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新婚編
邪神様、あなたの操は守るから
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なんか二人とも死んだように静かなんだけど。
ベッドで並んで寝かしている二人を見てそう思った。
さっきからヘカテーはずっと考え込んで、ウンウンうるさい。それにロータもスクルドも落ち着きなくウロウロ部屋を歩き回ってるし、なんなのこの人達は。
「凛子、あんた何か思いつかない。もうここで冷静なのは、わたし達だけだし」
「アニメとかならこういう感じは、あれしかないよね」
「ああ、あれね。で、なんなのよ、あれって!」
「幽体離脱よ。この島の状況を考えればそれしかない」
はい? ばかなの、あほなの、どれだけアニメ脳なのよ!
「凛ちゃん、それ、あってるかも」
あああ、ヘカテーまで何言ってんのよ!
このぼっちコンビはほんとダメね。
「その証拠に息をしていないわ」
ヘカテーは顔を赤らめてフレイヤの顔に近づいていた。
「この変態がぁ、離れなさいよ!」
わたしはとっさにフレイヤの操を守った。そう、渾身の必殺右ストレートで、ヘカテーを部屋の壁まで吹き飛ばしてやった。
ああ、やったわ。ちゃんと守れたのね、わたし。
「なにするのよ、クロノア。痛いじゃない」
「うっさいわ、顔を赤くしてハアハアいって、フレイヤの唇を奪おうとしてたくせに」
「あ、え、そんな事は、うん、ないよ」
あああ、その態度で嘘をつくのはやめなさいよね。キョドッてんのが、その証拠でしょ。
「クロノア、仮に幽体離脱だとしてどうしますか」
「スクルド、わたしに聞かないで。わたしの専門じゃないし」
「もう、クロノアも肝心なところで使えないよね」
「あああ、ロータ。なら、アンタこそなんか言ってみなさいよ」
ロータはすぐさま顔を背けた。
やっぱりこいつはダメな、あほ女戦士だ。
「でも、このままにして大丈夫なの、ヘカテー」
「大丈夫よ、凛ちゃん。お姉様なら必ず戻ってくるわ」
「ねえ、その根拠はなに。すごく不安でしかないけど」
「く、クロノア、それは、うん、お姉様なら大丈夫よ」
変態ヘカテーはそう言って後ろを向いた。
はぁ、ほんとこいつ闇の女神なの。使えなさすぎ。
「まあいいよ、しばらくこのまま様子を見ましょう。きっと、フレイヤなら自分でなんとかするよ」
◇
悠太くんは私の腰にしがみついて恐る恐るついてきた。
もう、ほんとに甘えん坊さんなんだから。
そうやって小屋の外に出てみたが、なにここ。なんか広い洞窟の中みたいな感じなんですけど。
どう考えても、どう見ても冥界よね、ここ。
「悠太くん、わたし達知らない間に冥界に来たみたい」
「え、マルデルほんと」
悠太くんの足がガタガタ震えだした。
「もう、大丈夫だから安心して。わたしが必ず守ってあげるからね」
「でも、だって、なんにも俺たち武器を持ってないよ」
「ふふん、それは大丈夫です。見ててね、悠太くん。おいで、マルディール!」
マルディールがわたしの手元に現れた。
ふふふ、呼べば来るのだよ、この子は。
「あ、マルディールが。やっぱりこいつ浮気してやがったな」
急に元気になったけど、マルディールをみて安心したのかな。なんて、かわいいのかな、悠太くんは。
「もう、ちゃんと渡した時に言ったよ。呼べばくるし、手元を離れても勝手に敵を倒してくれるって教えたでしょ」
「え、そうだっけ。そんな話は聞いてないような気も」
「いいえ、ちゃんと教えました。悠太くんが聞いてなかっただけですぅ」
悠太くんにマルディールを渡しながら、少し揶揄った。
なんか、いつもの悠太くんに戻って揶揄いがいがある。
「よし、マルデル。俺が君を守るからな」
ぷっ、なんてかわいいの。
「ちょっと、笑うとこじゃないから」
「はいはい、わたしのナイト様、頼みますね」
「はい、我が愛しの姫、お任せください」
そう言って悠太くんは片膝をついて、わたしの手の甲にキスをした。うん、なかなか格好いいかも。
「では姫、参りましょう」
悠太くんはわたしの手を取り歩きだした。
でも、そっちでいいのかな。悠太くん方向音痴だし、反対の方が良いんじゃないかな。
そんな事を考えていたら、ケルベロスとその手下の犬どもが、わたし達の行く手を阻んだ。
悠太くんは何も言わず、ただ一気にケルベロスに間合いを詰めて斬り払うと、まるで踊るようにクルクル回ったり跳ねたりしながら次々と斬っていった。すごい、格好いいよ、悠太くん!
最後にマルディールに付いた血を格好よく払うと、こちらを振り向いて戻ってくる。
きゃー! 格好いいよ、悠太くん!
わたしは走って悠太くんの胸に飛び込んだ。
「悠太くん、すごく格好良かったよ」
「マルデルを守っただけだよ」
はぁん、もう素敵すぎて腰が抜けちゃうよ。
え、バカップル?
いいの、だってわたし達新婚だもん。ね、悠太くん!
