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新婚編
邪神様、うっかりは罪なのですか
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昨晩はベッドスペースに新兵器の防音結界を起動した。おかげで快適な夜を満喫した。
これは残念エドガーの飲み友達からのアイデアにより考案開発された。
もちろん天才クリエイターであるロータの手によって製品化された素晴らしいアイテムである。
また、この防音結界はお風呂場にも導入済みである。
そして日課の精霊たちとの朝の交流会を幸せ気分満載で開いていた。
うーん、だが最近は増え過ぎて誰が誰だかさっぱりなのである。だいたい俺には上位とか下位とか、大精霊だとか見分けがつかないのだから、わからないのも無理はない。
エルフの里から一緒にいる火と風の大精霊がこの群れのリーダー格である。群れと言っていいのか分からないけど。
「悠太くん、おはよう」
マルデルが隣に座り朝のキスを頬にしてくれた。
「今、こんなに大勢に囲まれてるんだね。悠太くんモテモテだねぇ」
「え、日に日に増えていくから、遊ぶのも一苦労なんだよね。そうだ、マルデルに分けてあげようか」
「冗談でもそんな事は言っちゃダメだよ。ほら、あの子たち拗ねてるでしょ」
マルデルが指差した方を見ると確かにむくれていた。
うーん、しかしどうしたら……
「そんな深刻にならなくても大丈夫だよ。あの子たちは悠太くんの側にいるだけで満足なんだから。こうやって毎朝話し掛けてあげるだけでも、あの子たちすごく嬉しそうだしね」
なるほど、そうなのか。なら安心だな。
「あれ、クロノアとクオンは」
「まだ二人とも寝てるよ。急ぐ旅でもないし、まだゆっくり寝かせてあげようかなって」
「そっか、マルデルは優しいね」
それから二人でしばらく精霊と遊んで、朝ごはんの支度をマルデルに教えながら料理をした。
マルデルは料理をちゃんと教えた通りやるので以外と上手くできた。
たぶん今までは教えてくれる人がいなかっただけなのだろう。
「マルデル、このスープすごく美味しくできてるよ。ほら、アーン」
「あーん。……ほんとだ、すごく美味しい」
「マルデルは料理の才能があるよ。初めてでこんなに美味しいのが作れるんだからさ」
「えへへ、もう、悠太くんのおかげだよ」
朝からバカップルな俺たちだった。
たが、それもいい。新婚旅行なのだから。
料理ができて、クロノアとクオンを起こして朝食をみんなで食べた。
クロノアはあまりの美味しさに驚いて、何度もマルデルが作ったのかとしつこく聞いていた。
クオンは寝ぼけてスープをポタポタ、パンをポロポロこぼしていた。それをマルデルが一生懸命拭いていた。
ああ、心が癒される。まだ朝なのに。
◇
ガイドブックの地図を見ながら近くの村を目指した。
途中途中で、マルデルと二人で大地を蘇らせながら、のんびりゆっくりと歩いて進んだ。
「ユータって方向音痴だよね。こっちで本当に大丈夫なの」
「人というのは常に向上するのだよ、クロノアくん。俺には風の大精霊というナビゲーターがいるのだよ、あっははは」
あれ、なんかクロノアもマルデルも白い目を向けてるような気がする。
「ちなみになんて聞いてるの、ユータ」
「ん、ガイドブックを見せて、ここの近くの村に行きたいって」
あれ、なんか呆れていませんか、お二人さん。
「それじゃ、たぶんそこの村じゃなくて、いちばん近くの別の村に案内されるだけだと思うよ。地図なんて精霊には分かんないしさ」
え、だってウンディーネはちゃんと案内してたぞ。
