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雪原の覇者
ご注文はハリセンボンですか?
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「ユーキさん、どういうことですか?」
「え、何の事?」
あれ、ジョセフさんに何かしただろうか?少し困惑した表情が見えるな。
「何の事?じゃありませんよ。各地の貴族さまから注文が殺到しているんですよ。まだ製品化したばかりなのに、何でこんなに広まっているんですか?」
「あぁ、国王や公爵と勝負して来たからな。あの試作品もくれてやったんだ。そうだ、ジョセフさんに話してなかったね。いやぁゴメンね。」
「やっぱりユーキさんですね。もうビックリしましたよ。」
どうやらテリトワールにいそしむ王族を見て貴族たちも興味を持ったらしいな。まぁ王族を広告塔にして上流階級に広めてやろうって思ってたんだけどね。
ソルダよりも圧倒的に敷居が低いし、奥方連中のサロンとかでも流行るんじゃないか?あ!そう言えば・・・
「あ、そうだ。これアンリから預かってたんだった。」
「ユーキさん、今度は何です?・・・ひいっ、それ王家の封蝋じゃないですか。これはたまげましたな・・・。」
次から次へと想像の斜め上を行くのがユーキさんだ。わかっている・・・私も頭でわかってはいるんだ。でも私の心臓にはよろしくないよ。今までこんな波乱万丈な日常ではなかったんだがなぁ・・・。
「勅許状らしいなぁ。えーとなになに、”テリトワールの製作・販売はジョセフ・バーリン商会に限る”だってさ。」
「な、何ですって!」
ポータブルセットを持っていった時に普及用の製品を作らせているって話したら、アンリのやつが一筆書いてくれたんだよな。なるほどね、特許みたいなものだ。
「おぉ、こりゃぁ売上の3割もらえる俺にとっても結構なことじゃないか。アンリのやつ、粋な計らいじゃん。初めて尊敬したわ。じゃあジョセフさん、はいコレ。確かに渡したからね。」
「・・・。」
ジョセフさんが勅許状を受けとるなり固まってしまった。手が震えているけど大丈夫か?
「何よ?それってそんなにすごいの。」
「何言ってんだよソフィア?そりゃあすごいだろ。だってテリトワールは王国中どこを探してもソフィアの店でしか買えないんだぜ。」
「それはそうなんだろうけど、このゲームってまだ王国中に知られてないじゃない。貴族だけじゃたかが知れてるわ。」
確かにソフィアの言う通りさ。ここには大衆に広くアプローチする広告手段なんてものは発達していない。
中世レベルのこの世界ではせいぜい口コミに頼るのが関の山なんだが、そこは違うやり方だってあるのさ。
「そう思うだろ?」
「まだ何かあるんですか?」
「テリトワール全国トーナメントを始めるってさ。」
「こ、これは・・・。今すぐ増産しなくては。もっと職人を集めて、材料も・・・。高級品のラインナップもいいかもしれん・・・。」
「ジョセフさん?」
ジョセフさんが並々ならぬ表情でつぶやいているな。どうした、大丈夫なのか?ソフィアもあきれ顔じゃないか。
「あぁ、もうこうなったら誰の話も耳に入らないわよ。」
「ん?ところで何だ、その荷物。ソフィアどっか出かけるの?」
「ええ、ユーキん家まで。」
「何だその量は。どゆこと?」
ソフィアは体重の倍はありそうなデカいリュックを背負っている。俺ならそっくりそのまま入るぞ。いったい何が入ってるんだ?
「必要なものよ。」
「ひょっとしてなんだけど・・・、長期滞在とか考えてる?」
「そうよ。」
おい、ソフィアは何を言ってるんだ?
