痛覚研究所の記録

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紙で全身を切る

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「痛っ!!うわ~ん、博士ぇ~、紙で手を切っちゃいましたぁ~」
「何?地味に痛いやつだな。どれ、手を出してみろ」
「へ?」
ペタリ
「よし、これで大丈夫だろう」
「わぁ!絆創膏貼ってくれたんですか!、博士やっさしぃーい」
「うむ、男が怪我をしたら絆創膏を貼る。これは女としてのたしなみだ」
「博士ぇ~、学生の頃意外とモテてたでしょ~、こんな事されたら男子はイチコロですよ」
「そんなことはどうでもいい。私は思いついたぞ」
「えー、もっと博士の恋愛話聞きたいなぁ」
「うるさい。紙だ、今回の実験は紙で全身を切ろう」
「ひょぇぇ、なんか痛みが想像出来て嫌だなぁ」
「うむ、それは誰しもが体験したことのある、日常的に起こる痛みだからでろう。しかし侮ることは出来ないぞ、一見地味だかなかなかに痛みが続くし、独特の痛みが苦手と言う人も多い」
「あー分かります。なんか薄くスパッといかれるのが嫌なんですよね。行くならもっと深くしてくれた方がいいのに」
「それはなんか違う気がするが...まぁいい、早速準備に取り掛かろう」


ガチャ
そこには冴えない全裸の男子高校生が、台座に縛りつけられていた。
「ヒッ、な、なんなんですかこれは!!一体ここはどこなんですか!!」
「今日は男かぁ...」
「何をがっかりしているだお前は...、女ばかりのデータだと偏りが出るからな。我慢しろ」
「はーい、まぁ男でも全然楽しみなんですけどね」
「では、始めていこう」
博士が安いコピー用紙を手に持ち、男子高校生の腹に当てた。
「え?何をしているですか?」
男子高校生が言う。
ツィー、と腹を切っていく、浅く、血が少し滲むほどに浅く。
「へ?痛っ!!辞めてください!!痛い痛い!!」
「うわぁ、痛そォ、みててゾクゾクする」
「ふむ、これなら死ぬことは無さそうだし、どんどん行こう」
博士は顔に標準を当てた。
「ヒッ、やめて!顔は嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だぁ!!」
襲い掛かる痛みを予期して、叫ぶ叫ぶ。
そんな言葉には一切耳を貸さず、博士は頬に紙を当て、ツィー、とスライドさせた。
「痛った!!うぐぅぅ、痛いよぉ痛いよぉ」
男子高校生は泣く、終わりの見えない痛みに耐えれずに泣く。その涙が傷口に染み、より痛みを引き起こす。
「どうだ、データは取れてるか?」
「バッチリです!!気にせずやっちゃって下さい!!」
「よし、分かった」
博士はノンストップで全身を紙で切ってく、ツィー、ツィー、まるで神技だ、紙だけに。
全身から血が薄く滲み出ている、男子高校生は痛みのあまり死ぬ事も許されず、ハッキリとした意識のなか、紙で切られ続ける。
彼には泣くことしかできない、痛い痛い痛い、痛みのあまり吐き気がする。
「ヒグッ、いっぞごろじでぐだざいッ。もう耐えられない」
「ふむ、データはもう十分に取れた、もう紙で切るのは止めてやろう」
「本当ですか!?」
その言葉を聞き安堵する、やっとこの地獄が終わる、そう思った。
「あぁ、また明日、別の実験で会おう」
「え?」
ガチャン

「ふぅ、今回もなかなかいいデータが取れましたね」
「あぁ、しかも実験体に命の別状は全く無い。あれは再利用出来るだろう」
「おお!燃費いいですね!この実験!!」
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