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白い塔
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水琴は、ひとつの方角へ向かって歩いた。
廃墟の場所へは、人気のない道を選んで行けばよかったのだ。
やがて廃墟の入り口に着くと、日はもう傾いて、あたりは暗くなりかけていた。
気温のことを考えて服を選ばなかったので、少し寒い。
このぶんでは、今夜はまた雪になるだろう。
廃墟の中には、確かにひときわ背の高い、細長い塔が建っていた。
ここからはかなり遠そうだが、歩いて行くしかなかった。
薄い上着の前を押さえて、水琴は白い塔へ向けて歩いた。
途中、何度も建物の残骸に足を取られ、転びかけた。
夜になるにつれて寒さも増し、空から雪が落ちてきた。
かじかむ手を自分の息であたため、手袋だけでも持ってくればよかったと、少し後悔した。
夜が更け、真っ暗になっても、水琴は白い塔を見失うことはなかった。
白い塔は全体から白い光を放ち、ぼうっと輝いていたからだ。
やがて白い塔を目の前にした水琴は、その建物の高さに目をみはった。
まるで天まで突くような勢いで、水琴の前に立ちはだかっている。
振り向いてみると、街の灯りすら見えなくなっている。
廃墟の入り口までは、とても遠いに違いない。
それでも、そこからこの白い塔が充分見えたのだから、どれほどの高さなのかが知れる。
ぼんやりと白く発光する壁に、巨大な扉がついている。
取っ手はどこだろうかと手で探ってみると、ギイ、と開いてしまった。
息をひとつ吸い込むと、水琴は中に入っていった。
◇
「秦銀(しんぎ)、水琴を知らない? 見当たらないんだけど」
紅凪は、男の使用人のひとりに声をかけた。
30歳前後のこの男は、邸の使用人の中では最も長く勤めている。
無表情で口数も少ないが、そのぶん他の使用人よりは信用できると感じているのか、紅凪は何かあると必ずこの秦銀を呼びつけていた。
彼に対して腹を立てることもないようだ。
秦銀は窓をみがいていた手を止め、「存じません」と短く答えた。
「そう。じゃあ邸の外に出たまま、まだ帰らないのかな。街の端には近づかないでいるといいんだけど。あんまり端っこに行ったら、街から落ちてしまうからね」
紅凪は外への扉に手をかける。
「どちらへ?」
「水琴を探しにいく。もう外は真っ暗だ。こんなに遅くまで、水琴が邸に戻らなかったことはないからね」
お気をつけて、という秦銀の声を背中に聞き、紅凪は外へ出た。
歩くのは面倒なので、空へ上がった。
街の灯りは美しく、地上に星が落ちているようだ。
紅凪はしばらく浮遊していたが、ある場所まできて下降を始めた。
降り立ったところは、パン屋の前だった。
窓から覗いていた金音が、慌ててカーテンを閉めて外へ出てくる。
「紅凪様……お久し振りです」
「顔色が悪いね、金音。ちゃんとご飯は食べてる? ねえ、水琴がここにきているよね」
「いえ──水琴様とは、今日は一度も」
「ふうん?」
紅凪は、かまわずに店へはいろうとする。
金音が慌てて止めた。
「く、紅凪様っ……」
「庵白に会いたいんだ。いるんでしょ?」
紅凪が強引に金音を押しのけようとしたところへ、覚悟した面持ちで庵白が店から出てきた。
「水琴様は白い塔にいらっしゃいました」
ぴく、と紅凪の細い眉が動く。
紅凪の微笑みが、邪悪なものにすりかわる。
「しゃべったんだね? 白い塔のことを聞いたら水琴は必ずそこへ行こうとするから、なるべく聞かせないようにしていたのにな……でも、まあ話しちゃったなら仕方ないか」
紅凪はため息をつき、きびすを返した。ホッとする、金音。
突然、庵白が身体を負った。血を吐き、肺のあたりを押さえ、苦渋の顔をしてうずくまる。
金音が駆け寄った。
「庵白っ!?」
背を向けたまま、紅凪が笑い出す。
はっとして振り向く金音を肩越しに見やった。
「仕方ないけど、それなりの償いはしてもらうよ。当然だろう?」
「紅凪様、庵白に何をなさったんです!!」
