異世界で石に転生した件

atori

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8.投げられる

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「わたし、まものなんて、たおせないよ?」

「いやちがうんだ……戦うって言うのは、俺を武器にしてくれってこと」

 俺は自分の使い方をラナに教えた。

 勢いさえつけることが出来れば、俺も謎の石版に浮かんだ攻撃が使えるのだ。
 
「わたしが、いしさんをなげるの?」

「ああ、やってみて」

「うん、やってみる」

 ラナは俺を片手に構えた。
 大きさ的にもラナの片手の中に納まるサイズだから問題なく投げられるはずだ。

「えいっ」

 だが、俺の目論見は外れた。
 俺は狙いを定めた木から大きく外れて、後ろの岩にぶつかった。
 むなしくも岩を転がって地面に落ちた。

 ラナはあわてて駆け寄ってきた。

「おかしいね、うしろに、いっちゃった」

「えっと、ラナ? キャッチボールはしたことない?」

「きゃちぼおる? おまじないのことば?」
 
 ラナは俺が人生の中でも見たことのないノーコンだった。
 前にすら飛ばないとは。
 大誤算だ。

「仕方ない。投げるのはやめとこう。攻撃するどころか、これではラナが武器を失うだけだ」

「ごめんね。わたしがもっと、つよかったら」

 そういう問題じゃないと俺はツッコミたいのを我慢した。

「よし、次だ。木の棒を探してくれ」

 俺とラナで周囲から太い木の棒を探し出し、頑丈そうな蔦で俺を固定してもらった。
 だいぶ不細工な固定ではあるものの、振り回すことくらいは出来るようになった。
 ナタのように重いわけではないため、ラナでもこれで攻撃できる。
 本当はラナを必要以上に魔物に近づけさせないために投擲を選んだのだが、無理なので仕方ない。
 柄が短いためかなり接近しなくてはならない。

「あの木に打ち込んでみてくれ」

「うん、いくよ~~、えいっ!」

 俺は攻撃の『石打撃』を発動して木にたたきつけられた。

 衝撃音で木の峰が砕けた。
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