『クロノアは失礼だよ。わたしだってちゃんと地図くらい見れるんだからね』
突然現れた風の大精霊はそういうと、マルデルの肩に座ってるクロノアを軽く風で吹き飛ばした。
いわゆる、ケンカをはじめたのだ。
「あん、いつの間にそんな芸当を覚えたのよ。この気まぐれ精霊が!」
クロノアは灰色の旋風を放った。が、風の大精霊によって打ち消されて霧散した。
『ふっ、わたしに風で勝負しようなんて烏滸がましいのよ』
「なんですって! なら、本気をだそうじゃないの。あいたっ!」
「クロ、いい加減にしなさい」
マルデルが二人のケンカを止めた。
ん、でもマルデルも疑いの目をむけてたよな。
『やーいやーい、怒られてざまぁですよ』
うむ、さすが毎朝遊んでるだけはある。しっかり口が悪くなってしまった。
風の大精霊は煽るだけ煽ると、俺の頭の上にちょこんと座った。たぶん傍から見ればクオンを肩車中なのでおかしな事になっているはずだ。
「ユータ、そんな汚い言葉を教えちゃダメなんだからね!」
「そうだよ、悠太くん。ほんとロータといい、あまり変な言葉は教えないでよ。クオンの教育にも悪いからね、ほんとダメだよ」
怒られた、なんで俺が怒られるのか。
「おい、シェリー。おまえのせいで怒られたじゃないか。おまえも一緒に反省しろ」
『……はい、反省します』
「ちょ、ちょっと、悠太くん! なに名を与えてるのよ!」
「そ、そ、そうだよ、ユータ。だからこんなに……」
え、なんで付き合い長いからね、名くらい付けてあげるさ。
「ああ、もう、ごまかさなくていいよ。どうせ、とっくに受肉してるんでしょ、シェリー」
『え、なんのことかな。ぜんぜん分からないよ。ね、王様』
おい、急に俺に振るな。
俺はなにも分かっていないんだからな。
「ああもうダメだ、フレイヤ。あれは悪戯妖精に進化してるよ。きっとユータのことだから、まだいるはずだよ」
「そうね。悠太くん、正直に話して。その子の他に名を与えた子は何人いるの」
や、やばい、目が怖い。
ど、どうふる、しょ、正直に話した方がいひのか……
「えっと、あとは火の大精霊だけだよ。ほら、二人ともいちばん付き合いが長いし、名前ないと不便かなって……」
目、目が光った! 二人とも怖いんですけど!
「で、その子にはなんと名を付けてあげたのかな」
目を光らせながらマルデルがにじり寄る。
「えっと、あのう、アンジュ。アンジュって付けました」
「そう。なら、いい子だからアンジュ出ておいで」
一見優しそうな話し方だが、違う、これは威圧してる。
『はい、女王様、なんでしょうか』
「アンジュ、あなたたち受肉した時に名と何をもらったの」
え、俺、なんかあげたっけ?
『はい、王様の体液です』
な、なんだと、いつの間に!
「体液ですって。そんなのどうやってもらったのよ」
あ、マルデル様、ちょっと本気で怖いですよ。
『はい、口づけを交わした際に頂きました』
あ、そういえばしたな。そう言われたからな、あの時。
「なるほど。それであなた達以外にはいるのかしら」
『いいえ、わたしとシェリーだけです』
「そう、ならこれ以上馬鹿な真似はしないよう、悠太くんを見張ってちょうだい」
『はい、女王様。では、わたしはこれで』
プスっと炎が消えたように消えた。
「なるほど、これでユータの魔法の威力が上がったのも納得がいったよ」
「ええ、クロ、これはちゃんと教えないとまた危ない事になりそうだね」
あ、もうマジでこわい。そんな、クオン助けて!
あれ、頭がなんか冷たい、涎か……
あっ、寝てるし!
「今日はここで野営しましょう。悠太くん、小屋を出して。そこでお勉強しましょう、みっちりとね」
あああ、これは女教師マルデルだ!