こうして私はまた悠太くんの素敵なところを発見した。
うん、この状況も案外悪くないわね。
「マルデル、先へ進もう」
今度は悠太くんが、わたしの手を取った歩いた。
ああ、なんか幸せだよ。
きっと二人なら、どこにいても幸せなのね。
ベッドで並んで寝かしている二人を見てそう思った。
さっきからヘカテーはずっと考え込んで、ウンウンうるさい。それにロータもスクルドも落ち着きなくウロウロ部屋を歩き回ってるし、なんなのこの人達は。
「凛子、あんた何か思いつかない。もうここで冷静なのは、わたし達だけだし」
「アニメとかならこういう感じは、あれしかないよね」
「ああ、あれね。で、なんなのよ、あれって!」
「幽体離脱よ。この島の状況を考えればそれしかない」
はい? ばかなの、あほなの、どれだけアニメ脳なのよ!
「凛ちゃん、それ、あってるかも」
あああ、ヘカテーまで何言ってんのよ!
このぼっちコンビはほんとダメね。
「その証拠に息をしていないわ」
ヘカテーは顔を赤らめてフレイヤの顔に近づいていた。
「この変態がぁ、離れなさいよ!」
わたしはとっさにフレイヤの操を守った。そう、渾身の必殺右ストレートで、ヘカテーを部屋の壁まで吹き飛ばしてやった。
ああ、やったわ。ちゃんと守れたのね、わたし。
「なにするのよ、クロノア。痛いじゃない」
「うっさいわ、顔を赤くしてハアハアいって、フレイヤの唇を奪おうとしてたくせに」
「あ、え、そんな事は、うん、ないよ」
あああ、その態度で嘘をつくのはやめなさいよね。キョドッてんのが、その証拠でしょ。
「クロノア、仮に幽体離脱だとしてどうしますか」
「スクルド、わたしに聞かないで。わたしの専門じゃないし」
「もう、クロノアも肝心なところで使えないよね」
「あああ、ロータ。なら、アンタこそなんか言ってみなさいよ」
ロータはすぐさま顔を背けた。
やっぱりこいつはダメな、あほ女戦士だ。
「でも、このままにして大丈夫なの、ヘカテー」
「大丈夫よ、凛ちゃん。お姉様なら必ず戻ってくるわ」
「ねえ、その根拠はなに。すごく不安でしかないけど」
「く、クロノア、それは、うん、お姉様なら大丈夫よ」
変態ヘカテーはそう言って後ろを向いた。
はぁ、ほんとこいつ闇の女神なの。使えなさすぎ。
「まあいいよ、しばらくこのまま様子を見ましょう。きっと、フレイヤなら自分でなんとかするよ」
◇
悠太くんは私の腰にしがみついて恐る恐るついてきた。
もう、ほんとに甘えん坊さんなんだから。
そうやって小屋の外に出てみたが、なにここ。なんか広い洞窟の中みたいな感じなんですけど。
どう考えても、どう見ても冥界よね、ここ。
「悠太くん、わたし達知らない間に冥界に来たみたい」
「え、マルデルほんと」
悠太くんの足がガタガタ震えだした。
「もう、大丈夫だから安心して。わたしが必ず守ってあげるからね」
「でも、だって、なんにも俺たち武器を持ってないよ」
「ふふん、それは大丈夫です。見ててね、悠太くん。おいで、マルディール!」
マルディールがわたしの手元に現れた。
ふふふ、呼べば来るのだよ、この子は。
「あ、マルディールが。やっぱりこいつ浮気してやがったな」
急に元気になったけど、マルディールをみて安心したのかな。なんて、かわいいのかな、悠太くんは。
「もう、ちゃんと渡した時に言ったよ。呼べばくるし、手元を離れても勝手に敵を倒してくれるって教えたでしょ」
「え、そうだっけ。そんな話は聞いてないような気も」
「いいえ、ちゃんと教えました。悠太くんが聞いてなかっただけですぅ」
悠太くんにマルディールを渡しながら、少し揶揄った。
なんか、いつもの悠太くんに戻って揶揄いがいがある。
「よし、マルデル。俺が君を守るからな」
ぷっ、なんてかわいいの。
「ちょっと、笑うとこじゃないから」
「はいはい、わたしのナイト様、頼みますね」
「はい、我が愛しの姫、お任せください」
そう言って悠太くんは片膝をついて、わたしの手の甲にキスをした。うん、なかなか格好いいかも。
「では姫、参りましょう」
悠太くんはわたしの手を取り歩きだした。
でも、そっちでいいのかな。悠太くん方向音痴だし、反対の方が良いんじゃないかな。
そんな事を考えていたら、ケルベロスとその手下の犬どもが、わたし達の行く手を阻んだ。
悠太くんは何も言わず、ただ一気にケルベロスに間合いを詰めて斬り払うと、まるで踊るようにクルクル回ったり跳ねたりしながら次々と斬っていった。すごい、格好いいよ、悠太くん!
最後にマルディールに付いた血を格好よく払うと、こちらを振り向いて戻ってくる。
きゃー! 格好いいよ、悠太くん!
わたしは走って悠太くんの胸に飛び込んだ。
「悠太くん、すごく格好良かったよ」
「マルデルを守っただけだよ」
はぁん、もう素敵すぎて腰が抜けちゃうよ。
え、バカップル?
いいの、だってわたし達新婚だもん。ね、悠太くん!
こうして私はまた悠太くんの素敵なところを発見した。
うん、この状況も案外悪くないわね。
「マルデル、先へ進もう」
今度は悠太くんが、わたしの手を取った歩いた。
ああ、なんか幸せだよ。
きっと二人なら、どこにいても幸せなのね。
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