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気持ち、重なって(霞編)
しおりを挟む「……そろそろ、苺の中の【鬼精虫】も成長しきるな」
禾牙魅さんがそう口火を切ったのは、プールに行った日から間もなくの昼のリビングでのことだった。
「退治のしどきだな」
相槌を打つ霞の言葉に、わたしは自分のお腹に手を当ててみる。こうしていても、特に変わったところはないのに……鬼精王にはそれが分かるんだ。
「あの、退治って……どういうことするの?」
そういえばそのことを今まで聞いたことがなかった、と思って尋ねてみると、架鞍くんが口を開いた。
「【鬼精王】が強い快感を与えて、虫を消滅させるんだけど」
「強い快感……って、え?」
それって……まさか。
「【鬼精虫】の力が弱まる時期っていうのが、成長しきる時なんだよね」
「まあ、愛し愛された仲なら、尚のこと虫は消滅しやすいわけだけど」
架鞍くんの言葉に、霞が補足する。
「そんな……それって」
口ごもるわたしを、禾牙魅さんと霞が見つめてくる。
「最初からお前にそのことを言うと、警戒されると思った。だから言わなかった」
「今夜、苺ちゃんを一番好きな【鬼精王】の誰かが苺ちゃんの部屋に行く。それまで待っててくれ、心の準備もあるだろうし」
愛し愛された仲……ということは……。
「あなた達の中に、わたしを好きになってくれた人がいる、っていうの……?」
ちらりと禾牙魅さんの顔を見やる。
禾牙魅さんはわたしから視線をそらすと、カーテンの隙間から窓の外を見つめた。なにを考えているのかわからない。
「多分ね。そうじゃなくても退治は誰かがしなくちゃならねえから。そうしたら、【鬼精虫】の消滅も完全にうまくはいかないかもしれねえ。それは覚悟しといてくれ」
霞が、いつになく真顔で言った。
「わ、かった……」
とたとたと、わたしは自室に戻った。
◇
あれから何時間が経ったんだろう。もう、とっぷりと日は暮れて夜になっている。
成長しきっているという、わたしの中の【鬼精虫】。
わたしは……わたしは、どうなっちゃうんだろう……。
その時、ノックの音がしてわたしは飛び上がった。
「は、はいどうぞっ」
誰だろう、誰が来てくれたんだろう……。
霞だったらいいとずっと考えていた。でも、いざこの段階になると、自信がない。
扉が開いて──入ってきたのは、霞、だった。
霞は黙って後ろ手に扉を閉める。
そして、ふっと微笑んだ。
「なに、緊張してんの? はいどうぞだなんて」
「霞……」
「強い結界張っておいたから、【終わる】までは【鬼精鬼】も邪魔できねえから安心しな」
わたしの座っているベッドの隣に腰かけ、わたしの顎を持ち上げる霞。
「待って……待って、霞はわたしのこと、好き、なの?」
「分かってたけど、苺ちゃんて天然で鈍いよなあ。俺、あの夏祭りの日、河原で愛の告白したのと同じなのによ」
「、……」
霞に唇を塞がれる。優しく、深いキス。その間に霞はわたしの服を脱がせ、ベッドに横たえさせる。
「っ、はぁ……っ」
ようやくわたしを離し、霞は今度は自分の服を上だけ脱ぐ。また、傷跡がわたしの目の前に晒される。霞は悪戯っぽく微笑んだ。
「今まで苺ちゃんに色々言われてきた分、もうそんなこと言えねーようにお仕置きもしとかねえとなんなかったしな」
「え?」
わたしの脇腹に両手を添え、つつ、と胸の隆起に滑らせる。
「ナンパ男、とか」
「ん、っ」
やはり、触られただけでも快感が襲ってくる。
「へらへら顔、とか」
柔らかく胸を揉み、わたしの乳首が尖ってくる様子を見つめる。
「ぁ、あ」
「あとは……バカ霞、とか?」
首筋に顔を埋め、舌で愛撫する。赤い跡が、たぶん残ってしまうくらいに。
「や、だって……」
「言い訳すると、もっとするぜ?」
言って、霞は胸の突起を指で弄り、時折強く摘む。霞の舌がその突起を舐め始めた頃、快感に押されて息を乱し始めたわたしは懇願した。
「電気、電気消して」
「嫌だ」
「お願い」
「苺ちゃんの裸、ちゃんと見たいから嫌だ」
する、とショーツが抜き取られる。一瞬の隙だった。
「やだ、いや、霞っ」
「明るいところでここも見たい。河原では暗くてよく見えなかった」
「見ないで……っ」
「足、開いて」
霞はわたしの言葉をまるで聞いていない。手はまだ意地悪く、胸の突起を弄んでいる。
「いや。開くわけないでしょっ」
「そう、ならそれでもいいけど」
霞は、胸に再び顔を埋め、尖った乳首を舌で愛撫する。転がし、軽く噛んでは優しく舐める。
「ん、ん……んっ……」
舌が下がってくる。脇腹のわたしの性感帯へと、そして臍の下へと、どんどんわたしを快楽の波に誘っていく。知らず、わたしは力が抜け始めていた。霞の手が両足にかかり、一気にわたしの足を開いた。
「やっ!」
「綺麗だぜ、苺ちゃん。恥ずかしがることないって」
霞の瞳が、自分の一番恥ずかしい所を見つめているのが分かる。それだけで、愛液が溢れ出てしまう。
