2 / 29
第一節:目覚めたら、お姫様でした
しおりを挟む
天井が、やたらと高かった。
私は、白くふかふかした天蓋付きのベッドに横たわっていた。あれ? 私って事故ったんじゃなかったっけ……? と、まだぼんやりした頭で状況を整理しようとする。
手のひらを見る。細くて、白くて、すべすべで、自分のものとは思えない。
「……いや、なにこれ。手、綺麗すぎない?」
声も少し高い気がする。いや、それ以前に——
ふり返ると、鏡の中に自分じゃない誰かが映っていた。
金色の髪。氷のように澄んだ青い瞳。整った顔立ちの美少女。まるでアニメの中から出てきたみたいな……っていうかこれ、
「いやいやいやいや、どう見ても“悪役令嬢”じゃん!!」
突っ込まずにはいられなかった。だって、母が読んでたラノベの表紙にこんな顔の子、何人もいたもん。
まさか、そんなことあるわけ——
「お目覚めになられましたか、第一王女殿下」
「えっ……?」
静かな声と共に、扉の外から入ってきたのは、黒い燕尾服を着た執事だった。年は……五十代くらい? 無表情だけど、どこかあたたかみのある雰囲気の人。
「本日は早朝より“反省の場”にご出席いただく予定でございます。身支度を整えますので、少々お待ちを」
「……は、はい……?」
“反省の場”? なにそれ怖い。
というか私、何かやらかしてたの? 前世じゃなくて、この体の“前の中身”が?
(ま、まさか……これって、ほんとにラノベで読んだ“断罪イベント”前夜のやつじゃん!?)
心臓がバクバクする。
体は動くし、服もふわふわで可愛いし……でも頭の中は混乱しまくりだ。
いや待って。落ち着け私。
異世界転生はさておき、まず確認しなきゃいけないことがある。
「……あの、クラウスさん?」
「はい、クラウスでございます」
「私……その、家族のこと、知りませんか? 父とか、母とか、兄とか、弟とか……」
クラウスと名乗った執事は、わずかに目を細めた。何かを探るような、けれど優しい目つきだった。
「陛下と皇后陛下、第一王子殿下、第二王子殿下は、それぞれ目を覚まされております」
「ほんとに!? 無事なんですか!?」
「ええ。ただ……皆様、それぞれに“様子が違う”と、宮廷内では噂になっております」
(……やっぱり、転生してるの、私だけじゃないんだ)
私の中に、少しずつ確信が芽生えていく。
この体は“第一王女”として、ものすごく悪名高い存在らしい。
でも、前世の家族も一緒にここにいる。
だったら——この滅びかけの世界でも、私、頑張れるかもしれない。
(まずは“断罪イベント”を回避せねば……!)
私は、白くふかふかした天蓋付きのベッドに横たわっていた。あれ? 私って事故ったんじゃなかったっけ……? と、まだぼんやりした頭で状況を整理しようとする。
手のひらを見る。細くて、白くて、すべすべで、自分のものとは思えない。
「……いや、なにこれ。手、綺麗すぎない?」
声も少し高い気がする。いや、それ以前に——
ふり返ると、鏡の中に自分じゃない誰かが映っていた。
金色の髪。氷のように澄んだ青い瞳。整った顔立ちの美少女。まるでアニメの中から出てきたみたいな……っていうかこれ、
「いやいやいやいや、どう見ても“悪役令嬢”じゃん!!」
突っ込まずにはいられなかった。だって、母が読んでたラノベの表紙にこんな顔の子、何人もいたもん。
まさか、そんなことあるわけ——
「お目覚めになられましたか、第一王女殿下」
「えっ……?」
静かな声と共に、扉の外から入ってきたのは、黒い燕尾服を着た執事だった。年は……五十代くらい? 無表情だけど、どこかあたたかみのある雰囲気の人。
「本日は早朝より“反省の場”にご出席いただく予定でございます。身支度を整えますので、少々お待ちを」
「……は、はい……?」
“反省の場”? なにそれ怖い。
というか私、何かやらかしてたの? 前世じゃなくて、この体の“前の中身”が?
(ま、まさか……これって、ほんとにラノベで読んだ“断罪イベント”前夜のやつじゃん!?)
心臓がバクバクする。
体は動くし、服もふわふわで可愛いし……でも頭の中は混乱しまくりだ。
いや待って。落ち着け私。
異世界転生はさておき、まず確認しなきゃいけないことがある。
「……あの、クラウスさん?」
「はい、クラウスでございます」
「私……その、家族のこと、知りませんか? 父とか、母とか、兄とか、弟とか……」
クラウスと名乗った執事は、わずかに目を細めた。何かを探るような、けれど優しい目つきだった。
「陛下と皇后陛下、第一王子殿下、第二王子殿下は、それぞれ目を覚まされております」
「ほんとに!? 無事なんですか!?」
「ええ。ただ……皆様、それぞれに“様子が違う”と、宮廷内では噂になっております」
(……やっぱり、転生してるの、私だけじゃないんだ)
私の中に、少しずつ確信が芽生えていく。
この体は“第一王女”として、ものすごく悪名高い存在らしい。
でも、前世の家族も一緒にここにいる。
だったら——この滅びかけの世界でも、私、頑張れるかもしれない。
(まずは“断罪イベント”を回避せねば……!)
326
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる