偏屈者は酔狂人と斯く踊る。

mimuo

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妹のターン。 2

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「はあ……」

 夕食後、梓実が俺の部屋にずけずけと上がり込んで来た。別に今日の俺はさほど不味いことをしてないはずだけど……お兄ちゃんと話したいのかな?そうかな?きっとそうだ。いや、それ以外考えられない。それしかないな。うん。
 妹の願いには最大限の協力を惜しまないのが兄たる者の務め。仕方ないが読書時間を返上して、付き合ってやろう。だって俺、お兄ちゃんだし。
 だから話した。幽霊部について。もちろん幽霊部にいた変なやつらについても。
 こうなるよな……。
 俺の話を聞いた梓実の表情は、口を半開きにした、それはそれは無防備なものへと変わっている。小動物のような愛くるしさがあってとても可愛いと思う今日この頃。

「残念ながら事実なんだなこれが」

「はあ……」

「お兄ちゃん部活から消えるまでちょっと時間かかると思うから、しばらく家帰るの遅くなると思うから」

「はあ……」

「そこんとこよろしく」

「はあ……」

 さっきから「破ァ」しか言ってねえなこいつ。寺生まれか?悪霊と戦ってんの?お兄ちゃん心配。まあ、それよりも心配なのが、梓実の視線が宙を漂い続けていることなんだけど。戻ってこいよ。
 数秒間念を送り続けていると、ようやく梓実は我に返ったようだ。もしかして俺が寺生まれなんじゃねぇの。

「はっ。その部活って宗教系?それだったらやめたほうがいいよ。よくわかんない壷とかよくわかんないお香とか買わされるよ」

「学校の部活だぞ?壷?それはねぇだろ。まあ、アンチ校則って名前の宗教かもしれんけど」

「なにそれ、うわっ。危なそう」

 梓実は眉をひそめながら俺を見てくる。
 ふっ、回りくどいな。普通に言えばいいのに。おそらくこの場合、梓実が言いたいこと。それは、

「じゃあ幽霊部、見にくる?」

 これだろ。
 お兄ちゃんが心配だから見にきたいんだね。いい子だ。本当にいい子だ。幸いうちの学校は放課後だけは手続きを踏めば、校内に入っていいことになっている。よかったね。
 感涙にむせぶ俺を見る梓実の目が、若干引いているように見えるのは気のせいでしょうか。

「まぁ、見に行くぐらいなら。明後日空いてるからその時で。どうせ馴染めてないんでしょ?助けてあげるよ」

 どうせあれだろ。ちょっと尖った感じのその口調もツンデレの証ってやつだろ?いい子だ。本当にいい子だ。素晴らしい。

「了解。明後日な」

 目尻をぬぐいながら答えると、梓実は腰に手を当てながら頷いた。


 
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