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禾牙魅の事情と川の中での抱擁3
しおりを挟む「嬉しかった」
沈黙していた禾牙魅さんが、口を開く。
「お前に口づけられて、触れられて、感じた」
涙が長く細い、けれど確実に男を感じさせる指で拭い取られる。
「俺を甘く見るな」
抱き込もうとした禾牙魅さんから逃げようとしたわたしは、手首を掴まれて背後から抱きしめられた。片手でそのままわたしの両手首を後ろに回して掴んでおき、禾牙魅さんはあいている手でわたしの胸に手を差し入れる。
「駄目、禾牙魅さんこそ穢れちゃう!」
「穢れてもいい。いや、お前は穢れていない。お前が自分が穢れていると思い込んでいるのなら、その思い込みを拭い取るまでだ」
浴衣の下で、禾牙魅さんの手が強く優しく蠢く。指が突起を探り当て、攻め立てる。次第に尖っていくそこを更につまみ、力を入れずに扱く。
「ふぁ、あ……っ、だめ、だめっ……」
乳首から腹と腰の間へと手が移動し、一頻り弄られると、時折わたしの身体が勝手にびくりと震える。性感帯とかいうものに当たっているのだろうか。更にその下へと手を移動させながら、禾牙魅さんはわたしの髪の毛を止めていたピンと髪ゴムを全部器用に歯を使って取り、元の髪型に戻してしまった。
「俺はやっぱりお前のこの自然な形が一番好きだ」
耳朶を甘く噛みながらね手は繁みをかき分けて小さな突起を見つけ出す。
「やっ!」
足を閉じても、禾牙魅さんは手を抜かなかった。花芽を撫でさすり、耳元で囁く。
「お前の頭のてっぺんから足のつま先まで全部、」
その先は小さすぎて聞こえなかった。
雨が降り出した。なのに禾牙魅さんの指は動きを止めようとしない。口を使って肩まで下がっていたわたしの浴衣を更に引きずり降ろし、背中の半ばまでをあらわにする。その禾牙魅さんより一回り以上も小さな背中のあちこちに強く吸い付いてくる。きっとそのたびに赤い跡がついているのだろうと思うと、全身が熱くなる。
「や……ぁ……っいや、いや、やめて……」
あまりの快感が恐くて、わたしは懇願する。足は既に強い愛撫に負けて、開いてしまっていた。
「思い込みは取れたか?」
禾牙魅さんは唇をわたしの首筋に当て、そこも強く吸い上げる。指は突起を離れ、花芯に触れていた。
「っ!」
「お前は穢れていない。依存はあるか?」
「な、ないっ!」
叫ぶように言った途端、禾牙魅さんの指が、液糸を引きながら花芯から離れて行く。快感がまだ残る身体、下げられた浴衣を正しながら、息切れしつつわたしは禾牙魅さんを振り向く。禾牙魅さんは薄く笑いながら、指についたわたしの愛液を舐め取っていた。
「随分濡れたな」
「そ、それはっ……雨っ!」
頬を火照らせて涙を抜きながら、わたしの虚しい抗議。
「雨にしては……甘い」
薄く微笑して、禾牙魅さんはふうとため息をついて元の表情に戻った。
「この雨では花火は中止だな。風邪を引かれては困る。帰ろう」
自分の浴衣を正し、わたしの手を取って川から上がる。
その時、何かがわたしの耳に聞こえてきた。何か……いや、誰かが、自分を呼ぶような、声。頭と耳に直接響いてくるような……ぼんやりとでは、あったけれど。
「どうかしたか?」
足を止めたわたしに、禾牙魅さんは不審に思ったらしく、振り返る。声は彼には聞こえていないようだ。
「ううん……早く行こう、寒くなってきた」
なぜだか恐くて、わたしは知らないふりをしていようと声を振り切った。
「……手を離すなよ」
禾牙魅さんはまだ気にかけているようだった。手に力がこもったことでそれが分かる。
「うん……」
それが頼もしく思えて、わたしは強く、その手を握り返した。
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