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125 支援の真価
しおりを挟むおろし金のお陰で≪輝きの大空洞≫の入り口には20分程で着いた。
全速力ならもっと早かっただろうけど、モグラとゴロウに配慮した結果だ。
一回ゴロウが落ちてタマに回収されてたしな。
流石に死ぬかと思ったそうだが、今日これで二回目じゃないか?
この人は、色々気を付けておいた方が良いかもしれない。
ダンジョンへ入る前に、ドラゴンモードのおろし金に見張りを頼んで、少し早めの昼食を摂った。
保存食みたいなやつじゃなくても、ストレージに仕舞っておいていつでも取り出せるのは、この世界のいいところだ。
何も考えずに屋台で買ったものを、出来立てで食べられるわけだからな。
遠出している割にはいつも通りの食事を終えて、ダンジョンへと突入していく。
「このダンジョンは難易度的には結構高いんだよね? 引き締めていかないと」
「はい、お話した通り、二層からは危険だと思います」
≪輝きの大空洞≫は全部で三層のダンジョンだ。
全体的に宝石とか石みたいなモンスターが生息している。
一層のモンスターはそんなに強くない。
二層は色とりどりの≪ジュエルマン≫という、宝石を組み上げて作った人形のようなモンスターがほとんどを占めている。
色によって属性を持っていて、それが入り乱れているせいで範囲攻撃でまとめて倒すにしても、属性攻撃だと相性で撃ち漏らしが出てしまう。
囲まれる前に一体ずつ素早く倒すか、複数の属性を用意しておく必要がある。
三層は触手がいっぱいいるのと、一部のジュエルマンが出現する。
触手は≪古代異界烏賊の足≫という名前だ。
HPが20万もあって、結晶を使った遠距離攻撃もしてくる。たまに光ったりしてるけど特に意味は無さそうだし、攻撃が当たっても俺達は全然痛くない。
だけど多分、HPからしてモグラ達が攻撃を受けると危険な強さだと思う。
あと注意なのが、MVPモンスターである≪古代異界烏賊≫の存在だ。
こいつも≪将軍クワガタ≫のように固定湧きっぽいけど、もしかしたらそうじゃないかもしれない。
不意に出会ったら危険だからタマにはしっかり注意しておいてもらう。
もう倒し方も分かってるし、モグラやゴロウが不意打ちを受けさえしなければ大丈夫だ。
というようなことを、モグラとゴロウにはざっくりと説明してある。
口での説明も限界があるから、後は実際に体感してもらって情報と擦りあわせてもらうのが良いだろう。
まずは第一層。
モグラは二本の剣でモンスターを切り捨てている。
ゴロウの方は、こっちも二刀流だ。
片方は以前作っていたククリ刀。
左手にはなんだろう、名前は分からないがかっこいい剣を使っている。
にゃーこはゴロウの頭の上で大人しくしている。
戦闘には参加しない感じなのかな?
一先ず俺とミルキーは様子を見ている。ここのモンスターに慣れてもらう為だ。
一層はただ通るだけだから、すぐ通り過ぎるしな。
タマはカナヘビモードのおろし金の背に乗って、おろし金に餌をやっている。
数が増えてきたら時々おろし金が食べて、数を減らしている感じだ。
余裕がありそうだけど、囲まれると危険なのは間違いないからな。
「うん、ここならまだ大丈夫だね。どんどん行こう」
「よゆーよゆー。宝石はまだか! 宝石を出せ!」
なんてノリノリなようだから真っ直ぐ次のエリアへ向かう。
≪銀幽霊≫が銀鉱石をポロリと落としてゴロウが喜んだりと、楽しく順調に二層へ到着した。
ここからは属性が入り乱れる上に、時々触手も混じる。
多分二層で狩るのがメインになるだろうけど、触手とどれくらい戦えるかも試しておきたい。
≪古代異界烏賊≫に突撃してみるのも面白そうだし。
おろし金は一旦コインに戻しておく。
後はそうだな、新しいスキルを二人にかけておかないと。
「誇りの献身」
モグラに向けてスキルを発動すると、二人の間に光で出来た紐のようなものが現れた。
これが繋がっている間はモグラの受けたダメージを俺が肩代わりすることが出来る。
もう一度ゴロウに向けて発動しておく。
これで紐が二本だ。
射程距離はレベル1で10m。これ以上離れると効果が消えてしまう。
しかし≪五体解放≫の効果で100倍されて1km。普通に戦闘してる限りは大丈夫だろう。
「おっ、それって確か聖騎士のスキルだよね。ナガマサさんの職業って色んな職業のスキルが使える感じなんだね」
「みたいです」
「助かるなー。なるべくダメージがいかないように頑張るよ」
「努力はしますぜ」
少し歩くとジュエルマン達が寄ってくる。
とりあえず二人で一体ずつ相手してもらって、他は俺達で受け持とう。
様子見だ様子見。
「結構固い、けどなんとかいけそう。あー、属性攻撃と魔法うっとうしい! 属性武器でさくっと倒したい!」
「にゃーこアタック!」
モグラは愚痴を溢しながらも一体一体確実に砕いて行っている。
ゴロウはにゃーこをぶつけていた。そういう戦い方なのか。
ジュエルマンに飛び掛かった後のにゃーこは、ヒットアンドアウェイで翻弄している。
普段の毛玉状態からは想像出来ないくらい軽やかな動きだ。
「それじゃあ支援かけます。多分これでかなり楽になると思いますよ」
「おおっ!? なにこれ、ダメージが跳ねあがったんだけど」
「楽ちんですな」
二人と一匹に、≪速度上昇≫と≪筋力上昇≫をセットでかけた。
これでAgiとStrが1000ずつ上昇したはずだ。
それだけあれば、攻撃も回避も余裕だろう。
魔法は気合いで避けてくれ。
ダメージはこっちで受け持つから避けられなくてもいいけど。
「いたたたたたた。……痛いけどダメージは無い不思議」
ゴロウが火の矢が降り注ぐ魔法を連続でくらって、不思議そうに呟いた。
ダメージはなくても痛みはあるのか。
逆に、俺のHPは僅かに減っているが痛みは無かった。
ゴロウが受けたダメ-ジがそのまま俺の方に来るから、HPが300×7の2100くらい減った。
ゴロウのHPだと数回くらったら死ぬんじゃないかな。
モグラが言うには、属性魔法を軽減するのは相性の良い属性鎧を着るのが一番らしい。
その代わり、その属性鎧の弱点を食らうとダメージが増えるから、ここみたいに属性が入り乱れる場所は属性無しの鎧がいいとも言っていた。
支援をかけた後は余裕だったから、そのまま俺達も適度に混ざった。
相手する属性を分担しようかという話もあったけど、無属性武器でも余裕そうだからそのまま好きに倒すことになった。
俺達が何も考えずに目の前の敵を倒すと一瞬で溶けるから、基本的にモグラとゴロウが戦ってるモンスターは手出しをしない。
支援のおかげでそんなに時間も掛からないしな。
しばらくはここで宝石集めだ。
3
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