甘い禁断の蜜

朝飛

文字の大きさ
6 / 7

5

しおりを挟む
体をまさぐられている気配と、間近にある心地よい温もりに思わず口元を綻ばせた。またあの夢でも見ているのだろうと、大して抵抗することもなく、その感触に身を委ね、自ら進んで男の体に腕を回した。

「っ、ん、ぁ」

 夢の中の尚昌が自身に触れてきて、丁寧に扱きながら胸の飾りを舐める感触があまりに心地よくて喘いでいると、尚昌が何か呟く気配がした。

「やらしいな、……たっちまいそう」

 そんな言葉が聞こえた気がしたのに驚く。夢の中の尚昌はいつだって何か言うことはなかったからだ。だが、これが夢でなくて何だと言うのだろう。覚めるのを恐れて目をつぶったまま尚昌の体を引き寄せる。

「なんだ。もっとしてほしいのか。かわいいやつ」

 耳元で囁かれる掠れた声で羞恥心が募り、目を開けそうになるが、なんとか堪えた。その間にも、股間で丁寧に動く尚昌の愛撫は勢いを増し、粘ついた水音を立てながらあっという間に絶頂へと導いていく。

「んっ、んぅ」

 思わず声を上げそうになったところで、察した尚昌に口を塞がれて免れた。舌が口の中に潜り込んできて、しっかりと絡めとられる。

 おかしい。

 その舌先にアルコールや料理の味が残っているのを感じて、清和は首を傾げたくなった。夢の中では、感触自体はリアルだったのは間違いないのだが、匂いや味までしたことはない。

 まさか、そんな。

 恐る恐る目を開けていくと、薄暗い室内に男の姿が浮かび上がる。それも、たった今夢だと思い込んでいたのと同じ状態で、清和の体を抱き寄せて裸に剥いたまま指を滑らせており。

「っ……なおま……!」

 いつものように叔父さんではなく、尚昌さんとつい名前で呼んでしまいかけ、慌てて口を噤むが、遅かった。

「名前で呼んでくれるのか。叔父さん嬉しい。でも、ちょっとボリューム下げてな」

 ふざけた調子で言われてこくこくと頷くと、尚昌は褒めるように頭を撫でてきて、そのまま唇を寄せてきた。

「まっ……ん」

 押しのけようともがいたが、尚昌は腕を抑えて強引に口付けをしてきた。それも戯れでは済まない深いものだ。

「んっ……んっ」

 必死で唾液をこぼさないようにしながらも、なんとか尚昌から逃れようとする。

「暴れるな。さっきはあんなに自分からきたくせに」

「んっ、ちが……、あれは」

「誰かと間違えたのか?」

 咄嗟に正直に首を振って否定すると、尚昌が喉の奥で笑った。

「じゃあ、別にいいだろ。ほら、静かにしないと兄貴たちに聞こえる」

 しいっと指を唇に当ててきて、それだけで抵抗する気を失った清和は、そのまま尚昌の愛撫に流されていく。

 こうなることをどこかで望んでいたのは確かだが、今尚昌の頭の中にあるのは、果たして自分なのか、それとも母なのか、どうしても考えずにはいられなかった。男女で違うとは言え、こんな暗闇であれば母を抱いている気になれるのかもしれない。相手をしてくれるのであれば、身代わりでもいい。そうだろう。

 自分に言い聞かせながら、体の痛みより一層胸の奥が悲鳴を上げた気がしたが、ぎゅっと目を閉じてやり過ごした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

処理中です...