1 / 26
プロローグ
しおりを挟む
輪廻転生とかって言うよね?
死んでも魂は何かに生まれ変わる……みたいなの。
あれってさ、生前の業が関係するとかって偉い人が言ってたような……。
じゃあさ……
「ゲコゲコゲコ! (転生前の俺が何をしたって言うんだあぁぁ! )」
いやね、わかっているさ誰も聞いちゃいないってことくらい。
だって俺……今、カエルなんだもん。
まあ、正確に言えばカエル型の魔物。
『ヌマヌメリガエル』ってのが正式な名前……今はね。
この流れで大体は想像出来るだろうけど、俺には前世の記憶がある。これでもそこそこな一流企業に勤めてたんだよ……でも、もちろんエリートって訳じゃなかったけど。
『冬籠春起』、これが前世での名前。自己申告するのも変だが、享年二十四歳。独身で……ってこの話はもういいか。
だって今はもうカエルだし。
魔物とかってキーワードでわかるように、ここは生前にいた日本でも、いや地球ですらない。
違う星? いや、かつて部屋に三つの大きな本棚を置き、その七割以上がラノベやそれ系の本であった俺が敢えて言おう。
「ゲコゲコゲ! (ここは異世界であると! )」
何故かって?
そりゃあんなのがうろついてるのが、普通の世界なわけないだろう。そんなことを考えながら俺は一メートルほど先を過ぎ行く相手を、じっと目で追っていた。
赤いゼリー状の体組織を器用に伸縮させながら、ゆっくりとした動きで過ぎ去って行くのは『レッドスライム』だ。スライムなんて定番の魔物がいる以上、ここがファンタジー的な異世界なのは間違いないだろう。
だって地球じゃ聞いたことないし……ん? そういえばアメーバとかってヤツがいたな。あれもスライム的な……って、まあいい。
とにかくファンタジー的な世界に転生したらカエルだったってのが俺の現状。はい、このくだりおしまい!
そうそう、なんで俺が種族名とかがわかるのかっていうと、ここでは相手の存在をこちらが認識すると対象の隣にプラカードみたいものが浮かび上がる。そこに書いてあるんだよ名前が。
こういうところは定番のファンタジーなんだけどなあ……なんで俺、カエル? ちなみにだが、そこに相手のステータスが表示される……なんてことはない。名前だけだ。
「ゲローッ! (いただきまーす! )」
あ……失礼しました。
これは生物としての本能なのでご勘弁を……。
誰に謝っているのかよくわからんが、俺は今目の前に姿を見せた『ヤリヅノバッタ』に向けて粘着性のある舌を伸ばし、捕らえて食べているところ……パリポリ……ごっくん。
俺の体長は周囲の木とか草なんかと比較すれば、およそ三十センチくらい。ラグビーボールをぺしゃんこに潰したような楕円形で平べったい身体つきをしている。
人間だった頃から考えると初めは違和感が半端なかったが、頭のてっぺんと思われる位置(はっきりしないのは全体にぺしゃんこだから)にピョコンと飛び出た目が二つ。あとは水掻きの付いた両手と両足だな。
この目は普通のアマガエルとかより、どちらかと言えばムツゴロウとかに近い感じ。二つの目が寄り添うように並んでいて片方で百八十度、合わせて三百六十度の視界が得られる。今の俺のように泥の中に身体全てを隠し、目だけを出して獲物を待つ、なんて狩りをするのに大変便利なのだ。
ちなみにこれは『全周視認』ってスキルなんだと。
他にも『水棲』『隠蔽』『気配遮断』『粘着舌』『滑液分泌』とかってスキルがある。
なんでわかるかって?
それはさ、俺自身に関してはステータスってのの詳細が見えるんだ。自分の手とかに意識を向けると例のプラカードみたいなのが目の前に現れて、それをタップしてめくっていくと色々書いてあるんだよ。
それで俺の種族名もわかったんだけどね。
個体名 無し
種族 ヌマヌメリガエル
レベル 16
称号 身を潜める者
装備 無し
エクストラスキル 大食漢
通常スキル 水棲 隠蔽 気配遮断 全周視認 粘着舌 滑液分泌
あとは何か数字が並んでたけど、正直よくわからん。
だって、比較しようにもまわりの連中のステータス見えないしね。
とはいえ、まあこんなゲームみたいな要素いっぱいの異世界で俺は今、のんびりカエルやってます!
