3 / 13
第3話
しおりを挟む
数日が過ぎて、やはり夕刻。
中師は日課通りに一時の憩いを過ごし、自宅マンションへ向かう為に駅前の繁華街から住宅街へと向かう道を歩いていた。
表通りを避け、人通りの少ない近道の裏通りへと踏み込んだところで、思わず足を止める。
派手やかな看板とは対照的な、少し薄暗い入り口。
中に入る人間の顔を隠すかのように垂れ下がる、裾の長いカーテン。
そこはいつも、他人とすれ違う事があっても知らぬ顔をして通り過ぎる場所だった。
だが今日は、そこから出てきた二人連れを見て、中師は思わず足を止め、そして咄嗟に暗い小道に身を隠してしまった。
一人は見も知らぬ背広姿の男だったが、もう一人は紛れもなく先日の彼だった。
一緒に出てきた彼らは、言葉を交わす事もなく、まるで見知らぬ他人同士のような様子で左右に分かれて歩き出す。
その様子を見てなお、中師はそこから動けずにいた。
彼らが共にそこで時を過ごしたという、証拠も保証もない。
ちょっとしたニアミスで、全く関係のない人物が同時にそこから出てきただけなのかもしれない。
第一、それは中師には何の関係もない赤の他人の所行に過ぎない筈なのに。
そこで彼が男と出てきた事も、そしてそれが先日の彼の連れでなかった事も、なぜか中師はひどくショッキングなものを見てしまったような気になってしまった。
気を取り直して小道から歩き出した時には、どちらの姿も通りのどこにも見いだせなくなっていた。
中師は日課通りに一時の憩いを過ごし、自宅マンションへ向かう為に駅前の繁華街から住宅街へと向かう道を歩いていた。
表通りを避け、人通りの少ない近道の裏通りへと踏み込んだところで、思わず足を止める。
派手やかな看板とは対照的な、少し薄暗い入り口。
中に入る人間の顔を隠すかのように垂れ下がる、裾の長いカーテン。
そこはいつも、他人とすれ違う事があっても知らぬ顔をして通り過ぎる場所だった。
だが今日は、そこから出てきた二人連れを見て、中師は思わず足を止め、そして咄嗟に暗い小道に身を隠してしまった。
一人は見も知らぬ背広姿の男だったが、もう一人は紛れもなく先日の彼だった。
一緒に出てきた彼らは、言葉を交わす事もなく、まるで見知らぬ他人同士のような様子で左右に分かれて歩き出す。
その様子を見てなお、中師はそこから動けずにいた。
彼らが共にそこで時を過ごしたという、証拠も保証もない。
ちょっとしたニアミスで、全く関係のない人物が同時にそこから出てきただけなのかもしれない。
第一、それは中師には何の関係もない赤の他人の所行に過ぎない筈なのに。
そこで彼が男と出てきた事も、そしてそれが先日の彼の連れでなかった事も、なぜか中師はひどくショッキングなものを見てしまったような気になってしまった。
気を取り直して小道から歩き出した時には、どちらの姿も通りのどこにも見いだせなくなっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる