6 / 84
6話 大賢者であるわたしは、イッチョやってみる
しおりを挟む
うーん、私は考え込む。
王子を苦しめている呪い。
これは『魔界の荊棘』という魔族が使う呪いだ。
話を聞く限り、この町の近くにある洞窟の探検で呪われたということになるけど、こんな王都に近い洞窟で魔族の呪い?
私が知る限り、魔族の大侵攻の時でさえここまで攻め込まれたことは無いはずだけど。
原因はともかく魔族の呪いで苦しんでいるのは事実だし、どうにかしなければならない。
それにしてもAランクの冒険者達と神官がそろって呪いに気づかないとはどういう事?
まさか…さすがにそんな事は無いよね。
ある考えが浮かび、即座に否定。
さて、どう説明したものかな。
王子に呪いがかけられているのを説明するのは容易い。
呪いを可視化してあげれば良い。
しかし、問題はその後だ。
呪いと判れば、いま祈っている病滅の祈りから解呪の祈りへと変えるだろう。
それがマズイ。
この呪いは解呪しようとすると抵抗し、解呪しようとするものに襲いかかる。
そして、呪いにかかった者の内部に絡まろうとするのだ。
難しい顔をしている私を見てか、王女リリエナスタが話しかけてくる。
「どうしたの?難しい顔をして」
とりあえず、説明するしかないかな。
「大事なことを言うので、しっかり聞いて。王子はこのままではひじょーに危険だよ」
「それはわかっているわ。だから」
「いーえ、わかってない。王子は病気じゃ無いよ」
私は王女の言葉を遮った。
時間がもったいない。
「え? それでは一体…」
「いいから。まずは祈りを止めさせて。続けても無駄だからね」
私の有無も言わせない口調に王女はムッとしつつも、2人に祈りを止めさせた。
そこで神官、いえ院長は私に気付く。
「ミリー! どうして此処に?」
「いんちょー後で話す」
「あの、どうして止めさせるのです?」
今度はヒーラーさんが話しかけてきた。
あーもう!
「見てほしいものがあるからかな。あと、見た後間違っても何の祈りも捧げないこと。いい?」
「え、ええ。わかったわ」
私の口調に気圧されたのか素直に頷いてくれた。
さて、と。
私は王子の側に行って手をかざす。
可視化魔法『あなたの知らない世界』を発動。
私の手から指向性の光が発せられ、スポットライトのように王子の体の一部を照らす。
すると照らされた場所は、巻き付く荊棘が見えるようになった。
「「「これは!」」」
驚く王女、ヒーラー、院長。
光をずらしていき王子の体を一通り照らす。
今、3人には王子の体に巻き付き、蠢く無数の荊棘が見えている。
「フェル!今助けるわ!」
荊棘に驚き、リリエナスタ王女が剣を抜く。
荊棘を斬ろうとしているのだろう。
「止めて!」
慌てて止めさせる。
「何故止めるの!?」
「王女、貴方は弟君をなんとしても助けたい。だから私を大枚叩いて雇った。違う?」
「そうよ!そしてあの荊棘が原因なら荊棘を取り除けば!」
「そう、でもどうやって?あれは可視化しているだけで実体はないよ?」
「それは…」
「皆聞いて、あれは解呪しようとすると、暴れるたちの悪い呪いよ。だから解呪の祈りはしないで」
「そんな!」
言葉を無くすリリエナスタ王女。
「ミリー、何故そんな事を知っているのだ?」
あー、この人に後で説明するのメンドーだな。
よし!