この後、たっぷり説教されて、教育された。
シェリーとアンジュは前の世界で例えるなら核兵器みたいなものらしい。
俺は世界を征服でもするのか、それとも滅ぼすつもりなのかと、散々叱られた。
ああ、なんかこっちの世界はめんどくさいな。
名前くらい別にいいじゃん。
まあ、でも次は気をつけよう、かな。
これは残念エドガーの飲み友達からのアイデアにより考案開発された。
もちろん天才クリエイターであるロータの手によって製品化された素晴らしいアイテムである。
また、この防音結界はお風呂場にも導入済みである。
そして日課の精霊たちとの朝の交流会を幸せ気分満載で開いていた。
うーん、だが最近は増え過ぎて誰が誰だかさっぱりなのである。だいたい俺には上位とか下位とか、大精霊だとか見分けがつかないのだから、わからないのも無理はない。
エルフの里から一緒にいる火と風の大精霊がこの群れのリーダー格である。群れと言っていいのか分からないけど。
「悠太くん、おはよう」
マルデルが隣に座り朝のキスを頬にしてくれた。
「今、こんなに大勢に囲まれてるんだね。悠太くんモテモテだねぇ」
「え、日に日に増えていくから、遊ぶのも一苦労なんだよね。そうだ、マルデルに分けてあげようか」
「冗談でもそんな事は言っちゃダメだよ。ほら、あの子たち拗ねてるでしょ」
マルデルが指差した方を見ると確かにむくれていた。
うーん、しかしどうしたら……
「そんな深刻にならなくても大丈夫だよ。あの子たちは悠太くんの側にいるだけで満足なんだから。こうやって毎朝話し掛けてあげるだけでも、あの子たちすごく嬉しそうだしね」
なるほど、そうなのか。なら安心だな。
「あれ、クロノアとクオンは」
「まだ二人とも寝てるよ。急ぐ旅でもないし、まだゆっくり寝かせてあげようかなって」
「そっか、マルデルは優しいね」
それから二人でしばらく精霊と遊んで、朝ごはんの支度をマルデルに教えながら料理をした。
マルデルは料理をちゃんと教えた通りやるので以外と上手くできた。
たぶん今までは教えてくれる人がいなかっただけなのだろう。
「マルデル、このスープすごく美味しくできてるよ。ほら、アーン」
「あーん。……ほんとだ、すごく美味しい」
「マルデルは料理の才能があるよ。初めてでこんなに美味しいのが作れるんだからさ」
「えへへ、もう、悠太くんのおかげだよ」
朝からバカップルな俺たちだった。
たが、それもいい。新婚旅行なのだから。
料理ができて、クロノアとクオンを起こして朝食をみんなで食べた。
クロノアはあまりの美味しさに驚いて、何度もマルデルが作ったのかとしつこく聞いていた。
クオンは寝ぼけてスープをポタポタ、パンをポロポロこぼしていた。それをマルデルが一生懸命拭いていた。
ああ、心が癒される。まだ朝なのに。
◇
ガイドブックの地図を見ながら近くの村を目指した。
途中途中で、マルデルと二人で大地を蘇らせながら、のんびりゆっくりと歩いて進んだ。
「ユータって方向音痴だよね。こっちで本当に大丈夫なの」
「人というのは常に向上するのだよ、クロノアくん。俺には風の大精霊というナビゲーターがいるのだよ、あっははは」
あれ、なんかクロノアもマルデルも白い目を向けてるような気がする。
「ちなみになんて聞いてるの、ユータ」
「ん、ガイドブックを見せて、ここの近くの村に行きたいって」
あれ、なんか呆れていませんか、お二人さん。
「それじゃ、たぶんそこの村じゃなくて、いちばん近くの別の村に案内されるだけだと思うよ。地図なんて精霊には分かんないしさ」
え、だってウンディーネはちゃんと案内してたぞ。
『クロノアは失礼だよ。わたしだってちゃんと地図くらい見れるんだからね』
突然現れた風の大精霊はそういうと、マルデルの肩に座ってるクロノアを軽く風で吹き飛ばした。
いわゆる、ケンカをはじめたのだ。
「あん、いつの間にそんな芸当を覚えたのよ。この気まぐれ精霊が!」
