大聖女様 世を謀る!

丁太郎。

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44話 大賢者である私はドワーフと心温まり過ぎる交流をする

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 どわーふぅ?
 あの頑固おやじ妖精のドワーフ?
 このチビジジイが?
 ドワーフは私と同じで身長140cmくらい。
 モジャモジャヒゲの種族だ。

 この爺さんの身長も140cmくらいだけど、ヒゲはストレートで整ってる。
(作者解説:三国志の関羽の様な感じ)
 身長はともかくヒゲは合致しない。

「嘘っぽ!どう見ても樽っ腹チビ爺さんじゃん」

「小娘め!儂を愚弄する気か!」

「じゃぁさ、ドワーフである証拠をみせてよ」

「その喧嘩買ったぞ。飲み比べじゃ。ドワーフの酒の強さを見せてやるわ!」

 ドワーフ=酒。
 まぁそうなんだけどさ。
 ドワーフと言えばもう一つあるでしょうに。

「私を酔わせて何をする気?」

「タルビア!貴様!!まさか我らの女神に不埒なことをする気か!」

 変態が突如ヒートアップしたけど、変態の助けなど要りません。

「するわけ無いじゃろが!こんなお子様に」

 カチコーーーーーン!

 頭の中で変な音が鳴る。
 私の中でスイッチが押されてしまった。
 こうなったら私にも制御できない。
 今の私は冷酷非道『ミリーシアタⅡ』というべき存在になってしまったのです。

「さて、樽チビジジイさん。そこまで何度もお子様と言ってくれたからには地獄を見る覚悟があると見てよろしいかしら?」

「グレートマム?」

 変態が私の様子が変わった事に驚いているようですね。
 ですが、そんな些細な事はどうでもよろしい。

「ほう!面白い!地獄とやらを見せてくれんかの」

 挑発してくるジジイ。
 よほど地獄を見たいのですね。
 どちらにしろもう地獄行きは決定ですけどね。

「自ら望むとは。ふふふ」

「いいから、見せてみい!」

 凄んでいるけど、いつまでその威勢保っていられるかしらね。

「では」

 私は樽チビジジイを指差す。
 ジジイの口に魔法陣が現れ、消える。

「なんじゃ この光は!?」

「さて、これから地獄を見てもらいましょうか。あなたは今後一切お酒が飲めません。一生ね」

「な!」

 絶句するジジイ30歳。
 私がこの哀れな男にかけた魔法は、この男にとって地獄の魔法。

 禁酒魔法『脱アル中宣言~飲まないから呑まれません~』

 私が解除するまで酒を飲むことが出来なくなる魔法。
 元々アル中治療の為の魔法なのだけど、ドワーフというなら、さぞ地獄でしょうね。

「嘘だと思うなら、試してご覧なさい。聖なる光の壁があなたの体内にお酒が入るのを防ぐから。気化アルコールも含め100%ね」

「そんな馬鹿な事が。そんな魔法聞いたこともない」

 ショックの為か、明らかにトーンダウンしていますね。

「魔法?うふふ。あなた無知ね」

 涼しげに口元を隠して笑う私。

「う、美しい!」

 変態が跪き、私の美しさを崇めているけど、そういう趣味は無いので止めてほしいわね。

「魔法じゃ無いなら何じゃ!」

「タルビア。今のは神の奇跡だ。奇跡が起きた以上、神が戒めたのだ。今までの暴言は万死に値する」

「神の奇跡じゃと…」

 変態が魔法陣を見るのは初めてのはず。
 私を神格化してるから素直に受け入れてくれてるみたいね。(嬉しくないけど)

「説明してくれて有難う。でも死は望みません。禁酒だけで十分です」

「はは!有難き幸せ」

「おおお!」

 樽チビジジィは何処かに走り去りました。
 おそらく、酒を飲みにいったのでしょう。
 飲めませんけどね。

「グレートマム、いえミリー様とお呼びしても宜しいでしょうか?」

 変態が跪いたまま、恐る恐る聞いてきました。
 正直、呼んでほしくないし、関わりたく無いですが、嫌でも向こうからやって来るでしょう。
 一応この男は冒険者業界では中々有名人のよう。
 何かに役立つかも知れません。
 仕方がないですね。

「先ずはお立ち下さい。名前の方は許可しましょう。グレートマムよりはミリーと呼んで貰ったほうが助かります」

「! 有難うございます!感激で言葉が…」

 立ち上がった変態は、感激のあまりか言葉を詰まらせ、熱い涙を流し出す。
 何が彼をそこまでさせるのか?
 そこまで心酔されるようなことは、してない筈ですけどね。

「それよりもブレイドさん。今度機会があればで構いませんが、私のパーティーメンバーにも目をかけてくれませんか?」

 Aランクの冒険者なら、リッキーの剣術指南にいいかもしれませんね。
 ただし変態道には引き込んでほしくないですが。

「お安いご用です。ミリー様」

「有難うございます。では宜しくお願いしますね」

 私の言葉に変態は顔を赤くしました。
 発熱でもしたのかしらね。

「ミリー様 名残惜しいですが、依頼のため人と会う約束をしておりますのでこれで失礼致します」

 そう言って、変態は本当に名残惜しそうに何度も振り返りながら去って行きました。
 早く行ってくれませんかね。

「ミリーお待たせ。待たせちゃったね」

 ギルドから出てきたリッキーの言葉に私のスイッチが解除された。

「大丈夫だよー。何かいい依頼あった?」

「いや、受けれるものはあるけど、いつもと変わらなくて。折角来たんだしダンジョンと思ったんだけど、ダンジョン関係はランク制限で受けれるものは無かったよ」

「そっかー。残念だね」

「それでもいい情報貰ったぜ」

 ムッツが得意げに会話に入ってきた。

「いい情報って?」

「今ダンジョンではモンスターの湧きが少なくて、下層まで行きやすいとのことらしいですよ」

「レトリー、美味しい所を持ってくなよー」

 ん?ダンジョンでモンスターの湧きが少なくなる?
 何処かで?
 何だっただろう?
 うーん思い出せないな。

「ミリー?」

「大丈夫なんでも無いよ。リッキーありがと」

 思い出せないなら大した事じゃないかな。
 そもそもダンジョンに関しては専門外だし。

「それで、依頼は受けて無いけどジっちゃんに時間もらって明日ダンジョンに入ろうかと思うんだ」

 リッキーは目を輝かせて言ったのだった。
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