「いくら何でもそんなこと許可されてないだろ!ねぇこんなこと言ってるよエレノアさん?」
店の奥を見やるとエレノアさんがOKだと親指を立てている。許可しとるんかい!もはやこの期に及んで「単なる口約束でした」なんて言えないよなぁ・・・
「まじか。」
「約束なんだから、今日こそは訪問するわよ。」
***
「再びやって来たわ!こんな森の奥なのに途方もなく大きい家よね。」
珍しいのはわかるけど、あちこち走り回られても危ないってば。ソフィアの好奇心にも困りものだな。
「おーい、芝生の先は結界だから外に出ようとするなよー。前に言っただろー?」
さっきからユーキが何か言ってるけどー・・・まぁどうでもいいわ。ふふふ、広いわねぇ。あそこに見たこと無い植物があるわ、今日から忙しくなるわよ!ん?あれは何かしら・・・何か書いてある?
「エルメシウス・・・クロヴィウス・・・!?」
「おい、聞いてるのか。おいってば・・・ん、どうした?」
何だ、何か気になるものでもあるのか?
「ねぇ・・・あれってお墓じゃないの?」
「あっ!」
「ちょっと、墓標の名前がクロヴィウスじゃないの!ユーキ、あんたやっぱり。」
そうだった、すっかり忘れてた。ずっと知らぬ存ぜぬでうやむやにして来たっけか?何と言いくるめたものか・・・。いや、今までの経緯なんかまーったく存在しなかったかのごとく振る舞うことにしよう。
ジョセフさんもエレノアさんもいないこの状況でヤカラのように絡まれても誰もソフィアをストップしてくれないからな。よしっ、これだ。
「あ・・・、ああ。それなりにお墓に見えるだろ?もっと立派にしようと思ってるんだ。」
「ちょっと待ってよ。あんたがクロヴィウスのお墓を建てたっての?だって・・・」
「聖遺物で消し去ったっていうおとぎ話だろ?あれなぁ・・・、聖教会都合の嘘っぱちだ。」
「えーっ!どういうことっ?」
おぉっ!混乱しとる混乱しとる・・・ふふふ、このまま俺のペースで話題をコントロールしてしまおう。いや・・・待てよ?宗教がらみの話って考えるまでもなくデリケートだぞ・・・もしかして比喩ではなく本当の墓穴を掘ってしまったのではないか?冗談じゃないぞ・・・こりゃマズったなぁ。
「お前さぁ・・・熱心な信者だったりする?」
「何の話よ?」
「熱心な信者だったら聖教会に不都合なことを話す奴を口封じしようとするだろう?だったら俺は死ぬまで口外しないから、殺すのは勘弁してねって話。」
「秘密にするつもりなら拷問してでも吐かせるわ!」
おぉぅ、予想に違わぬ過激派発言。
「自分の信仰が覆されても?」
「私は魔術を極めるためなら、たとえ邪神だって信仰してみせる女よ!甘く見ないでほしいものね。」
「・・・邪神だったらやめとけよ。割と寛容だなぁソフィアは。」
う~ん、ソフィアらしいっちゃーソフィアらしいんだが・・・。アカンやつや・・・魔女狩りなんてあった日にゃあ真っ先に始末されそうなレベルの誠実さやで。ソフィアってば人格が真っ直ぐすぎるからオジサン心配よ。
「聖教会の信者って言っても、お年寄りや聖職者以外はそれほど熱心ってわけでもないわよ。」
「そうなの?」
歴史書って著者の社会的立場を反映した記述も込められていたりするから、著者が言うほど敬虔な信者ばかりではなかったと学者も言ってたりする。異教信仰が民間レベルで残存するのがその有力な根拠になってるし。案外そんなもんか?
