極運転移〜大事な人の復活のため、7つの世界を旅します〜

月目刺 紫音

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草原の世界での暁闇

01転移

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 長いような一瞬のような不思議な時間が流れる。
 しかし、その感覚も気がつけばなくなり、体の感覚が戻ってくる。

「ここって……ああ、転移したのか」
「いや、君はまだ転移していない。あいつ、またわかりにくい言い方したのか。」

 どこかからそんな声がする。

「言ってたろ?、地球の他に七つ世界を治めているって。どこに転移するかは自分で決めるんだよ」
「どこがあるんだ?」
「うーん、そうだね、説明すると長くなるけど、今はそんな事してる暇無いしね、簡単に説明するよ。
 一つ目 草原の世界
 二つ目 砂漠の世界
 三つ目 海の世界
 四つ目 森林の世界
 五つ目 山の世界
 六つ目 氷の世界
 七つ目 空の世界」

 もう一つが地球ってわけか。

「……正直どれがいいかわかんないな。」
「んー、天璃は異世界に行って何がしたかったの?」
「…うーん、異世界に行きたかったってよりは今の退屈な生活から抜け出したかったんだよ。したいこととかは特に無い」

 すると今まで声しか聞こえなかった声の主のシルエットが浮かび上がる。
 声の主の容姿は完全に先程の神、ニルゼンと酷似、いや、完全に同一人物にしか見えない。
 
 ―――別人のふりか?まぁいいや。

「そっか、じゃあ一つ目の世界は僕が選ぶよ、草原の世界ってのはどう?」
「草原?そこは何ができるんだ?」
「何でもできる。けど走ること以外で極められることはない。だって世界のほとんどが草原だから。」
「なるほど」
「その草原でやりたいことを見つけるんだよ。頑張りなよ天璃」
「拒否権は無いみたいだしその草原の世界に行くことにするよ」

「んー、草原の世界に送り込むはいいんだけどそれだけだと芸がないなぁ·····」
「ん?」
「そうだ!草原の海に送り込もう!」
「は?」
「うんうん、あそこなら月に一度人が通るか通らないかくらいだし、これは芸になる!」
「おい!今の独り言からでも推測できるぞ!お前なに人を月に一度人が通るか通らないかの場所に送り込もうもしてんだ!」
「よく聞いてたねぇ、地球人って細かいな」
「この距離の独り言聞こえないのか神様は?!」
「あーっとね、まぁいいや、とりあえず行ってらっしゃい」

 そう言って奴は俺を突き飛ばした。
 俺が尻もちを着くことは無かった、が、変わりに頭が足より下になる。 
 床が·····ない?!

「もうちょいましな方法なかったのかよ!」
「神様にたいしての態度が酷いからこうなったんだよ」
「お前なんか神様じゃなくて不法侵入者だ!」
「えー、不法侵入なんてした覚えはないよ?」
「記憶喪失起こしてんのかお前はーぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 そう叫びながら暗闇を落ちていく中で、俺の意識はとだえた。


 *  *  *


 長いような一瞬のような不思議な時間が流れる。
 気がつけばその感覚はなくなり、体の感覚が戻ってくる。

「·····今度こそ転移したみたいだな」

 静かにそう呟き、寝転んでいる体を縦に起こした。

「広い」

 思わずそんな言葉が口から漏れる。
 周りには草が生い茂っていて、それは水平線まで続いていた。
 所々で蝶が舞い、バッタが跳ね、蜂が羽音をたてる。
 ニルゼンは本当に草原の海、なる所へ送り込んだしい。

「どうしろっていうんだよ」

 そう呟きつつ、今の状況を整理する。
 持ち物は、服、短刀二振り、ポーチ、水筒。
 ポーチの中には食べものや、何に使うか分からない道具など色々入っていた。
 お腹は空いていないし喉もかわいていない、体にだるいところもない。


「···この服かっこいいな」

 ふとそう思い口に出す。
 せっかくかっこいいのでと、服を見たり触ったりしてみる。服に備わっていた機能をあらかた理解すると仕上げ気分で内ポケットに手を突っ込んだ。

「·····これ、底がない?」 

  内ポケットに手を突っ込んだまでは良かったものの、突っ込んだ手が底に触れた感覚を伝えることはなかった。
 だが底に触れないからといって手がそれ以上入るわけでもない。
 
 ―――これはいったいなんだろうか。
 
 その質問の答えはその直後に分かった。
 俺の前にはホログラムのように見える薄い画面があった。その表面には色々な形の物体の写真と、その名前と、その使い方、特徴が書いてあるようだった。
 それが今の自分の持ち物だと気がつくのに少し時間がかかった。


「マジかよ、四次元ポケットじゃん」

 画面をスクロールして今持っているアイテムを一瞥する。
 特に目立ったものはなく、そこには食べ物や、予備用の護身道具しか無かった。
 試しにパンを選択してみると、いきなり左肩に重みが乗った。

「なるほど、押したら内ポケットに出てくるわけか」

 そう言いながら内ポケットからパンを取り出し、ひと口かじる。

「おお、うまい。」

 そのパンは中にクリームのようなものが入っており、とても美味しかった。
 これは本当に草原しかない世界で作られたものなんだろうか。
 そんな事を考えながら必死でパンを頬張っていると、ふと耳に「カタカタ」という音が流れ込んできた。

「ん?なんの音?」
 ワンコンマ置いて俺の中に答えが出る。
「馬車か?だったらすぐに行かないと!コレ逃したら次馬車通るのは一ヶ月後だ!」

 俺はパンを咥えて走り出した。「」
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