世界の昔話

綾川広大

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中国編

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 「これより第三十七回全国用心棒オーディションを行う!」
金は回りを見渡した、巨人ばかりであった。それも当然だ、各地の腕自慢がこの日の為に己の肉体を鍛え上げてやって来たのだから、
「一次試験はバトルロワイヤルだ、回りの奴等を倒せ!尚この試験で人数を十人程度に減らす予定だ」
えらく雑な説明だな、けれどそんなこと言ってられない。
母と妹のためにも絶対皇帝の用心棒になるんだ、金は回りの巨人達に負けることなく戦い続けた。


「終了!」
よし、何とか一次試験は突破できた。先程まで三千人近くいた巨人達が、今は金含めて十三人しかいない。
「これより最終試験を行う!」
え、もう最終試験かよ?しかしもう後戻りは出来ない、金は強く決心した。
「最終試験では皇帝への忠誠心を見せてもらう、ここから一万二千キロメートル先の皇帝のところまで走れ!先着五人を用心棒三十七期生として正式に雇用する。」
一万二千キロメートル!?走るのは得意だが、そういうレベルの距離ではない。
「一番乗りは俺だー!」
隣にいた巨人がそう叫んで走っていく、
「うぉーー、負けるかー」
金も走り出した。




万里の長城は全国用心棒オーディションの新開場として、この日始めてオープンされた。
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