「この王国って成り立ちからして連合王国だから、宗教に対するいろんな考え方があるのよ。聖教の中心であるカルザール聖教国とその周辺国は厳格なんだけどね。」
中世みたいな世界だから残虐な異端審問が吹き荒れると思ってたのは俺の思い過ごしかぁ。まぁそんな狂信者ばかりだったら、俺みたいなゴブリンと交流しているのがバレただけで火あぶりになってるよなぁ。
俺はこの世界のこと何も知らんから気づくワケは無いけど、そんな歴史的政治的側面もあるのね。
「じゃぁ、メシ食いがてら俺の知っていることでも話すとするかぁ。さっきからハヤテの視線が痛いんだよね。」
しかも視線だけでなくハヤテの前足も催促を続けている。俺の背中に繰り出される一発一発が何気に重いので、早めに対処しておかないとそのうちクリティカルを喰らう恐れがある。
まさに絶体絶命、前門のソフィア後門のハヤテだ。
「え、何の事?」
あれ、ジョセフさんに何かしただろうか?少し困惑した表情が見えるな。
「何の事?じゃありませんよ。各地の貴族さまから注文が殺到しているんですよ。まだ製品化したばかりなのに、何でこんなに広まっているんですか?」
「あぁ、国王や公爵と勝負して来たからな。あの試作品もくれてやったんだ。そうだ、ジョセフさんに話してなかったね。いやぁゴメンね。」
「やっぱりユーキさんですね。もうビックリしましたよ。」
どうやらテリトワールにいそしむ王族を見て貴族たちも興味を持ったらしいな。まぁ王族を広告塔にして上流階級に広めてやろうって思ってたんだけどね。
ソルダよりも圧倒的に敷居が低いし、奥方連中のサロンとかでも流行るんじゃないか?あ!そう言えば・・・
「あ、そうだ。これアンリから預かってたんだった。」
「ユーキさん、今度は何です?・・・ひいっ、それ王家の封蝋じゃないですか。これはたまげましたな・・・。」
次から次へと想像の斜め上を行くのがユーキさんだ。わかっている・・・私も頭でわかってはいるんだ。でも私の心臓にはよろしくないよ。今までこんな波乱万丈な日常ではなかったんだがなぁ・・・。
「勅許状らしいなぁ。えーとなになに、”テリトワールの製作・販売はジョセフ・バーリン商会に限る”だってさ。」
「な、何ですって!」
ポータブルセットを持っていった時に普及用の製品を作らせているって話したら、アンリのやつが一筆書いてくれたんだよな。なるほどね、特許みたいなものだ。
「おぉ、こりゃぁ売上の3割もらえる俺にとっても結構なことじゃないか。アンリのやつ、粋な計らいじゃん。初めて尊敬したわ。じゃあジョセフさん、はいコレ。確かに渡したからね。」
「・・・。」
ジョセフさんが勅許状を受けとるなり固まってしまった。手が震えているけど大丈夫か?
「何よ?それってそんなにすごいの。」
「何言ってんだよソフィア?そりゃあすごいだろ。だってテリトワールは王国中どこを探してもソフィアの店でしか買えないんだぜ。」
「それはそうなんだろうけど、このゲームってまだ王国中に知られてないじゃない。貴族だけじゃたかが知れてるわ。」
確かにソフィアの言う通りさ。ここには大衆に広くアプローチする広告手段なんてものは発達していない。
中世レベルのこの世界ではせいぜい口コミに頼るのが関の山なんだが、そこは違うやり方だってあるのさ。
「そう思うだろ?」
「まだ何かあるんですか?」
「テリトワール全国トーナメントを始めるってさ。」
「こ、これは・・・。今すぐ増産しなくては。もっと職人を集めて、材料も・・・。高級品のラインナップもいいかもしれん・・・。」
「ジョセフさん?」
ジョセフさんが並々ならぬ表情でつぶやいているな。どうした、大丈夫なのか?ソフィアもあきれ顔じゃないか。
「あぁ、もうこうなったら誰の話も耳に入らないわよ。」
「ん?ところで何だ、その荷物。ソフィアどっか出かけるの?」
「ええ、ユーキん家まで。」
「何だその量は。どゆこと?」
ソフィアは体重の倍はありそうなデカいリュックを背負っている。俺ならそっくりそのまま入るぞ。いったい何が入ってるんだ?
「必要なものよ。」
「ひょっとしてなんだけど・・・、長期滞在とか考えてる?」
「そうよ。」
おい、ソフィアは何を言ってるんだ?
