誇り高き蝶は蜘蛛の騎士の蜜に酔う

琉斗六

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第十二話

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 穏やかな風を受けながら、ジェラートは漆黒の翅を羽ばたかせて空を渡る。
 抜けるような青空から目線を移すと、遙か下をクロスが糸を伸ばしながら枝から枝を渡っている。
 長身のクロスが糸を繰り出す様は、一見酷く緩慢な動きに見えるが。
 それが実は全く無駄のない動きである事に気づき、ジェラートはゆっくりと高度を下げた。

「疲れたのか?」

 自分の元にまで降りてきたジェラートに、クロスが怪訝な顔をする。

「調子はすこぶる良い」

 答えながら、ジェラートはそのままクロスの背後から腕を伸ばして肩に手を掛けた。

「それなら自力で飛んだらどうだ?」

 突き放すような言葉で答えながらも、背中に乗ってきたジェラートを振り払うような事はせずに、クロスは変わらずゆったりとした動きで枝を渡っている。

「この方が楽だ」

 ジェラートが嘯くと、クロスはチラッとだけ呆れたような顔を向けただけだった。
 無色透明な糸で織り上げた翅に、クロスが選んだ色は闇夜の黒。
 マットな仕上がりはまるでビロードのようにきめ細かく、先日までのジェラートの姿を知らない者にはそれが補修された翅だとは見破れないだろう。
 二人がたどり着いたのは、森の中にある緑豊かな丘だった。
 木々が途切れ、開けた場所は陽光が暖かく、明るい。

「悪くないだろう?」

 柔らかな風が吹く木陰に降り立ったクロスは、ちらと振り返ってジェラートに問いかける。
 翅を広げ、フワフワと舞い上がったジェラートは満足気な笑みを返した。

「俺はココにいる。無理をしない程度に、適当にやってくれ」

 言い置いて、クロスはそのままゴロリと仰向けに寝そべり、目を閉じる。
 ジェラートはそのまま風に乗って舞い上がると、木々の合間に入っていった。

 この遠出の目的は、出来上がったばかりの翅のテスト飛行だとクロスは言った。
 しかしそれ以上に、ジェラートの気晴らしの意味もあったのだろう。
 今のジェラートは、一人で外に出かける事が出来ない。
 それはクロスがジェラートの体力を慮って、許可していないからなのだが。
 しかし、狭い住処の中に閉じこめられた形になっている事実に変わりはなく。
 開放感溢れる野外の飛行は、日々無意識のうちに溜まっていたストレスを綺麗に払拭してくれた。

 青い実を付けた樹木を見つけて、ジェラートはふんわりと着地する。
 柔らかな日差しの中、ただそこに腰を降ろしたまま、穏やかな風が渡っていく様をぼんやりと肌に感じていた。

「もうちょっと、警戒した方が良いんじゃないのか?」

 背後に立ったアルファに、ジェラートは不快な表情を隠しもせずに振り返る。

「なにか用か?」
「そんな顔するなよ、俺は忠告してやってるんだぜ? あるにの目の届かない場所に居るオメガが、他のアルファに掠め取られる…なんてのはありがちな話だ。外界は物騒だからな、誘拐されるならまだしも、その場で刻まれるコトだってあるんだぜ?」

 ジェラートは、コートの顔をハッキリと見知っていた訳ではなかったが。
 ただその声に聞き覚えがあった。

「ずいぶん小綺麗になったモンだな。…この翅、あのヒトに作ってもらったのか?」

 触れてこようとするコートの手を避けて、ジェラートはひらりと空に浮いた。
 目の前のアルファを見据えたまま、ジェラートはじわじわと間合いを取る。
 薄笑いを浮かべながら穏やかに語りかけてくるアルファからは、その様子とは裏腹の殺気と敵意を感じとれたからだ。

「俺はな、オマエがあのヒトの所に転がり込んだ時は、歓迎してたんだぜ。…アルファとしての全てを捨てちまったあのヒトが、オマエを手元に置くコトで思い出してくれると…。…自分が今やってるコトが、どんなにくだらないか気づいてくれると思ったからな」

