『  』

ちかライダー

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ゲームのその後2

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  2人は向かい合って座っている。
「君は… 何者?」
みつりが問いかけた。

男の子にあったのは偶然。
 なのに、あったその日にあの夢を見た。
こんなことが起きることを分かっていたかのような言葉と行動。

この子も、《"エン" は繋がった》 と、言った。
 あの化け物も同じことを言った。

わかっていたから、お守りを渡したのだろうか?
 それと、化け物から助けてくれたあの男性。
あの男性ひとは、夢の事や・化け物の事を何か知っていたっぽい。
それに、みつりのことも知っている感じだった。

いま、こうして男の子を前に見ると、あの男性が何故かチラチラちらつく。
 背格好も年齢も全然違うのに、、、 もしかしたら知り合いなのかもしれない。

みつりの質問に、男の子は広角をあげる。

『俺が何者? そうだな、まだ名前を言ってなかったな。
 俺は蒼桜アオだ』

 「ア…オ、君」
やはりそんな名前に覚えはない。
「じゃ…」 と、次の質問をした。

「夢で出てきた男の人は、アオ君の知り合いなの?
 それと、あの化け物はなんなの?」
真剣な眼差しで蒼桜アオをみる。

少し間が空いて、蒼桜アオは喋りだした。
『じゃ、お前に聞く。 あの男はなんだと思う?』
質問返し。 みつりは、あの男性の事を思い出し話した。
「最初は、 "超イケメン!" て、思った。
 お化けから助けてくれて強い人だなぁ…って思ってたけど」
と、好印象であることを話していたみつりだったが、やはりラストで見せたあの姿が印象強かった。
 《鬼そのもの》 と、感じるあの姿。
助けてはもらったが、少し怖い感じがしたと話した。
「でも、なんでかは知らないけど、1つ目の化け物と違って殺されるの気持ちはなかったかな?」
みつりは言う。
『はぁ~ん、やっぱ見込んだだけはあるな』
蒼桜あおは、小さく呟いた。
みつりにも、ボソッと聞こえたがよく聞き取れなかった。

『襲ってきた《アレ》がなんなのか…。
 あれはな、《オニ》と呼ばれている奴らだ』
  
   鬼?

その単語を聞いて、頭に浮かぶとすれば昔話でも聞いた赤鬼青鬼だろう。
 虎柄のパンツに、ごつごつの金棒持って、角があって・牙があっての大男。
みつり的には、あのイケメンの男性もチラッと頭に浮かんだ。

「鬼? でも、あれはどちらかと言えば妖怪的に思えるけど…」
みつりは言う。
『人間が思う "鬼" とは違う。オニは姿を持たない。
ある者には屈強の大男に見え、ある者には絶世の美女に見える。
また、ある者にはとても恐ろしい姿にも見えるだろう。
オニには、固有とする絶対的姿がない』
なるほど、それならみつりが見たあの化け物も "オニ" と言われても、おかしくはない。
「じゃ、もしかしてあのイケメンの男の人も…オニなの?」
『じゃ、聞くが俺はナニに見える?』
「アオ君は、まぁ普通の男の子…だと思ってるけど」
不思議な子ではあるし、あの男の人に似てる気もするが、それ以外にナニも感じなかった。
 
 みつりが話している途中、風がさわさわと吹いてきた。
 最初、気にならず「窓から入ってきたんだな」 としか、思ってなかった。
だがその風は、みつりを通り蒼桜アオに集まると、その姿を隠した。
みつりは何が起きているのか、今の状況を目で見ても全然理解できない。
 その風は、すぐに晴れたが、そこにはアオ君ではなく別人が座っていた。
 
そう、あの夢で会ったあの和服イケメン。
 男の子が、青年に変わった。

みつりは、その姿を見て理解した。
 だから、化け物の事も知ってたし・あの世界の事も知っていた。
自分も同じオニだから、色々知ってたんだ。

なら、なぜみつりを助けたのか?
 あの化け物は、たぶんさらった人間を襲っていた。
でも、この目の前のオニからは何も害を与えられていない。
 いや、こうやって正体を晒したと言うことは、今から…
 いや、実はこれも夢の中で全てが罠でこれからいたぶられるヤツ…

