不遇ステータス《魅力》に極降りした結果、《姫》になりました

俊郎

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閑話 管理AIナインちゃん

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「ふふーん、ふふふふーん。これはこうで、ここは、こう。これはどうしましょうかねー!」

 とある電脳空間にて、一人の少女が楽しそうにはしゃいでいた。
 白い髪に白い瞳。
 白いワンピースを着た少女は、AIだ。
 名前はナイン。

 ≪カスタムポジビリティオンライン≫というゲームを管理する役目を与えられた彼女は、バランス調整や、細かいデータの作成等を一手に引き受けている。
 その作業量は膨大であり、人間であれば数十人が数年をかけて行うレベルのものである。

 ナインの役割は、ある程度形作られたデータを元に、補完し、新たなデータを作成することにある。
 ゲームの目玉である≪クラス≫や、武器防具、モンスター等も、どんどん増えていっている。
 
 ゲームがリリースされれば、プレイヤー達の行動を元に、新たなデータを作成する。
 管理AIによるリアルタイムのデータ更新、追加こそが、このゲームの自由度の肝と言えるだろう。 

「お、やってるねー」

「様子見に来た」

「マスター! それにナナコお姉様!」

 そこへやってきたのが一人の男。
 この男こそがゲームの開発者であり、管理AIナインの生みの親である。

 一緒に現れた少女はナインとそっくりな容姿をしている。
 正しくは、ナインがこの少女を元に造られたのだ。
 管理AIバージョンなな、通称ナナコ。
 ナインの姉にあたる存在だ。

「もうすぐリリースだけど、調子はどう? 順調?」

「はい、それはもうバッチリチリチリですよ! ナインちゃんの才能が恐ろしいくらいです!」

「……無作為に千件解析した結果、完成度90%前後の箇所が十三件見つかった」

「うぐ」

「量が多いからね。問題が出なければ適度に力を抜くのは大事だよ。全部完璧にしてたら疲れちゃう」

「マスター……!」

「モグラは甘い」

「ははは、命がかかってるわけでもないし、あまく緩くいこうよ」





「NPCが東の森のモンスターを蹂躙してる」

「あれ、これって割と後の方でアンロックされるイベントじゃなかったっけ」

「あ、あわわわわ、低確率でのイベント無条件クリアが発生しちゃったみたいです!」

 三人が眺める画面では、一人のNPCが大暴れしていた。
 始めたてのプレイヤーでは絶対に倒せない強さのモンスターを倒し、その経験値は一人のプレイヤーへ流れ込んで行く。

「しかもこの流れだと、きっと装備も渡してしまう」

「あー、そういう役割だったね。あれは各クラスの最終装備にあたるから、ここで手に入るのは間違いなくバランスブレイカーだね」

「ひぇ」

「修正する?」

「いや、いいんじゃない? この世界はオレのアイディアをとにかく突っ込みたくて作ったんだから、バランスなんて気にしなくていいよ。放っておいた方が楽しそうだし」

「わかった」

「ナイン、これからも管理頑張ってね」

「任せておいてください!」

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