あの時の空の下で

ひろい 奏

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第1章

不変

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季節が移り変わり、寒くなってきた10月の頃、相変わらず半同棲生活を送っていた。
穏やかな日々---とは素敵な言い回しだが、遊びたい盛りの私には少し退屈になってきてしまった。ラブラブ結婚生活を夢に見ていたが、真里は結婚なんて頭に無いと思う。10代の男子に思っている人が居たら見てみたい。真里は相変わらず、私が部屋に居ても、友達と遊びに行き、帰りは夜中だった。1人で寝る事も増えた。淋しい時間が増えた。
そんなある日、県外の専門学校に通う高校時代の友達の原田美樹から連絡が来る。美樹はしのぶとも仲良しで、高校時代は同じグループだった。
「今度、こっちで合コンしない? 3対3でさ!男は学校の友達だからね♪︎」
私はしのぶと話をして、行く事にした。
出会い目的と言うより、都会に行きたかった。私の街は田舎だ。テレビに出てくる地名も行った事が無い私には、都会の学校に居る人は全てキラキラしていると思った。
私も都会に行ける!そんな事を考えていたら、退屈な毎日が楽しみに変わった。
後は真里に何て言おうか……。 ”合コン“ なんて言ったらダメと言われるに違いない!絶対に言わない!

「今度の金曜日の夜に、美樹としのぶと遊んでくる。県外だから、向こうで泊まりになる」
嘘は言ってない。余計な事を言ってないだけ。
「いいよ~。気をつけて」
なんて呑気に真里が言う。
私は楽しみを抑えつつ仕事に励んだ。
楽しみがあると、仕事で嫌な事があっても気にならない。
『私って単純なのかな?』
そんな気持ちが出てくる。
あっ!都会はおしゃれな人が多いから服どうしよう?買いにいかないと!
着々と準備が進んでいく。ん--!楽しみ!芸能人とかに会えるのかな?普通に芸能人て歩いてるのかな?
そんなくだらない妄想をして、当日を迎えた。

仕事を定時キッチリに終わりにして、ダッシュで着替えてしのぶとの待ち合わせ場所に行く。電車に乗って美樹と待ち合わせに向かう。ドキドキした気持ちを必死で抑えているが、電車の窓からはだんだんと高いビルや建物が多くなってくると、自分が高揚しているのがわかった。
『ヤバい!憧れていた場所だ!』
顔が自然とニヤけてくる。
「お疲れ~!」
美樹が迎えてくれた。
駅には人が多くて、ドラマで見てる光景だった。歩いている人達みんなが芸能人に見える。みんなキラキラして見えた。
はぐれないように真剣に美樹に着いていく。そして駅から近いカラオケに入った。
部屋にはもう男の子達3人が待っていた。みんな美容専門学校に通っている人達だから、更にカッコ良く見えた。
『真里とは全く違うなぁ』
そんな第一印象だった。
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