「そう恐い顔しないでよ、金音。肺を潰したんだ。あと数分で死んじゃうよ、別れの挨拶をしたほうがいいんじゃない?」
金音は悲鳴のように、庵白の名を呼んだ。
夜空から、雪が落ち始める。
紅凪は、ひとひらの雪の軌跡を視線で追う。
「懐かしいね。水琴とぼくがここに倒れていたときも、こうして雪が降っていた」
「そのあなたを助けたのは、この庵白です! どうしてこんな仕打ちができるのですか! 助けてください、どうかお慈悲を!」
金音の泣きながらの訴えに、紅凪は「ふふ」、と無邪気に笑ってそのまま宙に浮き上がっていく。
「紅凪様っ……紅凪様あっ!」
喉もかれるほど叫ぶ金音の手に、庵白の手が弱々しく触れた。
いつも彼女を見ていた優しい瞳は、すでにまぶたに隠されて、息遣いもか細かったが、「もういい」というふうに、庵白は何度も妻の手を小さく撫でた。
金音はどうしようもなく、かぶさるように庵白を抱きしめた。
◇
白い塔の中は真っ暗だった。
見上げてみたが、目につくところには窓などひとつもない。
少しずつ足を踏み出し、水琴はそろそろと歩を進める。
何歩目かのところで、行き先を邪魔する何かにつま先が当たった。
身をかがめて手で探ると、どうやら階段のようだ。
探し当てた取っ手につかまりながら、水琴は階段を昇り始めた。
昇っていくうちに、わずかずつではあるが、視界がぼんやりと明るくなってきた。
見上げると、かなりの上方に小さな窓が壁に沿ってきれいな一列を作っている。
そこから何かの光が射し込んでいる。
そう……何かの、なのだ。
月の光にしては鮮やかすぎるし、太陽の光にしては繊細すぎる。
やがて窓が頭のすぐ上まで届くようになった頃、水琴はひとつの部屋に辿り着いた。
部屋の反対側、奥のほうにはまた階段がある。おそらく最上階へと続いているのだろう。
部屋は広く、小さなベッドがひとつと粗末な木製のテーブル、それに椅子が一脚置いてある。
部屋の中央に向かって進むうちに、壁にかかっているものに水琴は気づいた。
近寄ってみると、それは写真のようだった。
大きく引き伸ばされていたが、茶色く色あせており、薄暗い中でははっきりと識別できない。
それでも、何人かの人間の記念写真のようなものであることを、その輪郭からつきとめた。
もっとよく見ようと顔を近づけたとき、ふいに気配を感じ、水琴は振り向いた。
青年が、そこに立っていた。
背は高く、闇に染められたような黒いスーツに身を包み、青い輝きを放つ瞳は水琴をまっすぐにとらえていた。
「…………」
誰何しかけて、水琴は声を呑み込んだ。
もしかして、この青年が神なのかもしれない。
自分の考えに戸惑っていると、青年の唇が開いた。
「……ここへ、何しにきた」
水琴はひとつ深呼吸をして、口を開いた。
「……白い塔には、神が住んでいると聞いてきたの。何かを差し出せば、なんでも望むことをかなえてくれると聞いて」
言いながら、青年を観察する。
青年は、紅凪にも負けぬほど美しい顔立ちをしていた。
いや、もしかしたら紅凪よりも数段上かもしれない。
だからか分からないが、水琴はこの青年が神なのだと確信し始めていた。
「あたし……チカラがほしいの。紅凪の持っているような、うんなチカラが。紅凪よりももっともっと強い、みんなを守れるようなチカラ」
「──しかしお前は何も持っていないな、水琴」
青年は、彼女の名前を言い当てた。
しかし水琴は驚かない。
なにしろ相手は神なのだ、人の名前を言い当てるくらい簡単なことだろう。
水琴はかぶりを振った。
「あげるのはあたし自身よ。あたしにこれ以上のものを支払うことはできないわ」
青年は黙って水琴を見つめていたが、やがてまぶたを閉じた。
なにか考えているようだった。
「そう……そうかもしれないな」
やがて彼は目を開いて、うなずいた。
「ではここへ──水琴。お前をもらおう」
水琴は青年の傍へ歩み寄った。
近くで見ると青年の美貌はますます際立ち、才に溢れた芸術家が一生をかけてクリスタルで象った彫刻のようだった。