「いくら何でもそんなこと許可されてないだろ!ねぇこんなこと言ってるよエレノアさん?」
店の奥を見やるとエレノアさんがOKだと親指を立てている。許可しとるんかい!もはやこの期に及んで「単なる口約束でした」なんて言えないよなぁ・・・
「まじか。」
「約束なんだから、今日こそは訪問するわよ。」
***
「再びやって来たわ!こんな森の奥なのに途方もなく大きい家よね。」
珍しいのはわかるけど、あちこち走り回られても危ないってば。ソフィアの好奇心にも困りものだな。
「おーい、芝生の先は結界だから外に出ようとするなよー。前に言っただろー?」
さっきからユーキが何か言ってるけどー・・・まぁどうでもいいわ。ふふふ、広いわねぇ。あそこに見たこと無い植物があるわ、今日から忙しくなるわよ!ん?あれは何かしら・・・何か書いてある?
「エルメシウス・・・クロヴィウス・・・!?」
「おい、聞いてるのか。おいってば・・・ん、どうした?」
何だ、何か気になるものでもあるのか?
「ねぇ・・・あれってお墓じゃないの?」
「あっ!」
「ちょっと、墓標の名前がクロヴィウスじゃないの!ユーキ、あんたやっぱり。」
そうだった、すっかり忘れてた。ずっと知らぬ存ぜぬでうやむやにして来たっけか?何と言いくるめたものか・・・。いや、今までの経緯なんかまーったく存在しなかったかのごとく振る舞うことにしよう。
ジョセフさんもエレノアさんもいないこの状況でヤカラのように絡まれても誰もソフィアをストップしてくれないからな。よしっ、これだ。
「あ・・・、ああ。それなりにお墓に見えるだろ?もっと立派にしようと思ってるんだ。」
「ちょっと待ってよ。あんたがクロヴィウスのお墓を建てたっての?だって・・・」
「聖遺物で消し去ったっていうおとぎ話だろ?あれなぁ・・・、聖教会都合の嘘っぱちだ。」
「えーっ!どういうことっ?」
おぉっ!混乱しとる混乱しとる・・・ふふふ、このまま俺のペースで話題をコントロールしてしまおう。いや・・・待てよ?宗教がらみの話って考えるまでもなくデリケートだぞ・・・もしかして比喩ではなく本当の墓穴を掘ってしまったのではないか?冗談じゃないぞ・・・こりゃマズったなぁ。
「お前さぁ・・・熱心な信者だったりする?」
「何の話よ?」
「熱心な信者だったら聖教会に不都合なことを話す奴を口封じしようとするだろう?だったら俺は死ぬまで口外しないから、殺すのは勘弁してねって話。」
「秘密にするつもりなら拷問してでも吐かせるわ!」
おぉぅ、予想に違わぬ過激派発言。
「自分の信仰が覆されても?」
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「・・・邪神だったらやめとけよ。割と寛容だなぁソフィアは。」
う~ん、ソフィアらしいっちゃーソフィアらしいんだが・・・。アカンやつや・・・魔女狩りなんてあった日にゃあ真っ先に始末されそうなレベルの誠実さやで。ソフィアってば人格が真っ直ぐすぎるからオジサン心配よ。
「聖教会の信者って言っても、お年寄りや聖職者以外はそれほど熱心ってわけでもないわよ。」
「そうなの?」
歴史書って著者の社会的立場を反映した記述も込められていたりするから、著者が言うほど敬虔な信者ばかりではなかったと学者も言ってたりする。異教信仰が民間レベルで残存するのがその有力な根拠になってるし。案外そんなもんか?
「この王国って成り立ちからして連合王国だから、宗教に対するいろんな考え方があるのよ。聖教の中心であるカルザール聖教国とその周辺国は厳格なんだけどね。」
中世みたいな世界だから残虐な異端審問が吹き荒れると思ってたのは俺の思い過ごしかぁ。まぁそんな狂信者ばかりだったら、俺みたいなゴブリンと交流しているのがバレただけで火あぶりになってるよなぁ。
俺はこの世界のこと何も知らんから気づくワケは無いけど、そんな歴史的政治的側面もあるのね。
「じゃぁ、メシ食いがてら俺の知っていることでも話すとするかぁ。さっきからハヤテの視線が痛いんだよね。」
しかも視線だけでなくハヤテの前足も催促を続けている。俺の背中に繰り出される一発一発が何気に重いので、早めに対処しておかないとそのうちクリティカルを喰らう恐れがある。
まさに絶体絶命、前門のソフィア後門のハヤテだ。
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