あの時の空の下で

ひろい 奏

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第1章

確信

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そんな合コンは朝日が昇る頃に終わった。みんな眠い中、ファストフードの朝ごはんを食べて解散になった。
帰りの電車の中で美樹が
「私英樹君狙っちゃおうかな~!」
って笑う。
「そうだね!いいと思うよ!」
私は笑顔で返すしかなかった。
『あのトキメキは何かの間違い。日常に戻ればまた変わらない日々が始まる。私は魔法にかかっただけ』
そんな言葉を言い聞かせていた。

眠さと罪悪感とで車内では目を閉じる事しかできなかった。

次の日、仕事中にメールが鳴った。
休憩中に確認すると英樹君からだった。
『この前は楽しかったね! 今度は2人で会わない?』
気持ちが静まらない内に連絡をするのはずるい。
私の気持ちを引き寄せるような事をしないで欲しい。私もどんどんそっちに向かっているのがわかる。気になる人が自分に好意を向けてくれてるのがわかるのは嫌な気分ではない。ただ真里と美樹を傷つけるのはわかっている。私は好意をはね除ける程自分に自信がない。真里から愛されている自分がない。私は真里との付き合いは本気だと思う。結婚って憧れているけど、真里とならこんな感じで結婚するのかなって思う。だけど、真里はいつも肝心な言葉を言ってくれない。真里の気持ちがわからない。10代の恋ってみんなこんな感じなのかな?別の人がすぐできるの?
あーぁ わからない!……… どうしよう?
私はしばらく考えたが答えがみつからない。

『この前はありがとう!楽しかったね! 了解!今度2人で遊ぼう!』
そんなメールを返信した。 考えても答えは出ないから、もう1度会って確かめよう。
あと、都会にもう1度行きたかった。  

こんな状況になっていても、こちらでの生活は変わらず真里の家に行く。
タイミングが悪く、2人で居る時に真里の電話が鳴る。
「もしもし、どうした~?   うん。うん。    了解!行くよ~!    待ってて じゃあまた 」
会話を聞いた訳ではないが真里の話を聞いていると何となくわかる。また遊びにいくのだろう……
こんな時に真里はまた行ってしまうんだね。
「明希、ごめん!  今から出かけてきていい?」
「うん。わかった!   気をつけてね」
……  なるべく平気な声で言った。頑張って作り笑いで言った。   
『気づいて   私の作り笑いを  いかないで』
そんな気持ちも虚しく、機嫌良く部屋を出ていってしまった。 
 
『さみしい』

そんな感情が私を支配する。私はこれからもずっとこんな感情と一緒に過ごすのかな?真里は私と居るより友達と遊んでいる方が楽しいんだろうなぁ  私って必要とされてないのかな? 私が居なくても真里は平気なんだろうなぁ  私が寝ていても真里が帰ってきて、ヤりたくなったら私を起こして抱く。こんなHなんて気持ち良くない。

1度ネガティブを吐き出してしまったら、ボロボロと溢れてくる。
もう疲れた。私は愛されている人の方に行こう。
さみしい に負けて甘い蜜の方に気持ちが向いている事を確信してしまった。
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