たくましい腕が水琴を包み込み、やや高い位置から唇がおりてくる。
予想に反して、唇はあたたかかった。
水琴は強い祈りをこめて、青年の胸に体重を預けた。
廃墟の場所へは、人気のない道を選んで行けばよかったのだ。
やがて廃墟の入り口に着くと、日はもう傾いて、あたりは暗くなりかけていた。
気温のことを考えて服を選ばなかったので、少し寒い。
このぶんでは、今夜はまた雪になるだろう。
廃墟の中には、確かにひときわ背の高い、細長い塔が建っていた。
ここからはかなり遠そうだが、歩いて行くしかなかった。
薄い上着の前を押さえて、水琴は白い塔へ向けて歩いた。
途中、何度も建物の残骸に足を取られ、転びかけた。
夜になるにつれて寒さも増し、空から雪が落ちてきた。
かじかむ手を自分の息であたため、手袋だけでも持ってくればよかったと、少し後悔した。
夜が更け、真っ暗になっても、水琴は白い塔を見失うことはなかった。
白い塔は全体から白い光を放ち、ぼうっと輝いていたからだ。
やがて白い塔を目の前にした水琴は、その建物の高さに目をみはった。
まるで天まで突くような勢いで、水琴の前に立ちはだかっている。
振り向いてみると、街の灯りすら見えなくなっている。
廃墟の入り口までは、とても遠いに違いない。
それでも、そこからこの白い塔が充分見えたのだから、どれほどの高さなのかが知れる。
ぼんやりと白く発光する壁に、巨大な扉がついている。
取っ手はどこだろうかと手で探ってみると、ギイ、と開いてしまった。
息をひとつ吸い込むと、水琴は中に入っていった。
◇
「秦銀(しんぎ)、水琴を知らない? 見当たらないんだけど」
紅凪は、男の使用人のひとりに声をかけた。
30歳前後のこの男は、邸の使用人の中では最も長く勤めている。
無表情で口数も少ないが、そのぶん他の使用人よりは信用できると感じているのか、紅凪は何かあると必ずこの秦銀を呼びつけていた。
彼に対して腹を立てることもないようだ。
秦銀は窓をみがいていた手を止め、「存じません」と短く答えた。
「そう。じゃあ邸の外に出たまま、まだ帰らないのかな。街の端には近づかないでいるといいんだけど。あんまり端っこに行ったら、街から落ちてしまうからね」
紅凪は外への扉に手をかける。
「どちらへ?」
「水琴を探しにいく。もう外は真っ暗だ。こんなに遅くまで、水琴が邸に戻らなかったことはないからね」
お気をつけて、という秦銀の声を背中に聞き、紅凪は外へ出た。
歩くのは面倒なので、空へ上がった。
街の灯りは美しく、地上に星が落ちているようだ。
紅凪はしばらく浮遊していたが、ある場所まできて下降を始めた。
降り立ったところは、パン屋の前だった。
窓から覗いていた金音が、慌ててカーテンを閉めて外へ出てくる。
「紅凪様……お久し振りです」
「顔色が悪いね、金音。ちゃんとご飯は食べてる? ねえ、水琴がここにきているよね」
「いえ──水琴様とは、今日は一度も」
「ふうん?」
紅凪は、かまわずに店へはいろうとする。
金音が慌てて止めた。
「く、紅凪様っ……」
「庵白に会いたいんだ。いるんでしょ?」
紅凪が強引に金音を押しのけようとしたところへ、覚悟した面持ちで庵白が店から出てきた。
「水琴様は白い塔にいらっしゃいました」
ぴく、と紅凪の細い眉が動く。
紅凪の微笑みが、邪悪なものにすりかわる。
「しゃべったんだね? 白い塔のことを聞いたら水琴は必ずそこへ行こうとするから、なるべく聞かせないようにしていたのにな……でも、まあ話しちゃったなら仕方ないか」
紅凪はため息をつき、きびすを返した。ホッとする、金音。
突然、庵白が身体を負った。血を吐き、肺のあたりを押さえ、苦渋の顔をしてうずくまる。
金音が駆け寄った。
「庵白っ!?」
背を向けたまま、紅凪が笑い出す。
はっとして振り向く金音を肩越しに見やった。
「仕方ないけど、それなりの償いはしてもらうよ。当然だろう?」
「紅凪様、庵白に何をなさったんです!!」
「そう恐い顔しないでよ、金音。肺を潰したんだ。あと数分で死んじゃうよ、別れの挨拶をしたほうがいいんじゃない?」
