邪神様に恋をして

そらまめ

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未踏の大地へ(青年編)

女神様、いいかげん、そのくだり止めませんか

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 次の日の早朝、やや憂鬱な気分で精霊達との交流会を行っていた。だが、その憂鬱な気分なのは決して精霊達のせいではない……

「どうしたのですか」

 アンジュが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
 はぁ、どうしたも、こうしたもないだろう。色々とありすぎて理解が追いつかない。

「なあ、どうして昨日は俺を助けてくれなかったんだ。せめてアドバイスくらいしてくれてもよかっただろう」
「私たちにも色々としがらみがあるのです。それに結果的にはなんの危害もありませんでしたし」

 おい、危害がなければそれでいいのか。それに、しがらみって……

「それで悠太様。今日からまた冒険を再開するんですよね」
「ああ、北のヘパなんとかさんの街までな。というか、街があったということは人がこの大陸に昔は居たということだよな。それって人類未踏の大地じゃないんじゃないか。偉業にはならいよな、これって」

 おいおい、なんか、ますます憂鬱な気分になってきたよ……

「えっ、今更そんな事を。でも安心してください。ヘパイトスは眷属とこの大陸に渡ってきたので、人としてこの地に最初に来たのは悠太様ですよ」

 ん、なんだと。なら偉業は継続中ということか。ふっふふ……

「そうか、それは良かった。で、なんで神様なのに街が廃墟になったんだ。まさか神様なのに魔物にやられたのか」
「行けば分かると思いますが、街を作ってる途中で女王と戦う為にこの地を離れ、そして女王に討たれたからです。それに、神が魔物に討たれるなんて事はあまり無い事ですから、いくらなんでも失礼過ぎますよ」

 なぁ、あまり無い、ということはあり得るということだろ。そんな間違ってないんじゃ……

「だいたい女王がおかしいだけで、普通、神が一柱で一度に多くの神々相手にするなんて出来ませんから。強すぎるんですよ、女王は」
「ねぇ、シェリー。私がおかしいって言った?」

 その言葉とともにシェリーを捕まえると、マルデルはシェリーに目を合わせて不敵に笑った。
 これはヤバい。かなり怒っている……

「ひゃあい、いえ、い、い、い、言ってません!」

 なんというバレバレな嘘を。というか、本気で恐怖してるな。もう、しょうがないなぁ。

「まあまあ、マルデル。言葉の綾だよ、シェリーも悪気があった訳じゃないし、許してやってくれないか」
「そう。まぁ悠太くんがそう言うなら許すけど。シェリー、悠太くんに感謝しなさい」

 シェリーを解放すると、マルデルは俺の横に座った。
 うーん、最近特にマルデルの接近に気が付かないなぁ。もう少し鍛えないと駄目だなこれは。

「悠太くん、みんなで行くことになったけど大丈夫?」
「うん、しょうがないよね。アテナ達もヘパなんとかさんの遺品がどうのって言ってたし、さすがに駄目だって言えないよ」
「そっか。やっぱり悠太くんは優しいよね、大好きだよ」

 優しいのかなぁ。なんか誤解されてるような気もするけど……

「ところでマルデル、師匠達ってなんなの。原初ってなに」
「うーん、一番最初の神様と六大精霊の五大……  だったかな。あ、それと大精霊の上位眷属達かな。私もあまり分からない、というか、覚えてないし」
「……一番最初の神様と六大精霊」
「そう。だから原初の神は少ないし、ほとんどの神々はその存在を知っている程度で、それほどまでに高位な存在って感じなんだけど分かるかな」

 分かるかなって言われても……
 それに、その高位な存在に楯突くマルデル達はなんなの……

「なんだ、坊やはまだ理解出来ぬか。そこのはねっかえりも、その両親も原初に連なる存在だ。それこそ、それを知っているのは我々原初のみだがな」

 不意に現れた師匠は、そう言って俺の隣に座った。

「え、マルデルもそうなの。ということはフレイも、」
「いや、奴は違う。正確には、そこのはねっかえりだけが原初の神へと至るはずが何故か、こいつはあの二人が親でないと誕生しなくてな。それで引きずられるように、あの二人も原初の神へと至る事となった」

 ん、二人? 二柱ではなくて二人なのか。

「原初の世界で人が神と呼ばれたのも、それを世界に許されたのもフレイヤだけだ。分かるか。原初の神々とは、そもそも我らの創造神様と、その原初の世界の五大精霊とその上位眷属の事だ。はねっかえりは時の御方の加護と寵愛を受け、そして世界に選ばれた唯一の人間。そしてその加護を持って原初の世界を救った事で神へと至ったのだ」
「ちょっと、はねっかえりはねっかえりってしつこいわね。悠太くんの前でそんな失礼な事は言わないでよね。誤解されたらどうするのよ」
「なら、じゃじゃ馬娘と呼んでやろうか。それに貴様をそう呼んだのは、」
「あぁああ! それ以上言ったら許さないから!」

 マルデルは素早く師匠の背後を取り、口を塞いだ。
 それも無駄に力を解放して……

 結局、いつものお約束のようになるのか。
 あぁあ、いつもグダグダになって肝心な事が分からず終いだよな、マジで……



 ◇



「闇よ、また悪さしたのか。ほんと懲りぬな、お主は」
「主よ、違います。私は愛弟子と」
「ああ、はいはい。分かった分かった」

 また下品な言葉を。とりあえず止めるよう睨んでおかないと。

「うっ、あぁああ、こほん。闇よ、もう少し真面目にな。皆が至らないお主のせいで懸命に、余計に働いているのだ。それにだ。お主のせいで私まで被害を被っておるのだからな。よいか、真面目にやらぬのなら厳しい罰を下すぞ」

 ごまかすように急に神威を解放して闇を威圧し始めた。
 なんとなく今更な感じもしますが、とりあえずは良しとしておきましょうか。でも、

「は、はい。申し訳ありません。あいたっ!」
「闇。あなた、私の愛し子に迷惑を掛けないでください。次は許しませんよ」

 私は闇の頭をおもいっきり叩いて、更に重圧をかけて闇を地面に張り付けた。

「くっ、わ、分かった。分かったから許してくれ……」

 あら、まだ余裕そうね。それなら。

「あっ、あぁあああ、つ、潰れる。た、頼むから許して、ください……」
「そう、最初から謙虚にそう言えばいいのよ」

 謝罪するのならば、きちんとした言葉で謝罪しなさい。
 まったく、私よりも先に会いに行くなど許されざる行為なのに。
 まあ、今回はこの位で許してあげるわ。温厚な私に感謝なさい。




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