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狂った音
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くちゃくちゃぼわんぼわんキーンくしゃくしゃくしゃくしゃ。
今私は晩御飯を作っている、はずだ...。
バギッドゴッメキメキメキ。
今朝からこの調子だ、いつも聞きなれた日常音が変わって聞こえてくる。
鳥の声も電車が走る音も、普段とは違う歪な音がしている。
周りに共感を求めたが「はは...疲れてるんじゃない...?」と、軽く引かれるだけだった、どうやらこの現象は私にしか起きていないらしい。
玄関のチャイムの音も、お風呂が沸いた合図の音も違って聞こえる、違和感しかない。
24年間聞き続けた馴染みの音がいっせいに変わってしまったのだ、街を歩くだけでも未知の音に溢れている、おちおち散歩も出来やしない。
「ああ!!もう気が狂いそう!!」
半狂乱になりキッチンをめちゃくちゃにする、食器や洗剤が床に落ちた。
ビリビリビリビリ。
その音すら違って聞こえた。
次の日、私は会社を休んで病院に行くことにした、精神病かなにかだと思ったからだ。
「はぁ、これでよくなればいいのだけど...」
受け付きに行き病状を伝える。
「あの、昨日から聞こえてくる音がおかしくって、きっと精神病か何かだと思うんですけど...」
受付嬢は笑顔でこう言った。
「ばいんばいんぼよーんスチャスチャぱらぱらぱらぱら」
ダメだ、人の声すらおかしくなった。
私は絶望し、何も言わずにその場を立ち去った。
「人の声すら聞こえなくなっちゃった...もう生きていけないじゃん...」
季節は春、鳥たちの歪な鳴き声を聞きながら公園のベンチでうなだれた。
すると...
「おーい!!こっちだ!!おーいおーい!!」
人だ、人の声がする。
「どこ!!どこにいるの!!私はここよ!!」
「こっちだ!!おーい!!おーい!!」
この狂った世界で唯一正常に聞こえる声だ、藁にもすがる思いで声の元へと走り出す。
「おーい!!おーい!!こっちだ!!」
声はこの辻を曲がった先から聞こえる。
やっとだ、やっと会える!!
私は笑顔で辻を曲がった。
「おーーーーーーーい!!!!!!!!」
私はかなりの勢いで車に轢かれた。
消えかける意識の中、私は理解した。
「そっか、あの声は、車の音だったんだ...」
今私は晩御飯を作っている、はずだ...。
バギッドゴッメキメキメキ。
今朝からこの調子だ、いつも聞きなれた日常音が変わって聞こえてくる。
鳥の声も電車が走る音も、普段とは違う歪な音がしている。
周りに共感を求めたが「はは...疲れてるんじゃない...?」と、軽く引かれるだけだった、どうやらこの現象は私にしか起きていないらしい。
玄関のチャイムの音も、お風呂が沸いた合図の音も違って聞こえる、違和感しかない。
24年間聞き続けた馴染みの音がいっせいに変わってしまったのだ、街を歩くだけでも未知の音に溢れている、おちおち散歩も出来やしない。
「ああ!!もう気が狂いそう!!」
半狂乱になりキッチンをめちゃくちゃにする、食器や洗剤が床に落ちた。
ビリビリビリビリ。
その音すら違って聞こえた。
次の日、私は会社を休んで病院に行くことにした、精神病かなにかだと思ったからだ。
「はぁ、これでよくなればいいのだけど...」
受け付きに行き病状を伝える。
「あの、昨日から聞こえてくる音がおかしくって、きっと精神病か何かだと思うんですけど...」
受付嬢は笑顔でこう言った。
「ばいんばいんぼよーんスチャスチャぱらぱらぱらぱら」
ダメだ、人の声すらおかしくなった。
私は絶望し、何も言わずにその場を立ち去った。
「人の声すら聞こえなくなっちゃった...もう生きていけないじゃん...」
季節は春、鳥たちの歪な鳴き声を聞きながら公園のベンチでうなだれた。
すると...
「おーい!!こっちだ!!おーいおーい!!」
人だ、人の声がする。
「どこ!!どこにいるの!!私はここよ!!」
「こっちだ!!おーい!!おーい!!」
この狂った世界で唯一正常に聞こえる声だ、藁にもすがる思いで声の元へと走り出す。
「おーい!!おーい!!こっちだ!!」
声はこの辻を曲がった先から聞こえる。
やっとだ、やっと会える!!
私は笑顔で辻を曲がった。
「おーーーーーーーい!!!!!!!!」
私はかなりの勢いで車に轢かれた。
消えかける意識の中、私は理解した。
「そっか、あの声は、車の音だったんだ...」
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