誘眠魔法『いつ寝るの?今でしょ!』を院長にぶつけた。
果たしてフニャフニャと院長はその間にヘタリ込み、そのまま寝てしまった。
「だいぶお疲れだったみたいね」
と、言ってフォローしてみる。
不自然極まりないが、皆、今はそれどころではない。
いんちょーゴメンネ。
説明するのがメンドイのよ。
私が現れてからことは夢だからねー。
この魔法は目覚めスッキリ爽やかで、疲れも抜けきるから勘弁してねー。
「貴女はこの呪いに詳しいみたいだけど、対処方法も知っているの?」
ヒーラーさんが話しかけてきた。
「もちのロンよ。ただし、お見せ出来ないから二人とも部屋から出ていてくれないかな?」
3人まとめて眠らせても良かったんだけど、そうすると報酬貰えなくなっちゃうよね。
「な!フェルに何をするつもり!」
王女は私に斬りかかる勢いだ。
「私を斬れば、もう王子を助けられる人はいないよ。呪いに気付きもしないAランク冒険者と神官。対処方法も知らない。あなた達の手におえると思うのなら、どうぞお好きに」
「ぐ!」
痛いところを突かれ先程の殺気は無くなったけど、納得はしていないみたいね。
数拍待ってみたが状況は変わらない。
「わかった。依頼は失敗ね。力になれなくてごめんなさい」
私は踵を返し、部屋の出口へと向かう。
「待って!お願い!」
呼び止めたのはヒーラーさんだ。
「私は部屋の外にいるから、それで勘弁してもらえないかしら?リリーに見届けさせて貰えない?でないとリリーは一生後悔します」
今から行う魔術は大凡ヒーラーの使う術じゃない。
私が魔道士とバレちゃうじゃない。
しかし、報酬は100万G……うーん。
「王女、私が行うことに邪魔をしない。あと、今から使う術の事を絶対に口外しない。約束できる?」
「ええ、約束します。先程は取り乱してごめんなさい」
「んー気にしてないから。あと、そこでお休み中の、いんちょーをベッドで寝かせてあげて。今から使う術は集中しないとなので、そのハゲ頭は気が散るのよ」
「わかったわ」
ヒーラーさんは、いんちょーを担ぐと部屋を出ていった。
見た目は華奢なのに力持ちだね。
さすがはAランク。
さて、部屋に残ったのは私と王女。
「始めるけど、さっきの約束破ったら神罰下るから気をつけてね」
一応ヒーラー設定を活かしてみる。
「絶対に口外しないわ」
「でわ、いざ!」
私は鼻歌交じりで右手を前に突き出す。
手の先には、光るフライパンくらいの大きさの魔法陣が出現する。
最初は一個。
そして次々に同様の魔法陣があちらに出現し、やがて王子を包む様に球状の魔法陣になっていく。
「イッツァ、ショーーーターーイム!」
私の声を合図に魔法陣から無数の光の弾が王子に向かって高速に打ち出される。
「な!」
「大丈夫!実体あるものは壊さないから」
打ち出された光の玉は荊棘を切り裂く。
無数かつ高速に打ち出される弾は、荊棘の反撃を許さない。
容赦なく荊棘を粉々にしていく。
王子の内部に巻き付く余裕もない。
全方位から打ち出される弾は王子の体は素通りして来る。
全方位から放たれる光のシャワーのようだ!
「ヒャッハー!」
私は超ごきげんになった。
古来、呪いを解く方法は2つとされていた。
解呪と消呪、似たようものだが過程が違う。
解呪は呪いの術式を読み解き、効果を無くす様に書き換えること。
消呪は呪いの術式を読み解くことはせず、魔力をや聖気をぶつけ、呪いのエネルギー切れを起こさせる、
まさに呪いを消す方法だ。
この2つでは今回の呪いは外せない。
どちらも時間がかかるからだ。
そこで、前世の私は3つ目の方法を編み出した。
それが壊呪である。
これは力技で 呪いの術式、呪いの反撃、呪いのエネルギーごと破壊してしまう方法。
これぞ私が生み出した大魔法なのだ。
壊呪魔法『激落ちくんプレミアム』
ひつこい呪いも綺麗サッパリ落ちる優れ物。
きゃー素敵!
「聖紋の聖女様・・・」
鼻歌交じりに気分よく呪いを粉砕していた私は、この光景を見ていた王女の呟きを気にもとめなかった。
王子を苦しめている呪い。
これは『魔界の荊棘』という魔族が使う呪いだ。
話を聞く限り、この町の近くにある洞窟の探検で呪われたということになるけど、こんな王都に近い洞窟で魔族の呪い?
私が知る限り、魔族の大侵攻の時でさえここまで攻め込まれたことは無いはずだけど。
原因はともかく魔族の呪いで苦しんでいるのは事実だし、どうにかしなければならない。
それにしてもAランクの冒険者達と神官がそろって呪いに気づかないとはどういう事?
まさか…さすがにそんな事は無いよね。
ある考えが浮かび、即座に否定。
さて、どう説明したものかな。
王子に呪いがかけられているのを説明するのは容易い。
呪いを可視化してあげれば良い。
しかし、問題はその後だ。
呪いと判れば、いま祈っている病滅の祈りから解呪の祈りへと変えるだろう。
それがマズイ。
この呪いは解呪しようとすると抵抗し、解呪しようとするものに襲いかかる。
そして、呪いにかかった者の内部に絡まろうとするのだ。
難しい顔をしている私を見てか、王女リリエナスタが話しかけてくる。
「どうしたの?難しい顔をして」
とりあえず、説明するしかないかな。
「大事なことを言うので、しっかり聞いて。王子はこのままではひじょーに危険だよ」
「それはわかっているわ。だから」
「いーえ、わかってない。王子は病気じゃ無いよ」
私は王女の言葉を遮った。
時間がもったいない。
「え? それでは一体…」
「いいから。まずは祈りを止めさせて。続けても無駄だからね」
私の有無も言わせない口調に王女はムッとしつつも、2人に祈りを止めさせた。
そこで神官、いえ院長は私に気付く。
「ミリー! どうして此処に?」
「いんちょー後で話す」
「あの、どうして止めさせるのです?」
今度はヒーラーさんが話しかけてきた。
あーもう!
「見てほしいものがあるからかな。あと、見た後間違っても何の祈りも捧げないこと。いい?」
「え、ええ。わかったわ」
私の口調に気圧されたのか素直に頷いてくれた。
さて、と。
私は王子の側に行って手をかざす。
可視化魔法『あなたの知らない世界』を発動。
私の手から指向性の光が発せられ、スポットライトのように王子の体の一部を照らす。
すると照らされた場所は、巻き付く荊棘が見えるようになった。
「「「これは!」」」
驚く王女、ヒーラー、院長。
光をずらしていき王子の体を一通り照らす。
今、3人には王子の体に巻き付き、蠢く無数の荊棘が見えている。
「フェル!今助けるわ!」
荊棘に驚き、リリエナスタ王女が剣を抜く。
荊棘を斬ろうとしているのだろう。
「止めて!」
慌てて止めさせる。
「何故止めるの!?」
「王女、貴方は弟君をなんとしても助けたい。だから私を大枚叩いて雇った。違う?」
「そうよ!そしてあの荊棘が原因なら荊棘を取り除けば!」
「そう、でもどうやって?あれは可視化しているだけで実体はないよ?」
「それは…」
「皆聞いて、あれは解呪しようとすると、暴れるたちの悪い呪いよ。だから解呪の祈りはしないで」
「そんな!」
言葉を無くすリリエナスタ王女。
「ミリー、何故そんな事を知っているのだ?」
あー、この人に後で説明するのメンドーだな。
よし!
誘眠魔法『いつ寝るの?今でしょ!』を院長にぶつけた。
果たしてフニャフニャと院長はその間にヘタリ込み、そのまま寝てしまった。
「だいぶお疲れだったみたいね」
と、言ってフォローしてみる。
不自然極まりないが、皆、今はそれどころではない。
いんちょーゴメンネ。
説明するのがメンドイのよ。
私が現れてからことは夢だからねー。
この魔法は目覚めスッキリ爽やかで、疲れも抜けきるから勘弁してねー。
「貴女はこの呪いに詳しいみたいだけど、対処方法も知っているの?」
ヒーラーさんが話しかけてきた。
「もちのロンよ。ただし、お見せ出来ないから二人とも部屋から出ていてくれないかな?」
3人まとめて眠らせても良かったんだけど、そうすると報酬貰えなくなっちゃうよね。
「な!フェルに何をするつもり!」
王女は私に斬りかかる勢いだ。
「私を斬れば、もう王子を助けられる人はいないよ。呪いに気付きもしないAランク冒険者と神官。対処方法も知らない。あなた達の手におえると思うのなら、どうぞお好きに」
「ぐ!」
痛いところを突かれ先程の殺気は無くなったけど、納得はしていないみたいね。
数拍待ってみたが状況は変わらない。
「わかった。依頼は失敗ね。力になれなくてごめんなさい」
私は踵を返し、部屋の出口へと向かう。
「待って!お願い!」
呼び止めたのはヒーラーさんだ。
「私は部屋の外にいるから、それで勘弁してもらえないかしら?リリーに見届けさせて貰えない?でないとリリーは一生後悔します」
今から行う魔術は大凡ヒーラーの使う術じゃない。
私が魔道士とバレちゃうじゃない。
しかし、報酬は100万G……うーん。
「王女、私が行うことに邪魔をしない。あと、今から使う術の事を絶対に口外しない。約束できる?」
「ええ、約束します。先程は取り乱してごめんなさい」
「んー気にしてないから。あと、そこでお休み中の、いんちょーをベッドで寝かせてあげて。今から使う術は集中しないとなので、そのハゲ頭は気が散るのよ」
「わかったわ」
ヒーラーさんは、いんちょーを担ぐと部屋を出ていった。
見た目は華奢なのに力持ちだね。
さすがはAランク。
さて、部屋に残ったのは私と王女。
「始めるけど、さっきの約束破ったら神罰下るから気をつけてね」
一応ヒーラー設定を活かしてみる。
「絶対に口外しないわ」
「でわ、いざ!」
私は鼻歌交じりで右手を前に突き出す。
手の先には、光るフライパンくらいの大きさの魔法陣が出現する。
最初は一個。
そして次々に同様の魔法陣があちらに出現し、やがて王子を包む様に球状の魔法陣になっていく。
「イッツァ、ショーーーターーイム!」
私の声を合図に魔法陣から無数の光の弾が王子に向かって高速に打ち出される。
「な!」
「大丈夫!実体あるものは壊さないから」
打ち出された光の玉は荊棘を切り裂く。
無数かつ高速に打ち出される弾は、荊棘の反撃を許さない。
容赦なく荊棘を粉々にしていく。
王子の内部に巻き付く余裕もない。
全方位から打ち出される弾は王子の体は素通りして来る。
全方位から放たれる光のシャワーのようだ!
「ヒャッハー!」
私は超ごきげんになった。
古来、呪いを解く方法は2つとされていた。
解呪と消呪、似たようものだが過程が違う。
解呪は呪いの術式を読み解き、効果を無くす様に書き換えること。
消呪は呪いの術式を読み解くことはせず、魔力をや聖気をぶつけ、呪いのエネルギー切れを起こさせる、
まさに呪いを消す方法だ。
この2つでは今回の呪いは外せない。
どちらも時間がかかるからだ。
そこで、前世の私は3つ目の方法を編み出した。
それが壊呪である。
これは力技で 呪いの術式、呪いの反撃、呪いのエネルギーごと破壊してしまう方法。
これぞ私が生み出した大魔法なのだ。
壊呪魔法『激落ちくんプレミアム』
ひつこい呪いも綺麗サッパリ落ちる優れ物。
きゃー素敵!
「聖紋の聖女様・・・」
鼻歌交じりに気分よく呪いを粉砕していた私は、この光景を見ていた王女の呟きを気にもとめなかった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる