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22 戦力強化の為に奇行に走る
しおりを挟むログアウトした後は、いつものように仮眠&買い出し、そして晩飯だ。
元々引きこもり気質だった俺は体力がない。
だから、途中に仮眠を挟まないと十全に活動することは難しい。
VRゲームをしてたって、それなりに体力は消耗されるしな。
そんでもってシャワーも浴びて、準備完了。
いつでも寝られる体勢にしておけば、ゲーム後の余韻を楽しみながら寝に入れる。
完璧だ。
今の時間は午後九時を過ぎたところ。
どこまでやるかは分からないが、日付が変わる頃には一旦休憩を挟みたいな。
さて、準備完了だ。
いざ行かん、ファンタジー世界!
「ダイブスタート!」
ノリノリでキーワードを口にするくらい、楽しくって仕方がない。
▽
「はー、相変わらず人が多いな」
俺が出現したのは、噴水広場。
流石に日曜の夜だ。視界では色んな種族のプレイヤー達がひしめきあっている。
俺以外にも獣耳のついた人は結構いるし、明らかな人外もそれなりにいる。
スケルトンっぽいのもいるけど、あれもプレイヤー。
……あんなのもいるのか。
ランダムであれを引いたら、どうなってただろうか。
≪妖狐≫で良かったよ。
ピロン。
お、メッセージだ。
『こんばんは。今日これからお暇ですか?』
差出人はレン。
昨日はログインしてないんだよな。
今日も昼間はログインしてない感じだったし、夜からプレイしてたのかな。
とりあえず返事を出そう。
それから少しやりとりをして、一緒に狩りに行くことになった。
久しぶりのレンとのペア狩りだ。
知り合いが急に増えて、しかもみんなキャラが濃いものだから、かなり久々に感じてしまう。
実際は数日しか経ってないんだけど。
待ち合わせはここ、噴水広場だ。
動かずに待っていると五分程でレンがやってきた。
「こんばんは。ごめん、待たせたね」
「いえ、そんなに時間も経ってないですよ。それに、レンさんの方から来てくれたんですから気にしないでください」
「うん、ありがとう」
レンくん、どことなく王子様っぽい。
エルフの長い金髪といいその顔立ちといい、クラスが≪プリンス≫だったりしない?
しないか。
確か、≪破壊者≫だったかな。
レンの高貴な見た目とはちょっとイメージ違うのはなんでだろう。
「あれ、服変えた?」
「分かりますか? 新しい装備を手に入れたんですよ」
「わ、可愛いなぁ」
気付いてくれたのがなんとなく嬉しくて、くるっと回ったりしてしまう。
ワンピースからドレスになって、ボリュームがかなりアップした。
色合いは似てるが、形は全然違う。
そんな明らかな変化でも、指摘してもらえると嬉しいものだな。
ラブコメなんかのヒロイン達の気持ちがちょっと分かってしまった。
そんな変化を気付かなかった鬼コンビは、きっと脳まで筋肉が詰まってるんだろう。
しかし、ヒロインしてるのもちょっと恥ずかしくなってきた。
話題を変えてしまおう。
「ありがとうございます。それじゃあ早速、狩りに行きましょうか」
「うん。行こうか」
俺達二人で行く場所と言えば決まってる。
≪東の森≫だ。
ここは魔窟ではあるが、一体ずつなら二人の連携で仕留められるし、経験値も美味しい。
「それじゃあ前回と同じように行きましょう」
「了解」
フォーメーションは、二人横並び。
これは、敵を発見すると同時に俺が箱で閉じ込め、レンが詠唱を開始する。
その連携を流れるように行う為だ。
最初の頃は、連携が乱れてレンの詠唱開始が遅れ、箱が先に壊れることが多かった。
時間が空いたとはいえ、今では全く問題ない。
箱の耐久値もかなり上がってる筈だしな。
今も、危なげなくあっさりと熊を圧殺した。
あんな凶悪なビジュアルのモンスターを一撃なんて、とんでもない威力だ。
「姫ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」
「どうしました?」
「今度から、閉じ込めたモンスターのギリギリまで寄ってから魔法を使わせてほしいんだけど、良い?」
「耐久力は足りてると思うんで大丈夫だと思いますけど、理由を聞いても良いですか?」
いかに安全とは言っても、ワイルドさ全開な凶悪な形相で壁を叩きまくるモンスターを至近距離で眺めるとか、チキンな俺には出来ない。
無理無理無理。
めっちゃ無理。
なんでそんなことを言い出したのか全く分からないし、不思議でしかない。
「このゲームは、行動で≪称号≫がもらえて、それでスキルが増えていくでしょ?」
「そうですね」
「だから、色々変わったことをしてみようかと思って。超至近距離で魔法を使うなんて、普通は危なくて難しいけど、姫ちゃんのスキルがあれば安全に出来るし」
「なるほど。それはいいアイデアですね」
レンの目的は、新たな≪称号≫と≪スキル≫の獲得だった。
なるほど、とても納得した。
流石は男の子、レンも藻屑兄弟との決戦に備えてやる気十分なようだ。
至近距離での魔法の使用。
確かに、称号の取得条件としてとてもありそうだ。
他にも変なことをすれば新しいスキルを得られる可能性がある。
「それじゃあその作戦で行きましょう」
「ありがとう」
そこから休憩を挟みつつ一時間程、狩りを続けた。
複数に襲われて壊滅したりもしたが、やはり楽しかった。
森の中央で遭遇したトラストルにはお小遣いを沢山もらったし、ホクホクだ。
狩りを終えた俺達は、街へと戻ってきた。
その足で反省会と分け前の分配を兼ねて、酒場風喫茶店へ。
ドロップアイテム等はさくっと分配して、レベルアップなんかの報告もお互いにし合う。
そこまで終われば、雑談に突入した。
狩りがメインコンテンツのゲームとはいえ、それだけが楽しみじゃない。
こうやってのんびり話すのも、VRMMOの楽しみだろう。
だって俺はこの一瞬一瞬ですら、滅茶苦茶楽しいもの。
「そういえば、お友達が増えたんですよ」
「へー、どんな人なの?」
サンゾウを筆頭に、リリィ、鬼コンビのことを話す。
どいつもこいつも楽しい奴らだ。一部やべーのもいるけど。
「楽しそうでいいなぁ。僕は兄さんに付き合ってたせいで、昨日はログイン出来なかったから」
「レンさんにも紹介しますよ。その内連絡がくると思いますし」
「是非お願いするよ。僕もまだ、姫ちゃんしか友達いなくて」
「お任せください」
『リリィさんがログインしました』
丁度いいタイミングだ。
他にサンゾウや鬼コンビは、狩りの最中にログインしていたから、これで俺の知り合いは全員揃ったことになる。
早速全員にメッセージを送ろう。
紹介したい人がいるので、お暇だったらこのお店まで来ませんか? 狩りにも行きましょう。っと。
「今、皆に連絡しました」
「楽しみだなぁ」
まだ熱い紅茶を口に含む。
ああ、美味しい。
皆が揃ったらどこへ行こうか。
そもそも、レンを見てどんな反応をするだろうか。
皆なら、すぐに仲良くなる筈だ。
ああ、楽しみだ。
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