死んでも魂は何かに生まれ変わる……みたいなの。
あれってさ、生前の業が関係するとかって偉い人が言ってたような……。
じゃあさ……
「ゲコゲコゲコ! (転生前の俺が何をしたって言うんだあぁぁ! )」
いやね、わかっているさ誰も聞いちゃいないってことくらい。
だって俺……今、カエルなんだもん。
まあ、正確に言えばカエル型の魔物。
『ヌマヌメリガエル』ってのが正式な名前……今はね。
この流れで大体は想像出来るだろうけど、俺には前世の記憶がある。これでもそこそこな一流企業に勤めてたんだよ……でも、もちろんエリートって訳じゃなかったけど。
『冬籠春起』、これが前世での名前。自己申告するのも変だが、享年二十四歳。独身で……ってこの話はもういいか。
だって今はもうカエルだし。
魔物とかってキーワードでわかるように、ここは生前にいた日本でも、いや地球ですらない。
違う星? いや、かつて部屋に三つの大きな本棚を置き、その七割以上がラノベやそれ系の本であった俺が敢えて言おう。
「ゲコゲコゲ! (ここは異世界であると! )」
何故かって?
そりゃあんなのがうろついてるのが、普通の世界なわけないだろう。そんなことを考えながら俺は一メートルほど先を過ぎ行く相手を、じっと目で追っていた。
赤いゼリー状の体組織を器用に伸縮させながら、ゆっくりとした動きで過ぎ去って行くのは『レッドスライム』だ。スライムなんて定番の魔物がいる以上、ここがファンタジー的な異世界なのは間違いないだろう。
だって地球じゃ聞いたことないし……ん? そういえばアメーバとかってヤツがいたな。あれもスライム的な……って、まあいい。
とにかくファンタジー的な世界に転生したらカエルだったってのが俺の現状。はい、このくだりおしまい!
そうそう、なんで俺が種族名とかがわかるのかっていうと、ここでは相手の存在をこちらが認識すると対象の隣にプラカードみたいものが浮かび上がる。そこに書いてあるんだよ名前が。
こういうところは定番のファンタジーなんだけどなあ……なんで俺、カエル? ちなみにだが、そこに相手のステータスが表示される……なんてことはない。名前だけだ。
「ゲローッ! (いただきまーす! )」
あ……失礼しました。
これは生物としての本能なのでご勘弁を……。
誰に謝っているのかよくわからんが、俺は今目の前に姿を見せた『ヤリヅノバッタ』に向けて粘着性のある舌を伸ばし、捕らえて食べているところ……パリポリ……ごっくん。
俺の体長は周囲の木とか草なんかと比較すれば、およそ三十センチくらい。ラグビーボールをぺしゃんこに潰したような楕円形で平べったい身体つきをしている。
人間だった頃から考えると初めは違和感が半端なかったが、頭のてっぺんと思われる位置(はっきりしないのは全体にぺしゃんこだから)にピョコンと飛び出た目が二つ。あとは水掻きの付いた両手と両足だな。
この目は普通のアマガエルとかより、どちらかと言えばムツゴロウとかに近い感じ。二つの目が寄り添うように並んでいて片方で百八十度、合わせて三百六十度の視界が得られる。今の俺のように泥の中に身体全てを隠し、目だけを出して獲物を待つ、なんて狩りをするのに大変便利なのだ。
ちなみにこれは『全周視認』ってスキルなんだと。
他にも『水棲』『隠蔽』『気配遮断』『粘着舌』『滑液分泌』とかってスキルがある。
なんでわかるかって?
それはさ、俺自身に関してはステータスってのの詳細が見えるんだ。自分の手とかに意識を向けると例のプラカードみたいなのが目の前に現れて、それをタップしてめくっていくと色々書いてあるんだよ。
それで俺の種族名もわかったんだけどね。
個体名 無し
種族 ヌマヌメリガエル
レベル 16
称号 身を潜める者
装備 無し
エクストラスキル 大食漢
通常スキル 水棲 隠蔽 気配遮断 全周視認 粘着舌 滑液分泌
あとは何か数字が並んでたけど、正直よくわからん。
だって、比較しようにもまわりの連中のステータス見えないしね。
とはいえ、まあこんなゲームみたいな要素いっぱいの異世界で俺は今、のんびりカエルやってます!
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる