俺って拉致られた？！

第一話 バリボワな予感

妙な気配がする。
高校に入学してから半年ほど経っただろうか。特に何も起こらない無難な生活を送りつつ特段何かがあるわけでもない平凡な日常を送っていたのだが……。

今日は休日。いつも通り課題をさっさと終わらせて自分の時間を作ってしまおうと思っていたのだが、
先にも言った通り妙な気配がずっとしているため、なんだが居てもたってもいられないような胸騒ぎがずっと心を支配し続けている。
「なんなんだろうな……」
自分の部屋中を見渡したところでなにかがあるわけでもなく、答えらしい答えに行きつけないもどかしさがまた心を締め上げてゆく。
なんでこんなにもその気配とやらに気が向くのかさえ自分でもわからない。
何も手につかないまま時間だけが過ぎてゆく、ぼーっと一日を過ごすのも悪くないかと適当に時間だけをつぶしていたところ
時計は０時を回った。
「あぁもうこんな時間か」
ただただ半日家でゴロゴロするだけだったが、いまだに気配は消えていない。
今の俺の状況にひとこと。
「普通じゃないな」
うんうんと腕組をしながらうなずいてみるが、ふと、もしや病気の兆候だったりしないだろうか？
などと思ってみるとなぜか納得感が増してくる。怖くなった俺は、急ぎコンビニに急行することにした。
原因なんてわからないが、こんな時こそ翼を授けてもらい。心と体を軽くしてしまえばいいんだ！
そしてこんな謎の気配ともおさらばできるって寸法さ！
などと意味不明な理論をたたき出しつつコンビニでの買い物を終えた。
「ん？」
ウインとコンビニの扉を出た瞬間だった。
「気配、強くなってね？」
もしかして、翼生えちゃった感じ？背中に手を伸ばしてみるも翼なんて生えてなかった。そりゃそうか。
ふざけつつも適当に周りを見渡したところ今日は満月であることがわかった。
「きれいな満月だなぁ」
雲一つない夜空に大きく浮かび上がるのはとても奇麗な月だった。