世界最強の魔女は争い事に巻き込まれたくないので!邪竜と無自覚に英雄を育てながらひっそりと暮らしたい

赤羽夕夜

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それから3年後...

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死海の森に住まうことを許された私は、ファフニール......ファフくんの許しを得て森の一部を開拓し、中世ヨーロッパ並みの三階建ての豪華な屋敷を建てた。

建築を始めた当初は渋い顔をされたし、魔法で1から創造をするなんて膨大な魔力を使うと目立つので、人目のないここだからできたこと。こちらも踏まえて、すごく呆れたようなため息を吐かれた。

でも、なんだかんだで出来上がってみたら、本人曰く「慎ましやかなサイズながらも繊細で風情がある」と気に入ったようだ。たまになら遊びに来てもいい、と伝えると尻尾がフリフリ、と動いた。


気に入ってもらえてこちらとしても悪い気はしない。結構こだわりぬいて作ったから。

まずは創造魔法や記憶魔法、解析魔法などで家の作り方や設備等の解析と必要な材料を調べ、錬金術を応用して家を建てた。家具ももちろん錬金術の応用で30秒で必要なものを作った。ソーラーパネル完備の家なので、太陽電力で錬金術と魔法石で作った疑似家電家具も設置済み。......んん、魔法って最高。

……それから生前の知識と魔法を駆使して、カーバル皇国で暮らしていた以上の便利な暮らしを実現することに成功した。





死海の森を加工山々の中には魔法石や鉄が採れる鉱山もあるので、そこから鉄を調達して錬金術で水道を引くことで、水道設備を完備できた。火の属性を持つ魔法石のおかげで常時お風呂にも入れる。



食については私がずっと食べていけるだけの食料がこの森にはあった。どういう原理なのか知らないがブドウやリンゴなどの果実の木が実っていれば、山菜も豊富に生えていた。野菜の種を出ていく時に持っていたので、そこからにんじんやジャガイモなどの種類多い野菜を育てることにも成功した。成長魔法等を使えば栽培も可能だ。



湖は塩分が含まれているので、調味料なども不自由がない。服についても記憶魔法などでどうにでもなった。......魔法とはひとの身では決して不可能な結果や過程を生み出す不思議な力、そして魔素という力と魔力を媒介にして行使する。脳を活性化させて記憶にある情報を引き出したり、それを解析したりするのは簡単なことだった。



さらに無から有を生み出せる魔法は、理解すればなんでもできた。錬金術は材料を消費して魔法によって物質を作り出す魔法なので家作りでは大いに役立った。



そんなこんなで、1年目で衣食住を整えることができた私は、最近はより美味しいものを作ることに没頭していた。



......。



「ファフく~ん!寝てるの~?ワイン作ったんだけどいる~?」

家の近くで採取して作ったワインを手製の樽に入れて転がしながら洞窟に足を運ぶ。すると唸り声を上げながら......。



「いるに決まっているだろう。蓋を開けてそこにおいておけ」



洞窟から顔だけ覗かせたファフくんがそういった。お酒好きなファフくんは上機嫌なのか、洞窟の中から、びたん、びたんと尻尾を打ち付ける音が響く。



この森にきてから衣食住を整えた頃。居場所を提供してくれたファフくんに感謝の気持ちを込めて、なにか消費できるものをと思って作ったのがお酒だった。竜ってお酒が好きなイメージがあったので持っていったらビンゴ。すっかり気に入ってくれたようで、それから定期的にお酒を造ってはファフくんに持って行った。



今では私の唯一の話し相手であり、友人になった。......友人と思ってるのは私だけかもしれないけど。でもこうしてあだ名を呼ぶ程度には仲良くなったのだ。



「おい、1樽じゃ足りんぞ。もっと作って来い」

「じゃあファフくんも手伝ってよ!お酒作るのって意外と大変なんだよ!魔法で作ってもいいけど、お酒系はどうしても味が落ちちゃうし」

「この姿でどう手伝えと?俺が手伝えばワイン作るどころか桶ごと踏みつぶすのが目に見えている」

「こう......人間っぽく形どれないの?」

「試したことはないが、できることはできる......かもしれんが、面倒だから嫌だ」



ファフくんは亀のように洞窟から首を出した。樽を開けてあげると、舌をちろりとだして大事そうに飲む。こう見ると子犬のように可愛げがある。態度は相変わらず大きいけど。

「じゃあ、飲み終わったら適当に放置しておいて。また使うから。......どうしたの?ファフくん」



ワインを飲む動作をやめたファフくんはなにかを警戒するように明後日の方向を見る。ざわりと鱗が逆立つが、すぐに緊張は解け、またワインを飲み始めた。

「どうやら人間の子供5人くらいが迷い込んだらしい。森の入り口から入ってすぐのところだな。弱っているから悪さはできんだろう。放置して問題ない」

「子供が?......たしかに、子供であれば魔力回路も不安定だから、魔素の濃度が濃くても耐性のある子もいるけど......ここまで迷いこむのってよくあるの?」

「ん......。ああ。まぁ、たまにな。どうせ野垂れ死にするし、害はないから僕自らが干渉することはないが」

「ふぅん。国境付近で商いをしている商人でさえ森を近づかないルートを通るのに。子供がここに来るなんて......」

「首を突っ込むなよ。碌なことにならん」



鋭い目つきで釘を指すファフくん。私の境遇を思っての忠告なのだろうか。以外に友人思いなので、そのやさしさは嬉しい。その爪の垢を煎じて皇国の連中に飲ませれば一欠けらの思いやりを持ってくれるだろうか。



とふざけて考えつつ私もファフくんが見ていた方向を見た。
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