ヒロインの中身がERO男子

araki11

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本編

転生しました。PCとベッドの下を片付け損ねました。

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朝起きたら、古い屋敷っぽい室内でした。
はじめは、夢かと思い、あたりを見回した。
ほっぺを触るとマシュマロのような感触。

「あばば、べっとぉお!!(なんという、やわらかさ!)」

・・・あれ?

感触もそうだが、己の手の小ささに驚く。

先ほどの声も変だ。
日本語じゃない。
というか、きっと言葉でもない気がする。

改めて、自分の状況を確認する。

・・・あ・・・これ、最近流行りのやつだ。

異世界転生。
や、待て待て。
異世界とは限らない。

うん。状況を確認しよう。

周りにあるのはカーテン。柵付きの子供用ベッド。赤ちゃん用ではない。
少し埃のかかった棚に、薄汚れた天井。
古ぼけた絨毯。
装飾品の類は全く無く、安っぽい花瓶の中には古いドライフラワーが入っている。
通常のドライフラワーに比べて、かなり煤けていることから、あまり手入れもされていないようだ。うっすら埃かぶっているし。

それでも、平民の部屋ではなさそうだ。
どことなく、旧家の雰囲気がある。
金はなさそうだが。

頑張って起き上がろうと努力していると、おおらかそうな女性が入ってきた。
「アンジェ、ごはんよ~。」
そう言って、放漫なおっぱいがめいっぱい口に押し付けられた。

おなかが減っていたのと、本能が自然と体を動かし、おっぱいにむしゃぶりつく。
赤ちゃん特権最高だ!!!

おなか一杯おっぱいを飲んで、背中をポンポンされていたら、眠気が襲ってきた。

俺は、ごくごく自然に睡魔の誘いに従い、眠った。



眠りながら、前世のことを思い出そうとした。
が、これと言って思い出せない。

覚えているのは、後悔の記憶。

あぁ、なんで死ぬ前にベッドの下のお宝を処分していなかったのか。
あぁ、PCのデータを削除していない。
あの黒歴史。
少なくともJPGは消していてほしい。
あ、後、閲覧履歴もやばい。
電子図書のロックせずに死んでしまった。
見られたら、死ぬ。

・・・あ、死んでた。

と言うしょうも無い後悔。

一つ言えること、それは、俺がERO男子だったこと。
絶対、女ではないだろう。
覚えているのは、残してきたエロ本のパッケージや中身だけだ。
多少、エロゲーの記憶もあるが、覚えているのはエロシーンだけだ。
その内容も女性のあられもない姿のものだ。
これで女だったら、それはそれでやばいだろう。

確かに、百合本も記憶にはあるが。

さて、これからどうしよう。
もしかして、魔法とかあるのかな?触手は?触手はあるのかな?
ワクワクするなぁ。
あ、ファンタジーならではの、魅了魔法とかあるのかな?

わー、楽しみ♪

そう思いながら、幼少期をのんびり暮らしていた。

さすがに赤子だけあって、リビドーが反応することは無く、まともな親子関係を結びつつ、父親のあごにキックをかましながら、すくすくと俺は育った。


2年後。
つまり、2歳になったとき、俺は気づく。
まわりから、アンジェ、アンジェと言われて、女みたいな名前だなぁと思っていたら、2歳の誕生日に着せられたドレスで思い知る。

おれ、おんなだ・・・。

俺の名前は、アンジェリーク・エドワルドだった。
・・・エドワルド苗字だったぁ・・・。


それまでは、でっかいおしめみたいなのと、金太郎みたいな前掛けだけだったから気づかなかった。
よく思い出せば、俺の下半身に〇U〇がない。
なぜ、今まで気付かなかったのか。

なんだ?
つまり、あれか?
TSか?TS展開なのか?!
望んでないぞ!!!!

俺は、絶望しながらも、取り合えず、スカートは妥協した。

そうさ、男の娘ジャンルも一応ながら、持っていたじゃないか!前世で!

いける!きっといけるはず!!

そんなこんなで、3歳まで元気になること第一でビシバシ暴れ、成長し、気づけば4歳で領で一番のガキ大将の地位をゲットしていた。

ちなみに俺の家は男爵の家らしいのだが、平民との距離が非常に近く、俺の周りで俺を男爵子息・・・じゃないや、男爵令嬢として扱うものは誰一人としていなかった。

強いものが勝つ!
いくつもの決闘というなの拳と拳の会話でみんな仲良く俺の配下になったのだ。
結構、そんな暴力的なきっかけだったが、困ったときには、子供ながらにみんなで助けたりしていたせいか、子供たちとは思えないくらい、俺に対しての忠誠心があり、5歳になったときには、周りの子供たちは立派な俺の従者みたいになっていた。

あれ?なんかちょっとおかしい気がする。

とか多少思ったが、今の親もおおらかな人なせいか、気にしないことにした。

あれ?今の親も?
自然にそう思っていることに気付き、たぶん前世の親もおおらかだったんだろうなぁ。

と、たまに思い出す前世の記憶にのほほんとなる。


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