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2章
平和と悪夢
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新しい居候が来て数日。オブシウスは驚きの連続だった。
この森の魔女は20年前にある国を滅亡に追い込んだ魔女で、長身の男性はあの邪竜と恐れられるファフニールだった。しかも、今、足をつけている地は空に浮いていること。
村の生活よりとても快適な生活が出来ていること。人間に怯えない穏やかな毎日に今までのことは悪夢かなにかだったのかと思えるくらい充実していた。
朝は早く起きて、エミリアと共に家事の手伝い。朝食が済んだらカールからは読み書きや計算の勉強を教えてもらい、エミリアには魔法の授業をしてもらっていた。
雑学感覚でエミリアは話すが、オブシウスはその知識全てが新鮮だった。オブシウスは村の長の息子であり、魔法の扱いに長けるダークエルフであることから物心ついた時から魔法に触れてきた。
村の掟で実践の授業は10歳になってからだったけど、それでも同じエルフから魔法の知識について学んできたが、その教えが覆るほどの驚愕な知識と、エミリアの魔法の才能を見せられたら、狭い社会の中の知識で満足していた自分がなんだかもどかしくなった。
昼食を済ませ、昼を過ぎるとファフニールが起きて来る。基本はエミリア達と暮らしているが、気分に寄っては洞窟で過ごすこともある。その気分というのは、きまってエミリアと「晩酌の酒の量」で喧嘩した時だった。
最強種であり、災害でもある邪竜を酒で飼い慣らしているのも驚いたが、喧嘩を理由に家を出ていくなど、可愛いところもあるのだと、喧嘩する様子をご飯を食べながら慣れた様子で乾いた笑みを浮かべたカールがオブシウスには印象的だった。
見た感じ、ただの人間なのに、凄い魔女と有名な邪竜に挟まれて生活をするカールはきっと只者ではないのだと、オブシウスは改めてカールの認識を改めた。
――しまいには僕達に傷をつけずに家を消し飛ばす魔法をたかが小さな喧嘩で放つんだもん。エミリア様が魔法で一瞬で修復しちゃうとしても、あんな激しい喧嘩をする2人に挟まれて生活するカールさんは凄いや。
…………。
「皆、無事か」
元カーバル皇国、廃鉱山地帯にある廃村の建物の大部屋の一室にて。
黒いローブで包まれた老若男女、およそ100人が3人の男女を先頭に整列をしていた。
ある者は頭部に兎の耳が。ある者は発達した犬歯が。ある者は獣の手足を持っていた。
これらは魔族――ある国を根城としている人攫い集団に村を襲われた魔族の集落の生き残りだ。
この生き残りの集団の長――褐色の肌に、尖った耳を持つ男がローブのフードを脱いだ。
エルフの男の問いに、先頭で整列をしていた兎耳の女性が悲嘆を含ませて話した。
「1000人いた村民も、助け出せたのはこれで全部です。……長、夫人とご子息は」
「妻は村を守るために死んだ。――オブシウスの方は子供たちと共に逃がした。だから、きっと生きている。物心ついた時から機転も効いて、賢い子だったからな。最悪、1人でもきっと生きて――すまない。皆、家族を亡くしているのに」
「いいえ、子の身を案じ、希望を持つのは親心です。長は先頭に立って私たちを守ってくれたし、力の限りを尽くしてくれた。私たちはそれを否定しない」
兎耳の女の話に割って入る、鳥の手足を持った男は沈んでいるダークエルフの男を言葉でフォローした。
「まさか、認識阻害の結界を破られて人間に村に侵入されるなんて誰が思うでしょう。皆、油断していたのです。あなた1人の責任ではありません。慢心していた村の大人全員の責任だ。だから、今は生き残った同胞を1人でも救出することに専念しましょう」
「――そうだな。一刻でも早く救い出そう。それまでは――どうか、無事でいてくれ」
