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邂逅
邪神様、クオンからの贈り物です
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土の公国へ向かう一行は皆、雰囲気も暗く口数も少なかった。
悠太くんがいた時は、あれほど騒がしかったというのに。
アウラレーゼを出て二日目の夜、私の天幕へクオンがトコトコと入って来た。
「マルぅ、これ」
差し出されたのは、ややクシャクシャの手紙だった。
おそらく手紙がこんな状態なのも、クオンが肌身離さずにずっと持っていたからなのだろう。
「ゆうたが、まちをでて、にかいめのよるになったら、ないしょでわたしてって」
「そうなの。クオン、ありがとう」
読んでもいないのに思わず泣きそうになる。
「ゆうたがね、マルぅにはしんぱいさせたくないって、いってた」
クオンの頭を撫でて、わたしは手紙を読んだ。
その内容が悠太くんらしくて安心すると同時に、そんな彼を疑うような別の理由で散々悩んでいた自分を恥じた。
「そっか。だからクオンだけは残してくれたんだね」
「マルぅの、おしごとがおわったら、ゆうたにあいにいくんだよ。はやくいこうね!」
クオンは嬉しそうに尻尾を振って笑顔を向ける。
そうだね、と言って、そんな愛らしいクオンを抱きしめた。
「みんなには内緒かぁ。でも、この落ち込んだ雰囲気のままで、わたしだけが本当の事を知ってるのは、なんか嫌だな」
「うん、きっとマルぅは、みんなにいうっていってた。だから、いいよっていってたよ」
そっか。きっと内緒にした理由は、わたし達が土の公国へ行くことを投げ出して付いてこられるのが嫌なだけだったのだろう。本当に、周りにばかり気を遣うんだから。
でも、マチルダの事は何も書いてないということは、悠太くんも想定外で連れていくことになったのかな。
ひとまず、みんなを集めて説明しなくちゃね。
「という訳で、悠太くんはサイクロプスの討伐に行きました。わたし達は一日でも早く、土の公国へ行って大地に豊穣の加護を授けて、一日でも早く悠太くんに合流しましょう」
みんなの顔が先程とは別人のように明るくなった。
「でもさ、ユータの方が早く終わるんじゃないの」
そのクロノアの一言で、皆一同に静かになった。
「なら、瞬間転移の魔法で、最小の人数で土の公国へ向かうのはどうでしょうか。たぶん、先日の件もありますし、ヘカテー様も協力してくれるのではありませんか」
ロザミア、ナイスです! それでいきましょう。
わたし達は土の公国へ向かう者と、ここで残り馬車などを守る者とで二手に分かれた。
ロータとスクルドが直ぐにでも行きそうになっていたが、それは許さなかった。
むしろロータとスクルドは、わたしと一緒に土の公国へ行ってもらうのだから。
あなた達二人は、もう、悠太くんの護衛でも補佐でもありませんからね。しっかり釘を刺しておいた。
◇
トボルの町までは急いでも五日程掛かるらしい。
サイクロプスに見つからないように来たエマは十日以上も掛けて来たらしいから結構な距離だ。
そして三日目の野営の準備を終えて、食事の支度をしながらエマと話をしていた。
「エマも一人でよく無事にアウルレーゼまで来れたよな」
「私、逃げ足だけは速いんです。ですから選ばれたんですけどね」
自慢気にあまりない胸を突き出して誇っていた。
何気に足フェチ、貧乳好きの俺にはご褒美だった。
「君、なんか視線がいやらしいよ」
おっと、いけないいけない。バレないように気を付けないとな。
「そんな視線は送ってないから。なんか最近マチルダ、変に気にしてないか。被害妄想は程々にな」
ふん、押し黙ったか。口下手なマチルダが俺に勝とうなんて百年早いわ、わっはは。
「マチルダさんて、あの有名な戦技無双の勇者様だったのですね。本当にお会いできて夢のようです」
「元、勇者だよ。それに彼の方が強いからね、武器込みで」
「そうなんですか。当代一と謳われたマチルダさんがそこまで仰るなんて、悠太様は凄いのですね」
なんだ、この慣れない称賛の流れは。
エマって、美人というよりは、かわいいって感じだし、なんか褒められると嬉しいなあ。
「君、鼻の下が伸びてるよ」
「伸びてねーよ。もうさっきから変なツッコミしないでくれます」
マチルダとエマがクスクス笑った。
どこに面白い要素があるんだよ。まったくもって理解できないね、ふん。
まあ、そんな感じで夜は更けていった。
エマの話だと、明日にはサイクロプスの出没するエリアに入るらしい。
油断せずに気を引き締めていかないとな。
そんな事をベッドで寝ながら思っていたら、ドアが突然開いてマチルダが入ってきた。
さらに驚いたことにマチルダは寝巻き姿だったのだ。
しかも、暗い部屋なのにうっすらと肌が透けていた。
「ど、どうした、ノックもしないで……」
驚きすぎて言葉が続かない。
マチルダは何も答えずに布団の中に入ってきた。
「初めてで、上手くできないけど、がんばるから」
そう言うとマチルダは俺の下腹部に手を伸ばしてズボンとパンツを脱がした。
「ちょっと、なにやってるのマチルダ。駄目だって!」
「エマが起きちゃう、静かにして」
そう言ってまた、下腹部まで顔を近づけていく。
俺は彼女の肩を掴んで止めるが、遅かった。
ああ、ダメだ、気持ちいい……
もはや抗うのは無粋だ。
旅の恥はかき捨て。そう、俺はこのまま流される事にした。
方針も決まり俺は獣と化して、マチルダを逆に優しく蹂躙した。
この世界に来て、初めて人間の女の子と関係を持った。
そして彼女はこう言った。
「悠太。これでやっと、私も君の恋人だね」
悠太くんがいた時は、あれほど騒がしかったというのに。
アウラレーゼを出て二日目の夜、私の天幕へクオンがトコトコと入って来た。
「マルぅ、これ」
差し出されたのは、ややクシャクシャの手紙だった。
おそらく手紙がこんな状態なのも、クオンが肌身離さずにずっと持っていたからなのだろう。
「ゆうたが、まちをでて、にかいめのよるになったら、ないしょでわたしてって」
「そうなの。クオン、ありがとう」
読んでもいないのに思わず泣きそうになる。
「ゆうたがね、マルぅにはしんぱいさせたくないって、いってた」
クオンの頭を撫でて、わたしは手紙を読んだ。
その内容が悠太くんらしくて安心すると同時に、そんな彼を疑うような別の理由で散々悩んでいた自分を恥じた。
「そっか。だからクオンだけは残してくれたんだね」
「マルぅの、おしごとがおわったら、ゆうたにあいにいくんだよ。はやくいこうね!」
クオンは嬉しそうに尻尾を振って笑顔を向ける。
そうだね、と言って、そんな愛らしいクオンを抱きしめた。
「みんなには内緒かぁ。でも、この落ち込んだ雰囲気のままで、わたしだけが本当の事を知ってるのは、なんか嫌だな」
「うん、きっとマルぅは、みんなにいうっていってた。だから、いいよっていってたよ」
そっか。きっと内緒にした理由は、わたし達が土の公国へ行くことを投げ出して付いてこられるのが嫌なだけだったのだろう。本当に、周りにばかり気を遣うんだから。
でも、マチルダの事は何も書いてないということは、悠太くんも想定外で連れていくことになったのかな。
ひとまず、みんなを集めて説明しなくちゃね。
「という訳で、悠太くんはサイクロプスの討伐に行きました。わたし達は一日でも早く、土の公国へ行って大地に豊穣の加護を授けて、一日でも早く悠太くんに合流しましょう」
みんなの顔が先程とは別人のように明るくなった。
「でもさ、ユータの方が早く終わるんじゃないの」
そのクロノアの一言で、皆一同に静かになった。
「なら、瞬間転移の魔法で、最小の人数で土の公国へ向かうのはどうでしょうか。たぶん、先日の件もありますし、ヘカテー様も協力してくれるのではありませんか」
ロザミア、ナイスです! それでいきましょう。
わたし達は土の公国へ向かう者と、ここで残り馬車などを守る者とで二手に分かれた。
ロータとスクルドが直ぐにでも行きそうになっていたが、それは許さなかった。
むしろロータとスクルドは、わたしと一緒に土の公国へ行ってもらうのだから。
あなた達二人は、もう、悠太くんの護衛でも補佐でもありませんからね。しっかり釘を刺しておいた。
◇
トボルの町までは急いでも五日程掛かるらしい。
サイクロプスに見つからないように来たエマは十日以上も掛けて来たらしいから結構な距離だ。
そして三日目の野営の準備を終えて、食事の支度をしながらエマと話をしていた。
「エマも一人でよく無事にアウルレーゼまで来れたよな」
「私、逃げ足だけは速いんです。ですから選ばれたんですけどね」
自慢気にあまりない胸を突き出して誇っていた。
何気に足フェチ、貧乳好きの俺にはご褒美だった。
「君、なんか視線がいやらしいよ」
おっと、いけないいけない。バレないように気を付けないとな。
「そんな視線は送ってないから。なんか最近マチルダ、変に気にしてないか。被害妄想は程々にな」
ふん、押し黙ったか。口下手なマチルダが俺に勝とうなんて百年早いわ、わっはは。
「マチルダさんて、あの有名な戦技無双の勇者様だったのですね。本当にお会いできて夢のようです」
「元、勇者だよ。それに彼の方が強いからね、武器込みで」
「そうなんですか。当代一と謳われたマチルダさんがそこまで仰るなんて、悠太様は凄いのですね」
なんだ、この慣れない称賛の流れは。
エマって、美人というよりは、かわいいって感じだし、なんか褒められると嬉しいなあ。
「君、鼻の下が伸びてるよ」
「伸びてねーよ。もうさっきから変なツッコミしないでくれます」
マチルダとエマがクスクス笑った。
どこに面白い要素があるんだよ。まったくもって理解できないね、ふん。
まあ、そんな感じで夜は更けていった。
エマの話だと、明日にはサイクロプスの出没するエリアに入るらしい。
油断せずに気を引き締めていかないとな。
そんな事をベッドで寝ながら思っていたら、ドアが突然開いてマチルダが入ってきた。
さらに驚いたことにマチルダは寝巻き姿だったのだ。
しかも、暗い部屋なのにうっすらと肌が透けていた。
「ど、どうした、ノックもしないで……」
驚きすぎて言葉が続かない。
マチルダは何も答えずに布団の中に入ってきた。
「初めてで、上手くできないけど、がんばるから」
そう言うとマチルダは俺の下腹部に手を伸ばしてズボンとパンツを脱がした。
「ちょっと、なにやってるのマチルダ。駄目だって!」
「エマが起きちゃう、静かにして」
そう言ってまた、下腹部まで顔を近づけていく。
俺は彼女の肩を掴んで止めるが、遅かった。
ああ、ダメだ、気持ちいい……
もはや抗うのは無粋だ。
旅の恥はかき捨て。そう、俺はこのまま流される事にした。
方針も決まり俺は獣と化して、マチルダを逆に優しく蹂躙した。
この世界に来て、初めて人間の女の子と関係を持った。
そして彼女はこう言った。
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