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1.旅の始まり【2】
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自身が見鬼眼を持っていることを確信したレッドは、それを初心者たちの指導に活用し、特技を伸ばす手助けに注力した。
もちろん、それは彼らが一人前の冒険者として生活を成り立たせられるようにしたいという思いもあったが、それ以上に、グランヴィーナの言葉 "特殊技能を持っているなら、磨きなさい" を実践するためだった。
グランヴィーナは、自身の見鬼眼を過信し、相手の力量を測り損ねて囚われの身となった過去があった。
その失敗を繰り返さないため、レッドは見鬼眼を積極的に意識し、技術を磨き続けた。
そうして、グランヴィーナの持っていた特殊技能を思い出しつつ、自分に備わった新たな技術を磨き続けていたが、メンラットとアリスの結婚をきっかけに、レッドは自分の不老……正確には、人間に比べてずっと長い寿命を自覚した。
グランヴィーナは、中級の幻獣族・ハルピュイアであり、「不死ではないが、とても長い寿命」を持つと言っていた。
レッドが「そんなキミが、人間ごときの私と御縁を結んで良かったのか?」と問いかけた。
するとグランヴィーナはこ「100年も生きられない人間と、一万年以上生きられる幻獣族。縛られるのがその程度なら、永劫の檻に縛られる下僕の契約から逃れるためならば、なんの問題もないわ」と答えた。
一度透晶珠となった魂魄が依代を得て憑依しても、その能力は十分の一ほどに落ちると言われていたが、それでも人間からすれば寿命は十倍になる。
その事実を理解したとき、レッドは自分の孤独を痛感した。
「これは、ラトゥフに黙っているべきなんだろうか?」
長命を打ち明ければ、寡黙だが優しいラトゥフはレッドの孤独に気付き、心を痛めるだろう。
悩んだ末、レッドは真実を胸に秘め、幻像術で姿を少しずつ加齢させ、ラトゥフに合わせていった。
やがてラトゥフが体の限界を感じ、狩人を引退し、山小屋で最後の時を迎えるまで、レッドは秘密を守り続けた。
しかし、ラトゥフは気付いていたのだ。
レッドが外見ほど衰えていないことを。
「僕は、キミと同じ時間を生きられないことをすまないと思っている」
ベッドに横たわり、小さな声でそう言うラトゥフの姿は、あんなに頑健だった頃の面影が薄れていた。
「だがね、レッド。僕は、キミが一人残されるとは思っていないよ」
衰えた体からは想像できない力強さで、ラトゥフはレッドの手を握る。
「魂魄は肉体を離れた後、霧散して世界に還るというだろう。それはつまり、僕はいつでもキミの傍にいるということだ。きっと、新たな出会いがある。それまでも、それからも、僕はずっとキミの傍で見守っているよ」
ラトゥフが自分の長命に気付いていたことにも驚いたが、そんな言葉を口にすることにも驚き、思わず笑ってしまった。
ラトゥフの葬儀を済ませた後、レッドはオルビスを旅立った。
ラトゥフとの思い出が溢れるオルビスで暮らし続けるのが辛かったのもあるが、それ以上に、長命を隠し通すには旅から旅の生活の方が都合が良いと考えたからだ。
もちろん、それは彼らが一人前の冒険者として生活を成り立たせられるようにしたいという思いもあったが、それ以上に、グランヴィーナの言葉 "特殊技能を持っているなら、磨きなさい" を実践するためだった。
グランヴィーナは、自身の見鬼眼を過信し、相手の力量を測り損ねて囚われの身となった過去があった。
その失敗を繰り返さないため、レッドは見鬼眼を積極的に意識し、技術を磨き続けた。
そうして、グランヴィーナの持っていた特殊技能を思い出しつつ、自分に備わった新たな技術を磨き続けていたが、メンラットとアリスの結婚をきっかけに、レッドは自分の不老……正確には、人間に比べてずっと長い寿命を自覚した。
グランヴィーナは、中級の幻獣族・ハルピュイアであり、「不死ではないが、とても長い寿命」を持つと言っていた。
レッドが「そんなキミが、人間ごときの私と御縁を結んで良かったのか?」と問いかけた。
するとグランヴィーナはこ「100年も生きられない人間と、一万年以上生きられる幻獣族。縛られるのがその程度なら、永劫の檻に縛られる下僕の契約から逃れるためならば、なんの問題もないわ」と答えた。
一度透晶珠となった魂魄が依代を得て憑依しても、その能力は十分の一ほどに落ちると言われていたが、それでも人間からすれば寿命は十倍になる。
その事実を理解したとき、レッドは自分の孤独を痛感した。
「これは、ラトゥフに黙っているべきなんだろうか?」
長命を打ち明ければ、寡黙だが優しいラトゥフはレッドの孤独に気付き、心を痛めるだろう。
悩んだ末、レッドは真実を胸に秘め、幻像術で姿を少しずつ加齢させ、ラトゥフに合わせていった。
やがてラトゥフが体の限界を感じ、狩人を引退し、山小屋で最後の時を迎えるまで、レッドは秘密を守り続けた。
しかし、ラトゥフは気付いていたのだ。
レッドが外見ほど衰えていないことを。
「僕は、キミと同じ時間を生きられないことをすまないと思っている」
ベッドに横たわり、小さな声でそう言うラトゥフの姿は、あんなに頑健だった頃の面影が薄れていた。
「だがね、レッド。僕は、キミが一人残されるとは思っていないよ」
衰えた体からは想像できない力強さで、ラトゥフはレッドの手を握る。
「魂魄は肉体を離れた後、霧散して世界に還るというだろう。それはつまり、僕はいつでもキミの傍にいるということだ。きっと、新たな出会いがある。それまでも、それからも、僕はずっとキミの傍で見守っているよ」
ラトゥフが自分の長命に気付いていたことにも驚いたが、そんな言葉を口にすることにも驚き、思わず笑ってしまった。
ラトゥフの葬儀を済ませた後、レッドはオルビスを旅立った。
ラトゥフとの思い出が溢れるオルビスで暮らし続けるのが辛かったのもあるが、それ以上に、長命を隠し通すには旅から旅の生活の方が都合が良いと考えたからだ。
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