 ゆっくりした動作で、コートは上腕の左腕を上げた。
 その先端には、陽光を弾いて鈍く光る大きな爪がある。

「…なのに、あのヒトはオマエの世話に掛かりっきりで…。翅の補修が終わっても、手放しゃしない。…確かにオマエさんは、そうしていれば綺麗なオメガさ。だがそれは、あのヒトが居てこそだ。判ってるだろう? オマエなんかに構っているヒマは、あのヒトにはねぇんだよ」
「それを決めるのは、オマエじゃないだろう…」

 ジェラートは、ジッとコートをにらみ据えた。

「ああ、確かに俺じゃあない。…だが、決断させる為のきっかけを作るのは、誰でもイイのさ」

 コートの一撃が来るのは、ほんの一瞬の隙に違いない。
 あの爪に掛かれば、痛みを感じる間もなく絶命させられる事は明らかだ。
 しかし下手な間合い動けば、アルファの糸に絡め取られる危険があった。
 こちらから仕掛けるのは、あまりに不利だろう。
 アルファの爪が、手招きをするようにゆらりと動いた。

「…っ!」

 のど元から胸に掛けて、アルファの爪が紙一重でよぎる。
 身を翻したジェラートは、一転して下降した。
 上空に逃れようとすれば、糸に絡め取られやすくなる。
 障害物が多ければ、追っ手の動きは制限されるとジェラートは判断したのだ。

「逃げるほど、苦しいだけだぞ」

 木々の間がキラキラと光っている事に気づき、ジェラートは微かに眉を顰める。
 こちらに逃れる事も予想して、木々の間にトラップを仕掛けてあったのだ。
 追っ手との距離を測り、糸の間をくぐり抜ける。
 そうして懸命に羽ばたきを続けながら、ジェラートはクロスの作り上げた翅に感嘆していた。
 急降下も急上昇も、思いのままに羽ばたける翅。
 見栄えももちろん、これほど実用的に動きが取れるとは思っていなかった。
 だが、翅は完璧な修繕がされていても、今のジェラートには本気で迫ってくるアルファから逃れるだけの体力がある訳もなく。
 そこここでくぐり損なった糸が、全身に少しずつ絡みついてくる。

「諦めが悪いな」

 不意に真正面に現れたコートに、ハッとなった時にはのど元を糸でしっかりと絡め取られていた。

「……く…っ!」

 食い込んできた糸に、息が苦しくなる。

「もったいねぇなぁ。これほどの翅なら、コレクションにしても良かったんだが……」

 目を眇め、コートはジェラートの薄い皮膚を鋭利な爪先で辿った。
 表皮を切り裂かれ、白い肌の上に赤い血が滲む。

「その美貌に免じて、最後は苦しませずに逝かせてやるよ…」

 クククと喉の奥で笑い、コートは細い牙をジェラートのうなじに突き立てようとした。

「…イ……ヤ…だっ…!」

 それだけは、命と引き換えにしても拒みたい。
 ジェラートは翅をバタつかせ、腕を振り回し、めくらめっぽうに暴れた。
 コートの牙が、振り回した腕を掠める。
 途端に、精神を支配する熱い感覚がジワリと広がった。
 背筋を這い上ってくる快楽を振り切ろうとして、ジェラートは首を左右に振る。
 コートの手が脇腹を撫で下ろし、熱が集まり始めている中心部を握り込む。