金音は悲鳴のように、庵白の名を呼んだ。
夜空から、雪が落ち始める。
紅凪は、ひとひらの雪の軌跡を視線で追う。
「懐かしいね。水琴とぼくがここに倒れていたときも、こうして雪が降っていた」
「そのあなたを助けたのは、この庵白です! どうしてこんな仕打ちができるのですか! 助けてください、どうかお慈悲を!」
金音の泣きながらの訴えに、紅凪は「ふふ」、と無邪気に笑ってそのまま宙に浮き上がっていく。
「紅凪様っ……紅凪様あっ!」
喉もかれるほど叫ぶ金音の手に、庵白の手が弱々しく触れた。
いつも彼女を見ていた優しい瞳は、すでにまぶたに隠されて、息遣いもか細かったが、「もういい」というふうに、庵白は何度も妻の手を小さく撫でた。
金音はどうしようもなく、かぶさるように庵白を抱きしめた。
◇
白い塔の中は真っ暗だった。
見上げてみたが、目につくところには窓などひとつもない。
少しずつ足を踏み出し、水琴はそろそろと歩を進める。
何歩目かのところで、行き先を邪魔する何かにつま先が当たった。
身をかがめて手で探ると、どうやら階段のようだ。
探し当てた取っ手につかまりながら、水琴は階段を昇り始めた。
昇っていくうちに、わずかずつではあるが、視界がぼんやりと明るくなってきた。
見上げると、かなりの上方に小さな窓が壁に沿ってきれいな一列を作っている。
そこから何かの光が射し込んでいる。
そう……何かの、なのだ。
月の光にしては鮮やかすぎるし、太陽の光にしては繊細すぎる。
やがて窓が頭のすぐ上まで届くようになった頃、水琴はひとつの部屋に辿り着いた。
部屋の反対側、奥のほうにはまた階段がある。おそらく最上階へと続いているのだろう。
部屋は広く、小さなベッドがひとつと粗末な木製のテーブル、それに椅子が一脚置いてある。
部屋の中央に向かって進むうちに、壁にかかっているものに水琴は気づいた。
近寄ってみると、それは写真のようだった。
大きく引き伸ばされていたが、茶色く色あせており、薄暗い中でははっきりと識別できない。
それでも、何人かの人間の記念写真のようなものであることを、その輪郭からつきとめた。
もっとよく見ようと顔を近づけたとき、ふいに気配を感じ、水琴は振り向いた。
青年が、そこに立っていた。
背は高く、闇に染められたような黒いスーツに身を包み、青い輝きを放つ瞳は水琴をまっすぐにとらえていた。
「…………」
誰何しかけて、水琴は声を呑み込んだ。
もしかして、この青年が神なのかもしれない。
自分の考えに戸惑っていると、青年の唇が開いた。
「……ここへ、何しにきた」
水琴はひとつ深呼吸をして、口を開いた。
「……白い塔には、神が住んでいると聞いてきたの。何かを差し出せば、なんでも望むことをかなえてくれると聞いて」
言いながら、青年を観察する。
青年は、紅凪にも負けぬほど美しい顔立ちをしていた。
いや、もしかしたら紅凪よりも数段上かもしれない。
だからか分からないが、水琴はこの青年が神なのだと確信し始めていた。
「あたし……チカラがほしいの。紅凪の持っているような、うんなチカラが。紅凪よりももっともっと強い、みんなを守れるようなチカラ」
「──しかしお前は何も持っていないな、水琴」
青年は、彼女の名前を言い当てた。
しかし水琴は驚かない。
なにしろ相手は神なのだ、人の名前を言い当てるくらい簡単なことだろう。
水琴はかぶりを振った。
「あげるのはあたし自身よ。あたしにこれ以上のものを支払うことはできないわ」
青年は黙って水琴を見つめていたが、やがてまぶたを閉じた。
なにか考えているようだった。
「そう……そうかもしれないな」
やがて彼は目を開いて、うなずいた。
「ではここへ──水琴。お前をもらおう」
水琴は青年の傍へ歩み寄った。
近くで見ると青年の美貌はますます際立ち、才に溢れた芸術家が一生をかけてクリスタルで象った彫刻のようだった。
たくましい腕が水琴を包み込み、やや高い位置から唇がおりてくる。
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