村の長は魔法を使い、姿を消すと、会合は終了し、部屋に集まっていた魔族は各々が散り散りに解散した。
この森の魔女は20年前にある国を滅亡に追い込んだ魔女で、長身の男性はあの邪竜と恐れられるファフニールだった。しかも、今、足をつけている地は空に浮いていること。
村の生活よりとても快適な生活が出来ていること。人間に怯えない穏やかな毎日に今までのことは悪夢かなにかだったのかと思えるくらい充実していた。
朝は早く起きて、エミリアと共に家事の手伝い。朝食が済んだらカールからは読み書きや計算の勉強を教えてもらい、エミリアには魔法の授業をしてもらっていた。
雑学感覚でエミリアは話すが、オブシウスはその知識全てが新鮮だった。オブシウスは村の長の息子であり、魔法の扱いに長けるダークエルフであることから物心ついた時から魔法に触れてきた。
村の掟で実践の授業は10歳になってからだったけど、それでも同じエルフから魔法の知識について学んできたが、その教えが覆るほどの驚愕な知識と、エミリアの魔法の才能を見せられたら、狭い社会の中の知識で満足していた自分がなんだかもどかしくなった。
昼食を済ませ、昼を過ぎるとファフニールが起きて来る。基本はエミリア達と暮らしているが、気分に寄っては洞窟で過ごすこともある。その気分というのは、きまってエミリアと「晩酌の酒の量」で喧嘩した時だった。
最強種であり、災害でもある邪竜を酒で飼い慣らしているのも驚いたが、喧嘩を理由に家を出ていくなど、可愛いところもあるのだと、喧嘩する様子をご飯を食べながら慣れた様子で乾いた笑みを浮かべたカールがオブシウスには印象的だった。
見た感じ、ただの人間なのに、凄い魔女と有名な邪竜に挟まれて生活をするカールはきっと只者ではないのだと、オブシウスは改めてカールの認識を改めた。
――しまいには僕達に傷をつけずに家を消し飛ばす魔法をたかが小さな喧嘩で放つんだもん。エミリア様が魔法で一瞬で修復しちゃうとしても、あんな激しい喧嘩をする2人に挟まれて生活するカールさんは凄いや。
…………。
「皆、無事か」
元カーバル皇国、廃鉱山地帯にある廃村の建物の大部屋の一室にて。
黒いローブで包まれた老若男女、およそ100人が3人の男女を先頭に整列をしていた。
ある者は頭部に兎の耳が。ある者は発達した犬歯が。ある者は獣の手足を持っていた。
これらは魔族――ある国を根城としている人攫い集団に村を襲われた魔族の集落の生き残りだ。
この生き残りの集団の長――褐色の肌に、尖った耳を持つ男がローブのフードを脱いだ。
エルフの男の問いに、先頭で整列をしていた兎耳の女性が悲嘆を含ませて話した。
「1000人いた村民も、助け出せたのはこれで全部です。……長、夫人とご子息は」
「妻は村を守るために死んだ。――オブシウスの方は子供たちと共に逃がした。だから、きっと生きている。物心ついた時から機転も効いて、賢い子だったからな。最悪、1人でもきっと生きて――すまない。皆、家族を亡くしているのに」
「いいえ、子の身を案じ、希望を持つのは親心です。長は先頭に立って私たちを守ってくれたし、力の限りを尽くしてくれた。私たちはそれを否定しない」
兎耳の女の話に割って入る、鳥の手足を持った男は沈んでいるダークエルフの男を言葉でフォローした。
「まさか、認識阻害の結界を破られて人間に村に侵入されるなんて誰が思うでしょう。皆、油断していたのです。あなた1人の責任ではありません。慢心していた村の大人全員の責任だ。だから、今は生き残った同胞を1人でも救出することに専念しましょう」
「――そうだな。一刻でも早く救い出そう。それまでは――どうか、無事でいてくれ」
村の長は魔法を使い、姿を消すと、会合は終了し、部屋に集まっていた魔族は各々が散り散りに解散した。
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