「オメガなんて、どれも同じさ。俺達アルファに触れられれば、みんなケツを振ってくる。…なんでこんな簡単なコトが解らねぇんだ、あのヒトは…」

 必死になって理性をつなぎ止めようと、ジェラートは強く唇を噛んだ。
 口腔内に錆臭い匂いが満ちあふれ、舌に広がる苦い味にほんの少し現実に引き戻される。

「面白いな、オマエ…。そんなコトをしたところで、大した意味もないんだぜ? 気持ち良くイク瞬間に、コイツで息の根止めてやるからさ」

 鈎爪をジェラートの胸に置いて、コートはなおも激しくジェラートの熱を弄んだ。

「……ん…んんっ…!」

思わず腰を突き出して、それ以上に強請ってしまいそうになる。

「無理すんなよ。ホントは体内なかに熱いのブチ込んでもらいたいんだろ?」

 膝に手を掛けられ、足を押し開こうとするコートの手を、振り払うどころか抵抗する事すらおぼつかず、ジェラートは悔しさになおも唇を噛んだ。

「安心しなよ。俺はオマエを焦らしたりなんかしないぜ。直ぐに天国見せてやる。おっと、その前にやっぱりうなじに痕を残さないと…な」

 コートがジェラートの体を押さえ込み、冷たい薄笑いを浮かべてのし掛かろうとしたその時不意に、コートの持つそれよりも一回り大きな爪が、コートの喉元にピタリと押し当てられた。

「他人の持ち物にちょっかい出すのは、ルール違反なんじゃないのか?」

 ジェラートから手を離し、コートはゆっくりと振り返る。
 そこには、無表情で立つクロスが居た。

「どういうつもりだ?」

 少し卑屈っぽい笑みを浮かべたコートは、肩を竦めてみせる。

「怒るなよ。…こんな痩せたオメガ一匹でさ。アンタならもっと上等なヤツを、いくらも侍らせるコトが出来るだろう?」
「俺は、どういうつもりだと訊ねている」

 喉に当てられている爪を、自分の爪で牽制するように押し戻し、コートはニヤニヤと笑う。

「俺はアンタに、以前のような威厳を取り戻して欲しいだけさ。…アンタだって、解ってるんだろう?」
「オマエが俺にどんな期待をしようが、それはオマエの勝手だ。…だがそれを押しつけられるのは迷惑だと、以前にも言ったと思うが?」
「じゃあアンタは、このままあの惨めな生活続けていく気なのかよ?! 今、アルファの仲間内でアンタがどんな風に呼ばれてるか、解ってンのか?! 騎士団長時代に、弦月の騎士と呼ばれたアンタがさぁ!」
「俺は俺のやりたいコトをやって、それに充分満足している。他のヤツラのウワサなんて、俺には何の関係も無い。そもそも、オマエが心配しているのは、本当に俺の風評か?」
「もちろん、そうに決まってるだろうっ!」
「どうだかな。俺が譲った邸宅が、売りに出されているウワサを聞いた。領地じゃ、反乱紛いの騒動もあったらしいじゃないか」

 コートは、ぎくりと顔を強張らせた。
 アルファであるコートは、もちろん世に居る数多のベータよりも優れた存在だ。
 だが、世の中の一握りの存在と言っても、アルファ同士の競争の中で、抜きん出ている者とそうでない者も、もちろん存在する。
 そういう意味で、クロスは頭一つ抜けている才能を持っていたが、コートは凡庸なアルファであった。
 クロスの威を借りて勢力拡大したコートにとって、クロスが居なくなった後のアルファ同士の抗争は、どうしても分が悪い。

「アンタが、戻ってきてくれれば! アンタが俺を、見捨てなきゃっ!」

 コートは顔を歪め、今にも泣き出しそうな顔で叫んだ。

「俺はもう、二度と街には戻らない。そう言っただろう」
「本気かよっ?」

 無言のクロスの、その冷静な顔に、絶対に覆らない事実だと知ったコートは、子供のように顔をくちゃくちゃにして本当に泣き出した。

「そんな……そんなの…あんまりだろっ! 俺は…俺はずっと、アンタが昔みたいにギラギラしてくれるのを、ずっと待って……。……そんなコト言うアンタは、もう俺の知ってるクロスじゃねぇよ! オマエなんか、偽物だっ!」

 泣き喚きながら、コートは正面のクロス目掛けて鋭利な爪を振り下ろす。
 その爪を自分の爪で受け止めて、クロスは一切の容赦もなく、もう片方の腕でコートの腕を切り裂いた。

「ぎゃあっ!」

 痛みにのたうつコートに振り向きもせず、クロスはコートの糸に絡め取られて、半端に熱を煽られたまま放置されていたジェラートを抱き上げる。

「…おい…、アイツ…このままにしておくのか?」

 荒く息をつきながら訊ねたジェラートに、クロスは返事をしなかった。
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