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第二話

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ふと目が覚めると、辺りには暗闇が広がっていた。
「ここは……」

よく目を凝らすと、ぼんやりとした光が彼方に見える。
導かれるようにそっちへ向かう最中、俺はその光の中に人影を認めた。

近づくにつれ、その人型はより鮮明になる。

ーーーそして、めっちゃ女神っぽい人がそこにはいた。

「ラグザ、ラグザよ」
「はい」

どうみてもザ・女神なその人は、すごく急に俺の名前を呼んだ。

「勘が良いですね。如何にも、私は神と呼ばれる存在です」

な、なに…?!
思考を読まれてる?!

「私は全能に等しい存在ですから。容易いことです。」

ありえない…?!こんなことが…??

「驚くのも無理はありませんね。ひとまず落ち着いてください。」

ガンダムガンダムガンダムガンダムガンダムガンダム

「うわっ?!急に変な思考を読ませないでください!!」


ふぅ。

女神はあたふたしている。

全能を自称する割になかなか隙だらけであった。

「えー、おほん。ラグザさん!!」
「ハイ」

「異世界に転生したいあまり、わざわざトラックに轢かれるなんて人、あなたが初めてですよ!!」

そうだった。
俺は異世界に行こうと、妹と深夜の高速道路へ飛び出したのであった。

「お兄様!!軽トラでは即死できないです!!」
「うわぁ!!怖!!怖くなってきた!!」

我ながら無茶をしたと思うが、女神が不思議な空間で話しかけてくれるこのシチュエーション、もしや…。」

「お、俺、転生できるんですか?!」
「さすがにここまでして転生させないのも酷でしょうし…仕方ありませんね」

ほぼ自殺のつもりだったけどこんなに上手くいくものなのか?!

「だけど、だめなんですからね!!こんな風に命を粗末に扱っては!!今回は偶然あちらの世界からのお呼びがあったから良かったにしても…」
「ありがとう!!女神様ありがとう!!万歳!!」

ぷんすか怒る女神を傍目に僕は歓喜に飛び跳ねていた。
大事な何かを忘れていることに、その時の自分は何故か気づくよしもなかった…。
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みんなの感想(1件)

萌那
2021.05.20 萌那

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