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本編
6 道中での思わぬ洗礼と出会い
のんびりとした時間を過ごしていると、いつの間にか陽射しがぽかぽかと暖かくなっている。
窓辺のふかふかとした椅子に深く腰掛けているし、お昼寝に最適な状況に眠気が襲ってくる。
「お嬢さま、馬車のご準備ができたようですよ。行かれますか?」
「ええ、ありがとう」
立ち上がり、部屋を出ようとする。
「お待ちくださいませ。気温は暖かいですが、風が冷たいです。こちらをどうぞ」
エマが肩にかけてくれたのは薄いストールだった。
「ありがとう。これなら安心して見学できるわね」
「くれぐれもご無理ならさないでくださいね」
「大丈夫、分かっているわ」
エマは私が小さな時からずっと側で見てきてくれているから、心配が尽きないようだ。
直ぐに案内され、馬車がゆっくりと動き始める。
「訓練場までは少し距離がございますが、なだらかな道ですし、左程お時間はかからないかと思います」
「そうなのですね。あの、少し疑問に思ったのですが、リューヌはイザークさまのお側にいらっしゃらなくてよろしいのですか?」
次期当主であり、騎士団長であり、更には国王陛下にも評価されているともなれば、何かが起こる可能性も少なくない。
そのような時にすぐさま対応できる人物は、やはり専属執事か専属メイドだろう。
「ええ、問題ございません。イザークさまからのお申し付けですから」
「イザークさまが?どういうこと?」
困惑しながら問うても、リューヌは微笑むだけでそれ以上は何も教えてくれそうにない。
────そんな時だった。
「ヒヒーン!」
馬の鳴き声と共に、突如馬車が止まった。
「アイリスさま、決して馬車から出ないでください。顔も出さないでくださいね。エマ、宜しく頼むよ」
「お任せください」
リューヌは途端に酷く冷ややかな目つきになり、素早く降りていった。
「お嬢さま、リューヌさんがいるならきっと大丈夫です。静かに待ちましょう」
エマは小声でそう宥めてくれるが、いくらリューヌでも執事であって騎士じゃないのだから、刺客がいればどうなるかわからない。
しばらく息を呑んで待っているが、なかなか帰ってこない。
「うぇ~ん」
子供の泣き声が聞こえてきた。
もしかして、刺客と私たちの争いにたまたま居合わせ、巻き込まれてしまった子供がいるのだろうか。
居ても立っても居られずに、扉から飛び出す。
「お嬢さま!?お戻りください!!」
エマの悲痛な声が聞こえてくるが、子供を見捨てることなどできない。
馬車の前へと駆けると、信じられない光景が飛び込んできた。
「ちょ、ちょっと!何をしているの!?離れて!」
リューヌが険しい表情で剣を向けていたのは、幼い男の子ただ一人だけだったのだ。
「アイリスさま、馬車の中にいてくださいと言ったはずです」
私を叱るように、宥めるように、そう言うリューヌからは全く剣を下ろす気配が感じられない。
「その子が何をしたっていうの?何もできない子供じゃない」
「貴女はまだ解っていらっしゃらないのです。アンスリウム家の人間は、どんな者であっても敵として認識しなければ、自分の命がなくなります」
「……っ」
そう言われてしまうと、何も言い返せない。
アンスリウム家は王家の次に敵がいるのだから。
「お戻りください。きっと貴女は酷く傷付きます」
これで、私が止めたが故に全員やられてしまったら?
そう考えると、それ以上何もできないと諦めかけた。
しかし、ふと視線を向けると、その子供がこちらを必死に見つめているのが分かった。
その瞳に影は見当たらない。
「……私に話だけでも聞かせて。お願い、リューヌ」
「……」
「もし、それでこの子が本当に酷いことをしようとしていたのなら、もう、止めないから。だから、」
必死に訴えかける。
「……はぁ。もう、解りましたよ。ですがきちんと拘束はしますからね」
「ありがとう」
少しだけ緊張が緩和され、ずっと泣いている男の子に近付き、目線を合わせる。
「グスッ」
「あなたは、私たちを攻撃しようとしたの?」
「し、してない!」
必死に否定するこの子を見て、やはり襲撃しようとしたとは思えなかった。
「そっか。じゃあ、何をしようとしたの?」
「……」
なるべく柔らかく問いかけたけれど、男の子は押し黙ってしまった。
「いきなりこの馬車に目がけて飛び出してきたのです。この辺りは野原が広がっているだけですし、普段は人通りもほとんどない。私としても何故なのか知りたいですね」
リューヌは全く油断せず、冷たい表情のままだ。
「あのね、正直にいってくれたら、このままお家に帰れるかも。教えてくれる?」
「……ごめんなさい」
「ごめんなさいって?」
背中を擦り、落ち着かせながら続きを促した。
「あのね、オジサンたちが急に僕の前に来て、「この模様がある馬車に向かって飛び出せ」って言ってきたの。そうすれば、お金をくれるって……。でも!悪いことってわかってたのに、しちゃった。ごめんなさい」
一生懸命伝えてくれた後に、ポケットから出した紙をリューヌが受け取った。
「これは……アンスリウム家の家紋ですね。どこで言われましたか?どんな人物でした?関わりがない君にいきなり頼むとは思えないのですが」
「ちょ、ちょっと。一度にたくさん聞いても混乱しちゃいますよ」
「子供とは接す機会がないものでして。申し訳ありません」
本当に悪気はなかったようで、気まずそうに目を逸らした。
「えっとね、僕のお父さんは悪い人なんだ。僕はいつもご飯を食べるのも大変で、町の人みんなにたくさん声をかけちゃってるから、それでみんな僕のこと知ってる。お金くれるって言ってきたのは怖くて大きくて赤い模様の入ったオジサンたちだったよ。」
「赤い模様……。粗方理解できました。説明をありがとう。君がしたことはとても危ないし、してはいけないことだけれど、とても怖い思いをさせてしまいましたね。本当にごめんなさい」
私はオジサンというのが誰だか知らないが、リューヌはもう目星がついた様子で謝っていた。
そして拘束も解き、男の子もホッとしたようだ。
「今回だけ、少しお金をあげましょう」
「本当に!?ありがとう!」
「待って!」
リューヌがある程度のお金をあげようとしているのを止めた。
少しの間だけ不自由なく食べられたとしても、これでは根本的な解決にはならない。
「お姉ちゃん、やっぱり怒ってるよね……?」
また泣きそうな顔になってしまう男の子の頭をなでた。
「ううん、そうじゃなくて。まずはお名前教えてもらえるかな?」
「アダン!」
「アダン、素敵なお名前ね」
「お母さんがつけてくれたんだって!良いでしょ!」
心からの笑顔に私まで嬉しくなる。
「お父さんは悪い人なんだっけ……?」
「うん……。お父さんどっか行っちゃうから、ご飯もくれないし一人で頑張るしかないの」
お母さんの話をする時とは一転し、俯く姿に胸が締め付けられる。
どうにかして、助けてあげられないだろうか。
「リューヌ、この子にお仕事をあげられないですか?」
「仕事、ですか?」
思ってもみないことだったのか、柄にもなく目を見開いている。
「例えば、お屋敷のお手伝いとか……」
「それはいけません。実力もあり、信用に足る者しか入れられません」
「そうですよね……。でも騎士団は絶対無理でしょうし……」
「騎士!?かっこいい!僕、それになりたい!」
黙って話を聞いていたアダンが急に声を上げた。
その様子を見てリューヌは少し考え込む。
「イザークさまにもお話をきちんとお伝えして、適性が認められることができれば、入れる可能性はありますね」
「ですが、幼い子にはあまりにも危険ではないですか」
「何も戦場に行くだけが騎士ではありませんよ。それこそ、アンスリウム家の衛兵も騎士団出身なのです。きちんと彼に合った訓練を提供されるでしょうし、宜しいかもしれません」
やはり冷静なその言葉を聞いても悩ましくはあったが、少なくとも食べる物には困らないし、きちんとした服も部屋も提供される。
周りの大人もしっかりとした方々だ。
何より最も重要なのは、本人も希望しているということである。
「アダンは騎士がどんな人かわかる?」
「うーん、みんなを守る人!僕も前に守ってもらったことある!かっこいい!」
「そう。危険がもしかしたらあるかもしれない。それでも良い?」
「うん。今よりは絶対良いでしょ?」
濡れた真っ直ぐな瞳を見て、私も覚悟を決めた。
「今日、イザークさまにお時間があればお話しましょう」
「ありがとうお姉ちゃん!」
アダンが飛び跳ねている。
「恐らく訓練の合間にこちらに来られるかと。その時にお話しましょうか」
「ええ。……大丈夫かしら?」
ふと不安が胸をかすめる。
「きっと大丈夫ですよ。私の御使いするイザークさまは、助けられる命を見捨てません」
そうにこやかに言うリューヌは、とても誇らしそうで、温かい。
やはり、冷徹無慈悲だなんて、皆が好き勝手に広めている嘘でしかないのだろうか。
窓辺のふかふかとした椅子に深く腰掛けているし、お昼寝に最適な状況に眠気が襲ってくる。
「お嬢さま、馬車のご準備ができたようですよ。行かれますか?」
「ええ、ありがとう」
立ち上がり、部屋を出ようとする。
「お待ちくださいませ。気温は暖かいですが、風が冷たいです。こちらをどうぞ」
エマが肩にかけてくれたのは薄いストールだった。
「ありがとう。これなら安心して見学できるわね」
「くれぐれもご無理ならさないでくださいね」
「大丈夫、分かっているわ」
エマは私が小さな時からずっと側で見てきてくれているから、心配が尽きないようだ。
直ぐに案内され、馬車がゆっくりと動き始める。
「訓練場までは少し距離がございますが、なだらかな道ですし、左程お時間はかからないかと思います」
「そうなのですね。あの、少し疑問に思ったのですが、リューヌはイザークさまのお側にいらっしゃらなくてよろしいのですか?」
次期当主であり、騎士団長であり、更には国王陛下にも評価されているともなれば、何かが起こる可能性も少なくない。
そのような時にすぐさま対応できる人物は、やはり専属執事か専属メイドだろう。
「ええ、問題ございません。イザークさまからのお申し付けですから」
「イザークさまが?どういうこと?」
困惑しながら問うても、リューヌは微笑むだけでそれ以上は何も教えてくれそうにない。
────そんな時だった。
「ヒヒーン!」
馬の鳴き声と共に、突如馬車が止まった。
「アイリスさま、決して馬車から出ないでください。顔も出さないでくださいね。エマ、宜しく頼むよ」
「お任せください」
リューヌは途端に酷く冷ややかな目つきになり、素早く降りていった。
「お嬢さま、リューヌさんがいるならきっと大丈夫です。静かに待ちましょう」
エマは小声でそう宥めてくれるが、いくらリューヌでも執事であって騎士じゃないのだから、刺客がいればどうなるかわからない。
しばらく息を呑んで待っているが、なかなか帰ってこない。
「うぇ~ん」
子供の泣き声が聞こえてきた。
もしかして、刺客と私たちの争いにたまたま居合わせ、巻き込まれてしまった子供がいるのだろうか。
居ても立っても居られずに、扉から飛び出す。
「お嬢さま!?お戻りください!!」
エマの悲痛な声が聞こえてくるが、子供を見捨てることなどできない。
馬車の前へと駆けると、信じられない光景が飛び込んできた。
「ちょ、ちょっと!何をしているの!?離れて!」
リューヌが険しい表情で剣を向けていたのは、幼い男の子ただ一人だけだったのだ。
「アイリスさま、馬車の中にいてくださいと言ったはずです」
私を叱るように、宥めるように、そう言うリューヌからは全く剣を下ろす気配が感じられない。
「その子が何をしたっていうの?何もできない子供じゃない」
「貴女はまだ解っていらっしゃらないのです。アンスリウム家の人間は、どんな者であっても敵として認識しなければ、自分の命がなくなります」
「……っ」
そう言われてしまうと、何も言い返せない。
アンスリウム家は王家の次に敵がいるのだから。
「お戻りください。きっと貴女は酷く傷付きます」
これで、私が止めたが故に全員やられてしまったら?