と、マイナスの事を考えていたが、やはりこの目の前の人物からは殺意的なものは感じられない。
 絶対、人間ではないと確信したが目の前にしても特に危機感を感じない。
助けてもらったからそう感じてるだけなのかもしれないが、みつりにさほどの恐怖心はなかった。

「あなたも… オニ、なの?」
みつりが聞くと、蒼桜アオはニヤリと笑うだけだった。
「あ、あの… なんで、助けてくれたの?」
オニであるなら、人間を襲うものだろう。
しかし、この蒼桜オニはどちらかと言うとオニを襲っているように思える。

『あー? 気にするな。
お前はあの時、見ず知らずの俺に話しかけて菓子を買ってくれた。 ただ、それの返しのためだ』
まっすぐな瞳は、嘘をついているように見えない。
「そ、そんな大したことじゃないよ。
 でも、あの化け物から助けてくれてありがとう」
「やっぱ、声かけてよかったかも」と、心の中でみつりは思った。
「あ・あと、聞きたいことがあるんだけど…」
と、みつりは高田がどうなったか尋ねた。
 みつりと同じ学校に通う同級生。 都市伝説の話はその相手から聞いたと話した。

今日、学校へ行ったが高田はいなかった。
 ただ、休みなのかもしれないがあの話を聞いたあとなだけに、高田の存在が気になる。
みつりの話を聞いて、蒼桜アオの表情は特に変わることなく、
『俺があの場所に行った時、あそこにいた人間はお前だけだ』
と、言った。 みつりは察した。
 やはり、あの時見た高田はもう人間じゃなかったんだ…。
じゃ、あの子犬は…

もしかしたら、高田の思いが助けてくれたのかもしれない。
みつりは、そう思うことにした。

『まぁ、助けたのもあれだ、あんま気にするな これから世話になるんだ、その代わりに命くらい助けてやるよ』
「うん、ホント助けてくれてあり… ん? 世話になる?」
みつりは、蒼桜アオの言葉に引っ掛かった。
『あぁ、今日から俺の名前は "芦月《あしづき》 アオ"だ。
よろしくな、姉ちゃん♪』
そう自己紹介する蒼桜アオの姿は、もとの小学生に戻っていた。
『やっぱ、オニを見つけるには人間といた方が見つかりやすい。
だから、協力しろ』

   は? えっ?
みつりは困惑した。
 助けてはもらったが、まさかこんなことに巻き込まれるなんて!
 しかも、お姉ちゃん?
困惑で頭の整理が追い付かない。

「え? でも、私には弟なんていないよ?
 それに… いや待て、そう言えばお母さんの今日はなんかおかしかったような…」
みつりが帰ってくるまでは、蒼桜アオと母親の二人だったハズ…。
 でも、すごい親しそうにしていた…。

困惑するみつりに、蒼桜アオはニヤニヤして話す。
『あー、話してなかったけどオニには特殊能力を持つモノがいる。
それは、個々で異なるがその一つに "情報操作" があるんだよねぇ』
その言葉で察しがついた。

 みつりの母親は、このオニに脳を操作されたに違いない。
でも、人の記憶をそう簡単に書き換える事って本当に出来るのか?
みつりが疑問に思っていると、
『お前は、その能力の力を体験してるだろ』
と、アオは言う。

そう、高田の話で聞いた従姉妹いとこのこと。
 それに、今日の学校でのこと。
そこには、高田がいた気配は一切残されてはいなかった。
『能力の強さは、そのオニの強さに比例する。
アイツでさえ、あれくらいの操作は出来たんだ、俺ならこんなの容易いことぐらいワカルダロ』
不適な笑みでみつりを見る。

「で、でも、私はただの人間だよ! 幽霊なんて見たことない霊感ゼロだよ!
霊能力的なものも無いし… 絶対、役に立たないって!」
みつりは全面的に役に立たないことを押した。
だが、アオは見逃してはくれなかった。

『てめぇ、俺の菓子食べたんだ。
         嫌とは言わせねぇ』
  お菓子? みつりは考えた。
「いや、あれはあなたが貰えって…」
理不尽を言うアオは、話を聞いていない。
『これからもよろしくな、
       お・姉・ちゃん♪』
ニヤつくアオにモヤモヤが晴れないみつりだった。
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