三分で読める一話完結型ショートホラー小説

金網

学校に行く途中に物凄いものを見た。
駐車場の金網をニュルりと通り抜ける人がいたのである。
それを見て唖然としている俺を置き去りに、その人は車に乗りこみ颯爽とどこかに行ってしまった。
学校についてから色々と自分なりに考えてみたが、非現実的すぎて考えるだけ無駄だと諦める。
｢きっとあれは幻覚に違いない、疲れてるんだよ、うん｣
そう思いながら学校から帰っていると、例の駐車場の前に出た。
｢一様、一様よく調べてみよう｣
金網を揺すったり、変なところがないかよく見てみたりしたのだが、どこからどう見てもただの金網だ。
｢ほら、あれは俺の幻覚だったんだ｣
そう言った途端、真横で人が金網をニュルりとすり抜けて駐車場に入っていった。
唖然としている俺を置き去りに、その人は車で颯爽とどこかへ行ってしまった。
家に帰って色々と自分なりに考える。
ひとつ分かるのはあれはガチだということ。
だが分かっていても俺の中の常識がその事実を受け入れようとしない、だってありえないにも程があるのだから。

次の日、俺は朝早くに家を出た。
駐車場に行き、実際に自分が通り抜けられるのか試そうと思ったからである。
｢よ、よし、やるぞ...｣
グッと金網に体重をかける。
ヌプヌプヌプヌプ
体が金網を通り抜ける。
｢ええ！？まじかよ！？俺にもできんのこれ！？｣
本当にできるとは思っていなかったので、軽くパニックになる。
｢え！？え！？抜けれちゃうよ！？抜けれちゃっていいのこれ！？｣
金網が背中を通り抜ける。
ドサドサドサドサ
金網を通り抜けた途端、俺はトコロテンみたいにサイコロ状の肉片になった。
俺は心の中で思った。

｢あれ？なんか違うくね？｣