そう考えると、それ以上何もできないと諦めかけた。
しかし、ふと視線を向けると、その子供がこちらを必死に見つめているのが分かった。
その瞳に影は見当たらない。
「……私に話だけでも聞かせて。お願い、リューヌ」
「……」
「もし、それでこの子が本当に酷いことをしようとしていたのなら、もう、止めないから。だから、」
必死に訴えかける。
「……はぁ。もう、解りましたよ。ですがきちんと拘束はしますからね」
「ありがとう」
少しだけ緊張が緩和され、ずっと泣いている男の子に近付き、目線を合わせる。
「グスッ」
「あなたは、私たちを攻撃しようとしたの?」
「し、してない!」
必死に否定するこの子を見て、やはり襲撃しようとしたとは思えなかった。
「そっか。じゃあ、何をしようとしたの?」
「……」
なるべく柔らかく問いかけたけれど、男の子は押し黙ってしまった。
「いきなりこの馬車に目がけて飛び出してきたのです。この辺りは野原が広がっているだけですし、普段は人通りもほとんどない。私としても何故なのか知りたいですね」
リューヌは全く油断せず、冷たい表情のままだ。
「あのね、正直にいってくれたら、このままお家に帰れるかも。教えてくれる?」
「……ごめんなさい」
「ごめんなさいって?」
背中を擦り、落ち着かせながら続きを促した。
「あのね、オジサンたちが急に僕の前に来て、「この模様がある馬車に向かって飛び出せ」って言ってきたの。そうすれば、お金をくれるって……。でも!悪いことってわかってたのに、しちゃった。ごめんなさい」
一生懸命伝えてくれた後に、ポケットから出した紙をリューヌが受け取った。
「これは……アンスリウム家の家紋ですね。どこで言われましたか?どんな人物でした?関わりがない君にいきなり頼むとは思えないのですが」
「ちょ、ちょっと。一度にたくさん聞いても混乱しちゃいますよ」
「子供とは接す機会がないものでして。申し訳ありません」
本当に悪気はなかったようで、気まずそうに目を逸らした。
「えっとね、僕のお父さんは悪い人なんだ。僕はいつもご飯を食べるのも大変で、町の人みんなにたくさん声をかけちゃってるから、それでみんな僕のこと知ってる。お金くれるって言ってきたのは怖くて大きくて赤い模様の入ったオジサンたちだったよ。」
「赤い模様……。粗方理解できました。説明をありがとう。君がしたことはとても危ないし、してはいけないことだけれど、とても怖い思いをさせてしまいましたね。本当にごめんなさい」
私はオジサンというのが誰だか知らないが、リューヌはもう目星がついた様子で謝っていた。
そして拘束も解き、男の子もホッとしたようだ。
「今回だけ、少しお金をあげましょう」
「本当に!?ありがとう!」
「待って!」
リューヌがある程度のお金をあげようとしているのを止めた。
少しの間だけ不自由なく食べられたとしても、これでは根本的な解決にはならない。
「お姉ちゃん、やっぱり怒ってるよね……?」
また泣きそうな顔になってしまう男の子の頭をなでた。
「ううん、そうじゃなくて。まずはお名前教えてもらえるかな?」
「アダン!」
「アダン、素敵なお名前ね」
「お母さんがつけてくれたんだって!良いでしょ!」
心からの笑顔に私まで嬉しくなる。
「お父さんは悪い人なんだっけ……?」
「うん……。お父さんどっか行っちゃうから、ご飯もくれないし一人で頑張るしかないの」
お母さんの話をする時とは一転し、俯く姿に胸が締め付けられる。
どうにかして、助けてあげられないだろうか。
「リューヌ、この子にお仕事をあげられないですか?」
「仕事、ですか?」
思ってもみないことだったのか、柄にもなく目を見開いている。
「例えば、お屋敷のお手伝いとか……」
「それはいけません。実力もあり、信用に足る者しか入れられません」
「そうですよね……。でも騎士団は絶対無理でしょうし……」
「騎士!?かっこいい!僕、それになりたい!」
黙って話を聞いていたアダンが急に声を上げた。
その様子を見てリューヌは少し考え込む。
「イザークさまにもお話をきちんとお伝えして、適性が認められることができれば、入れる可能性はありますね」
「ですが、幼い子にはあまりにも危険ではないですか」
「何も戦場に行くだけが騎士ではありませんよ。それこそ、アンスリウム家の衛兵も騎士団出身なのです。きちんと彼に合った訓練を提供されるでしょうし、宜しいかもしれません」
やはり冷静なその言葉を聞いても悩ましくはあったが、少なくとも食べる物には困らないし、きちんとした服も部屋も提供される。
周りの大人もしっかりとした方々だ。
何より最も重要なのは、本人も希望しているということである。
「アダンは騎士がどんな人かわかる?」
「うーん、みんなを守る人!僕も前に守ってもらったことある!かっこいい!」
「そう。危険がもしかしたらあるかもしれない。それでも良い?」
「うん。今よりは絶対良いでしょ?」
濡れた真っ直ぐな瞳を見て、私も覚悟を決めた。
「今日、イザークさまにお時間があればお話しましょう」
「ありがとうお姉ちゃん!」
アダンが飛び跳ねている。
「恐らく訓練の合間にこちらに来られるかと。その時にお話しましょうか」
「ええ。……大丈夫かしら?」
ふと不安が胸をかすめる。
「きっと大丈夫ですよ。私の御使いするイザークさまは、助けられる命を見捨てません」
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