クロノアは灰色の旋風を放った。が、風の大精霊によって打ち消されて霧散した。
『ふっ、わたしに風で勝負しようなんて烏滸がましいのよ』
「なんですって! なら、本気をだそうじゃないの。あいたっ!」
「クロ、いい加減にしなさい」
マルデルが二人のケンカを止めた。
ん、でもマルデルも疑いの目をむけてたよな。
『やーいやーい、怒られてざまぁですよ』
うむ、さすが毎朝遊んでるだけはある。しっかり口が悪くなってしまった。
風の大精霊は煽るだけ煽ると、俺の頭の上にちょこんと座った。たぶん傍から見ればクオンを肩車中なのでおかしな事になっているはずだ。
「ユータ、そんな汚い言葉を教えちゃダメなんだからね!」
「そうだよ、悠太くん。ほんとロータといい、あまり変な言葉は教えないでよ。クオンの教育にも悪いからね、ほんとダメだよ」
怒られた、なんで俺が怒られるのか。
「おい、シェリー。おまえのせいで怒られたじゃないか。おまえも一緒に反省しろ」
『……はい、反省します』
「ちょ、ちょっと、悠太くん! なに名を与えてるのよ!」
「そ、そ、そうだよ、ユータ。だからこんなに……」
え、なんで付き合い長いからね、名くらい付けてあげるさ。
「ああ、もう、ごまかさなくていいよ。どうせ、とっくに受肉してるんでしょ、シェリー」
『え、なんのことかな。ぜんぜん分からないよ。ね、王様』
おい、急に俺に振るな。
俺はなにも分かっていないんだからな。
「ああもうダメだ、フレイヤ。あれは悪戯妖精に進化してるよ。きっとユータのことだから、まだいるはずだよ」
「そうね。悠太くん、正直に話して。その子の他に名を与えた子は何人いるの」
や、やばい、目が怖い。
ど、どうふる、しょ、正直に話した方がいひのか……
「えっと、あとは火の大精霊だけだよ。ほら、二人ともいちばん付き合いが長いし、名前ないと不便かなって……」
目、目が光った! 二人とも怖いんですけど!
「で、その子にはなんと名を付けてあげたのかな」
目を光らせながらマルデルがにじり寄る。
「えっと、あのう、アンジュ。アンジュって付けました」
「そう。なら、いい子だからアンジュ出ておいで」
一見優しそうな話し方だが、違う、これは威圧してる。
『はい、女王様、なんでしょうか』
「アンジュ、あなたたち受肉した時に名と何をもらったの」
え、俺、なんかあげたっけ?
『はい、王様の体液です』
な、なんだと、いつの間に!
「体液ですって。そんなのどうやってもらったのよ」
あ、マルデル様、ちょっと本気で怖いですよ。
『はい、口づけを交わした際に頂きました』
あ、そういえばしたな。そう言われたからな、あの時。
「なるほど。それであなた達以外にはいるのかしら」
『いいえ、わたしとシェリーだけです』
「そう、ならこれ以上馬鹿な真似はしないよう、悠太くんを見張ってちょうだい」
『はい、女王様。では、わたしはこれで』
プスっと炎が消えたように消えた。
「なるほど、これでユータの魔法の威力が上がったのも納得がいったよ」
「ええ、クロ、これはちゃんと教えないとまた危ない事になりそうだね」
あ、もうマジでこわい。そんな、クオン助けて!
あれ、頭がなんか冷たい、涎か……
あっ、寝てるし!
「今日はここで野営しましょう。悠太くん、小屋を出して。そこでお勉強しましょう、みっちりとね」
あああ、これは女教師マルデルだ!
この後、たっぷり説教されて、教育された。
シェリーとアンジュは前の世界で例えるなら核兵器みたいなものらしい。
俺は世界を征服でもするのか、それとも滅ぼすつもりなのかと、散々叱られた。
ああ、なんかこっちの世界はめんどくさいな。
名前くらい別にいいじゃん。
まあ、でも次は気をつけよう、かな。
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