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第一

子供と対面

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待たせていた執事の人の後ろをついていきながら、俺は心の中であの神に向かっていろいろ愚痴った
つか、なんで俺にそんな能力つけた?そもそも、俺が襲われる確率が低いとも考えられる。まだグランさんと執事の人しか見てないからなんとも言えないけど、俺が襲われることはない!............はず


「バン様、どうされましたか?」


「いえ...その、俺が教育を担当する息子さんがどんな方かな...と」


「...まぁ...あまり緊張されることないと思いますが...」


「でも、家族の人から教育を任されるんです。子供は人を見て育ちますから......俺がしっかりしていろいろなことを教えないと...」


俺は、母を見て育った。仕事人間だった親父は俺にとっては反面教師だ。別に、暴力を振るうわけでも過度な保護をされるわけでもなく、ただあまり話さなかったのだ。学校の行事もいつも来ていたのは母親だったし...


「......そのようなお考えを...」


「おかしいですかね?」


「いえ、立派なお考えです」


そうかな......
そーいえば、この人の名前聞いてないな...
もしかしたら、これからお世話になるかもしれないし
って、思ってたら...


「ここが坊ちゃまの部屋になります」


部屋についてしまった...
またなーんと立派な扉だこと......
執事の人が扉を開けてくれた。おっかなびっくりしながら中にはいってみると...


「バン、これが私の息子...リゲルだ」


そこにいたのは赤ん坊を抱きかかえているグランさんだった
..........ん?赤ん坊?
んんんんん????


「あの...とりあえず説明をお願いできますか?」


「あぁ...そこに座ってくれ」


「はい」


ん?赤ん坊?
え?俺がイメージしてたの六歳ぐらいの生意気そうな時期なんだけど...
どゆこと?


「リゲルの母...つまり、私の妻はこの子を産んで亡くなった...乳母はいるが四六時中居るわけではない」


「あ、だから...俺が?」


「あぁ......それと、リゲルは勇者の剣に認められた勇者候補の一人だ...十五年後の適正試験まで、息子のことを頼む」


そういって、俺に赤ん坊を渡して部屋を出ていった
やっぱりグランさんって、仕事人間なのかな...
さて...渡された赤ん坊だが...どーしたものか...正直言って、何かを教えるまでの期間があるのは嬉しいことだ。でも、赤ん坊だと、どう接すればいいのかが分からない...


─トントン
「失礼します...バン様、大丈夫でしょうか?」


困って棒立ちしていたらさっきの執事さんが入ってきた。一応頷いてみたが心配に思ったのか、ソファーに座るよう言ってくれた
必死に俺に手を伸ばす赤ん坊は可愛いがこれからのことを考えるだけで気が滅入る

あ~......
教育係ってなにすれば良いんだ~

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