霞がくすっと笑った。
「もう欲しいの?」
「ちがっ……、」
「欲しくても、まだあげないよ」
太股に舌を這わせ、焦らすように花芯の入り口を撫でる。
「いや、あ……」
「嫌だったらこんなに感じねえよな?」
する、と一瞬だけ指を花芯に入れる。出して、指についた愛液を花芽に塗る。
「きゃんっ」
「普段強気な苺ちゃんがそんな声出すと、たまんねーな」
霞は余裕の笑みで、愛液で濡れ光った花芽をゆっくり撫で始める。
「ん、あ、ぅん、……じ、わる」
「ん? 聞こえないよ?」
霞は指の動きはそのままで、舌を腰骨の辺りに這わせる。
「い、じ、わるっ……」
「ああ、それも何度も言われたっけな。意地悪だよ~俺は」
わたしの下半身に顔を埋め、花芽の皮を剥き、直接舐める。指は花芯の中に二本、入れた。
「あ、あっ……!」
「意地悪だけど、好きだ」
「え……?」
「俺は苺ちゃんが好きだ」
わたしの瞳から涙が溢れた。霞の舌が花芽から離れ、花芯の中に入って、既に入れている二本の指と一緒に微妙だが強い快感を与えてくる。
「は、あぁっ……」
「苺ちゃんの気持ちは?」
「、……」
答えないでいると、霞は舌を花芯から抜いた……その感覚さえ、わたしには快楽になってしまう。わたしの喘ぐ声を聞きながら、霞は花芽を見つめ、前触れもなく唇で挟み込み、甘く齧った。
「きゃっ、あっ!!」
「こんなことされたとないだろ?」
言いながら、甘噛みしたまま歯を緩やかに動かす。
「あっあ、やぁん、かす、みっ……!!」
こんなこと、されたことは確かにない。身体中があまりの快楽で真っ白になりそうだ。
「はぁ、あ、あん」
自分でもこんな恥ずかしい声、出したくない。出したくないのに、勝手に出てしまう。ぎゅっとシーツを握り締めて堪えようとしても無駄だ。霞はそんなわたしの反応を見て、でもやめようとしない。
「霞、霞、やめて……っ」
霞は答えず、ただ愛撫を続ける。花芽を捕まえた歯を動かしつつ、舌でも攻める。花芯に入れた指をクチュクチュと動かす。もはやわたしの愛液は、太股を流れてシーツに小さな泉を作っていた。
声が止まらない。絶頂を迎えそうになりそうな時期を見計らったように、霞はわざとその時は愛撫を緩める。これでは蛇の生殺しだ。
わたしは泣きながら霞を見下ろし、びくっと震えた。霞の表情が、今までにない程に真剣すぎて、初めて霞が恐いと思った。
霞がそれに敏感に気付き、花芽から顔を上げる。
「俺が恐い?」
「、……」
わたしの表情が、答えだった。
「嬉しいね。初めて俺を恐いと思ってくれたんだ」
「……?」
「俺が恐いんだろ? ちゃんと男として初めて見てくれたって証拠だ」
「あ……」
「でも俺はやめないぜ」
霞はぺろりと指についたわたしの液を舐める……視線はわたしの怯えた瞳に据えたまま。
「苺ちゃんが泣いても抵抗しても、今夜は絶対にやめない。力尽くでも抱く」
わたしは、初めて霞の真剣な男の部分を見た。霞が自分の太股の愛液を舐め、膨らみきった赤い花のような花芽を摘み、噛んだり舐めたりしている。
「やっいや、いやっ、無理矢理なんていやっ」
喘ぎながら泣くわたしの言葉を無視するように、霞は見つめる。
「この蕾はまだ……咲ききってない」
指を花芯の中で動かす。
「こっちもまだだ」
愛撫が強くなる。でもイかせてはくれない。
「俺が咲かせる」
わたしの心臓ははちきれそうだ。やがて腰の震えが強くなってくると、ようやく霞はわたしの顔が見える位置まで上がって来た。瞳はやはり、恐い程真剣だ。
「苺ちゃんのここ、俺を欲しがってる」
「そ、そんなこと、」
「苺ちゃんの気持ちを教えてくれないと、欲しいものあげないぜ?」
「ほ、欲しくない……っ霞、コワいから……っ」
「そんなに荒い息ついてんのに? 顔も真っ赤なのに? 濡れまくってんのに?」
ピチャ、と花芯に指を出し入れして音まで立ててみせる。
「やだっ、そんな……音、させないでよっ……」
「恐くても本気で嫌ならこんなに濡れねえし腰も動かねえよ」
ピチャ……ちゅく、
「音出てんのは苺ちゃんが濡れすぎてるからだぜ?」
意地悪く笑う。霞は「悪人」ではないが「悪い男」だということを、わたしはこの時知った。
「霞のそーいうとこキライっ! 恥ずかしいこと平気でぽんぽん言って……!」
「愛してる」
指の代わりに、霞の昂ぶったものが少しだけ宛がわれる。同時に耳元で囁かれ、わたしの身体が震えた。なにに? 恐怖に? 快楽に? ……改めて真剣な声で愛を告白された、嬉しさに?
「なんで泣いてんのか、教えろよ。じゃないと入れてやらねえ」
「……、から」
わたしはやっとの思いで自分の気持ちを吐き出した。
「コワくてもっ、……霞が好きだからっ……!」
泣いているわたしを見下ろして、霞はふっと笑った。
「……やっと俺のもん」
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