あの時の空の下で

ひろい 奏

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第1章

告白

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暑さが増してきた8月の初め、真里の家に行く為にいつもみたいに用意をしていた時
♪︎ピリリリリ♪︎
私の携帯が鳴った。
『真里からだ』
「もしもし、真里?」
いつも通りに電話に出ると
「明希?」
真里の声が低い。
『あれ?何かしたかな?怒ってる?』
私は緊張してしまう。心臓がうるさく波打つ。
「今日、俺ん家にくるの止めてほしいんだ。高校の時に付き合っていた麻美覚えてる?」
「うん。私の同級生だったよね?」
『嫌な予感がする。…… 麻美と真里は確かに高校時代に付き合っていた。別れた時、麻美が教室で泣いていたのは印象的だったのでよく覚えてる。だけどなぜ今麻美の名前が真里から出てくるの?』
段々体の中の血液が逆流するような感じが体中に駆け巡る。
「麻美が、今、やりマンって噂が流れてて、本当にむかつくだろ?俺確かめる為に麻美に会って来る」
『は? 何言ってるの? 私よりも ”元カノ“ を優先するの? 麻美は会いたいなんて言ってないのに真里から会いに行くの?』
「そうなんだ…  わかった!じゃあ今日は行かないよ。またね」
声と気持ちを反対に出すなんて初めてだった。
今まで血液が逆流する感じだったが、直ぐに正常に戻り、今度は怒りで流れが早くなり、体が暑い。
真里には怒っていたのバレてなかったのだろうか?私は ”彼女“ なのだろうか?私は大切にされてないのだろうか?私も一緒には連れて行ってくれないのだろうか?

何度も何度も頭の中で言葉が巡る。
答えの出ない質問を繰り返してる。

『普通の彼女は怒るのかな?』
そんな言葉が浮かんだ。私には真剣に付き合った事がない。他の女の子の影が出てきたら、すぐに身を引いた。恋をして自分が情けなくなるのは嫌だったから。恋をして自分が傷つくのは嫌だったから。だけど真里との恋愛は何か違った。半同棲みたいな感じになって、お互いが支え合っていたと思えた。だから、真里がやりたい事は応援したし、私も仕事が頑張れた。なのに、これも了解しないといけないの?
私は自分の中で答えがみつからずに、夜のコンビニに行った。
たくさんのチョコとたくさんのデザートを買って帰った。
だけど、たくさんたくさん甘くて大好きなはずなのに、全然甘くない……。  全然美味しくない……。  
ごめんね…… スィーツ達……。 幸せを運んでくれるモノなのに   私は自分の存在を示す為に食べてるの……   ごめんね  明日からは強くなるから、今日だけは許して……  明日からは笑顔の為に食べるから、今日だけは許して…… 
そんな事を考えて全部食べていた。  口に入れていた。 
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