3 / 3
阿久津さんの団地の話
しおりを挟む
友達から聞いた話なんだけど。うん。又聞きばっかりでごめんね。私の実体験もあるんだけど、まだどう話すかの情報整理できてなくて。一応ね、自分が話すのめちゃ下手な自覚はあるんだ。何言ってるのか分からないって怒られまくってる人生だから。だから今のバイト助かってんだよね。言うことパターン化されてるから。
たぶん文章にした方が簡潔に伝えられるんだろうけど。いやそうでもないか。担当さんにもよく日本語確認されるし。
漫画にするとどうにかできるんだけど、描くのに時間かかるし、笹島さんに見せるのっていうのもちょっと恥ずかしいし。
笹島さんも不特定多数には見せられるけど家族とか友達には見せづらくない? 小説。
だよね? だから口頭で話させて。
で、友達。そう友達がね、ちっちゃい頃団地住んでたんだって。お父さんの会社の社宅だったとか言ってたかな? 知り合った時は一戸建てに住んでたんだけど。
団地住んでた時、朝、洗面所で歯を磨いてたんだって。で、近くに窓があって外が見えたんだって。洗面所に窓あるってなんかいいよね。自然光で鏡見れるし。
で、友達が何気なく窓の外を見てたら、あ、部屋は一階だったらしいんだけど。
そしたら豚が歩いてたんだって。後ろ足だけで。そう二足歩行二足歩行。それ聞いた時の私の脳内イメージ、腕ぶんぶんって振って陽気な感じなんだけど、リアルな豚って足そこまで長くないから、元気よく歩いててもこう……小さく前ならえの状態でぶんぶんって振る感じになるよね。
あれかな、矢場とんってわかる? 名古屋の味噌カツ屋さん。あのマスコットの印象が強いよね。あとお肉屋さんとかレストランの看板にいるコック帽とかかぶった豚。あれなんの肉料理してるんだろう。まあいいや。
その豚の首に、青いリボンが巻いてあったんだって。
二足歩行じゃなかったら首輪だよね。二足歩行してる時点でどっかおかしいんだけど。馬だったらギリ二足歩行っていうか前脚上げて立てるだろうけど。でも友達ちっちゃかったから、変だなあって思って終わりにしたんだって。子供だとそういうのあるよね。サンタさん信じてる的な。
そしたら次の日も窓の外を豚が歩いてたんだって。でも前の日と違うことがあって。
リボンの色が黄色かったんだって。
それでね、友達、思ったんだって。
「明日あのリボンが赤かったらどうしよう」って。
だから次の日から天気がいい日でも洗面所を使う時は窓を閉めるようにしたんだって。
なんで豚が二足歩行してることは気にならなかったのに、リボンの色は気になったんだろうね。
豚は本当にいたのかな。
ってか、リボンの色が赤くなったらどうなるって友達は思ったんだろうね。教えてくれなかった。忘れちゃったけど、赤くなったらヤバいとは思ったんだって。
でもさ、子供が朝歯磨きしてる時間って、大人だったら会社行ったりゴミ出ししてる時間だし、窓開けて外見てる人もいるよね。
団地の人で、友達以外で豚を見た人はいなかったのかな。
もし見てた人がいて、赤いリボンを巻いた豚を見た人がいたら、その人はどうなってたんだろうね。
……あんまり怖くないね。
聞いた時はぞわっとしたんだけど。
じゃあ、またねー。お疲れ様。
「……」
マイペースに帰っていく阿久津さんの背中になんとなく手を振った。
そして私も意味が分からない話なのに何故かゾッとした、とは、言えなかった。
たぶん文章にした方が簡潔に伝えられるんだろうけど。いやそうでもないか。担当さんにもよく日本語確認されるし。
漫画にするとどうにかできるんだけど、描くのに時間かかるし、笹島さんに見せるのっていうのもちょっと恥ずかしいし。
笹島さんも不特定多数には見せられるけど家族とか友達には見せづらくない? 小説。
だよね? だから口頭で話させて。
で、友達。そう友達がね、ちっちゃい頃団地住んでたんだって。お父さんの会社の社宅だったとか言ってたかな? 知り合った時は一戸建てに住んでたんだけど。
団地住んでた時、朝、洗面所で歯を磨いてたんだって。で、近くに窓があって外が見えたんだって。洗面所に窓あるってなんかいいよね。自然光で鏡見れるし。
で、友達が何気なく窓の外を見てたら、あ、部屋は一階だったらしいんだけど。
そしたら豚が歩いてたんだって。後ろ足だけで。そう二足歩行二足歩行。それ聞いた時の私の脳内イメージ、腕ぶんぶんって振って陽気な感じなんだけど、リアルな豚って足そこまで長くないから、元気よく歩いててもこう……小さく前ならえの状態でぶんぶんって振る感じになるよね。
あれかな、矢場とんってわかる? 名古屋の味噌カツ屋さん。あのマスコットの印象が強いよね。あとお肉屋さんとかレストランの看板にいるコック帽とかかぶった豚。あれなんの肉料理してるんだろう。まあいいや。
その豚の首に、青いリボンが巻いてあったんだって。
二足歩行じゃなかったら首輪だよね。二足歩行してる時点でどっかおかしいんだけど。馬だったらギリ二足歩行っていうか前脚上げて立てるだろうけど。でも友達ちっちゃかったから、変だなあって思って終わりにしたんだって。子供だとそういうのあるよね。サンタさん信じてる的な。
そしたら次の日も窓の外を豚が歩いてたんだって。でも前の日と違うことがあって。
リボンの色が黄色かったんだって。
それでね、友達、思ったんだって。
「明日あのリボンが赤かったらどうしよう」って。
だから次の日から天気がいい日でも洗面所を使う時は窓を閉めるようにしたんだって。
なんで豚が二足歩行してることは気にならなかったのに、リボンの色は気になったんだろうね。
豚は本当にいたのかな。
ってか、リボンの色が赤くなったらどうなるって友達は思ったんだろうね。教えてくれなかった。忘れちゃったけど、赤くなったらヤバいとは思ったんだって。
でもさ、子供が朝歯磨きしてる時間って、大人だったら会社行ったりゴミ出ししてる時間だし、窓開けて外見てる人もいるよね。
団地の人で、友達以外で豚を見た人はいなかったのかな。
もし見てた人がいて、赤いリボンを巻いた豚を見た人がいたら、その人はどうなってたんだろうね。
……あんまり怖くないね。
聞いた時はぞわっとしたんだけど。
じゃあ、またねー。お疲れ様。
「……」
マイペースに帰っていく阿久津さんの背中になんとなく手を振った。
そして私も意味が分からない話なのに何故かゾッとした、とは、言えなかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる