三分で読める一話完結型ショートホラー小説

毛とノミ

俺は生まれつき異常な程に毛深かかった、生まれたてのハイハイ状態の時は、あまりの毛の量にヨークシャーテリアに見間違えられたこともあるくらいだ。
これだけなら笑い話なのだか、実際問題この毛深さで生活するとなると色々と不便が生じる、飯を食う時も口の周りの毛に飯が着きまくるし、テレビを見る時も毛が邪魔で手で抑えなければまともに見ることすら出来ない。だからもっぱらだらだらと寝てすごしている、外に出るとしても、たまに深夜徘徊するくらいだ、深夜だと人目につかないからな。風呂に入るのも一苦労で全身の毛を乾かすのに5時間はかかる、嘘のように聞こえるだろ？ほんとなんだよ。なんてったってヨークシャーテリアだぜ？
最近では風呂に入るのが面倒で全く入っていない、毛が長いから体が臭くなるのも早い、蒸れて汗はかくし、拭くこともままならないからだ。そんな状態でいたためかノミが跳ねるようになった。もうどうでもよかった、慣れてみると可愛いものだし、小腹がへった時につまめるしで、悪くはない。
俺はノミと共生することにした。ノミの跳ねている体でゴロゴロして、寝て、夜には外を散歩する。
ははっほんとに犬みてぇだな。
笑えるぜ、だろ？。