで最後の仕事(わるあがき)をするのだ。
日曜、ペンギン、幸福、ロールケーキ、革靴、エルモ……。
ブランコの軋む音が消えた。
僕は泡の中にいる。海? 雨か。
飛んだのかな。(負けたのか)
落ち葉をつれた猫が、楽しげに泳いでいる。
「まどろみ皇帝だ」
邪悪な奴め。金魚、キャラメル、ちりとり、バームクーヘン、くさりかたびら、岩石、毛虫、消し屑。横殴りのノイズが、覚醒の邪魔をする。皇帝は、余計なものばかりをよこすもの。
「あなたが呼んだのでしょう」
「うるさい!」
幻聴に抗って僕はまだ留まれる。夢の浅瀬こそは現の絶頂期なのだ。ここにいたい。先へ進みたい。この決戦は、引き裂かれそうなほどの高揚の中にある。反逆者の残党がペン先を奮い立たせる。掌編の構図が歪み、世界観が荒れている。グリップは現の淵に生の執着をみせてしがみついていた。
まどろみ皇帝の押すブランコが揺れている。土埃を上げながら少年はボールを蹴っていた。木が少年を止める。猫が少年から奪おうとする。どこでどこに触れてもいい。それを全面幸福と少年は呼んだ。
「ここにあったの」
少年の足下に素晴らしいタッチはあった。
「何を探すことがある?」
既に見つけてしまったあとで。
ブランコは夢と現を行き来している。
この風だ。空間だ。重力だ。
ここでつかめ!と本能が叫んでいる。
ここにあるものはここにしかない。ここで手にしたものが次の夢を決めるだろう。僕の宿題は、何にもならないことを取っておくことだ。(それは未来の下敷きとなる)死を忘れながら生きられる人間にならできること。
強まるまどろみ皇帝の攻勢。僕は風に手を伸ばす。
ここでつかめなければ、この先ではもっとつかめないだろう。
ここでつかめ!
ここで最後の仕事(わるあがき)をするのだ。
日曜、ペンギン、幸福、ロールケーキ、革靴、エルモ……。
ブランコの軋む音が消えた。
僕は泡の中にいる。海? 雨か。
飛んだのかな。(負けたのか)
落ち葉をつれた猫が、楽しげに泳いでいる。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる