また、君を好きになるなんて。

永文

文字の大きさ
8 / 8

エピローグ

しおりを挟む
 ある春の日。
 ユイは大学の帰り道、小さな公園の前を通った。
 ふと、昔のスケッチブックを思い出す。
 あの日描いた、名前も知らない誰かと、自分。
 何度も忘れて、それでも“何か”が残っているような、あの絵。
 
 ――もし、また会えたら。
 そのときは、今度こそちゃんと名前を呼ぼう。
 名前を聞いて、名前を呼び返して、
 そして、もう二度と忘れないように。
 
 ユイは空を見上げて、小さくつぶやいた。
 
 「……また、君に恋をしても、いいかな?」
 
 風が吹いた。
 どこか遠くで、彼の声が返ってきたような気がした。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

愛しい口づけを

蒼あかり
恋愛
幼いながらも愛を育み、将来を誓い合ったフローラとサイモン。 いつのまにかフローラに対するあふれ出した想いを止めることができずに、暴走を始めるサイモンの兄ファウエル。 ファウエルや家族に阻まれ、いつしか家族の関係もバラバラに。 フローラとサイモンは二人の未来のために駆け落ちを決意する。 しかし幼い二人は連れ戻さえ、引き離されてしまうことに。 フローラの兄カミーユの計らいで、最後の別れをすることができた。 そこで互いを思いながら、それでも生き続けることを誓い合う。 そんな二人が年月を重ね、再び出会い最後を迎えるまでの人生の愛のものがたり。 ※ 他サイトでも掲載しています。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

Short stories

美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……? 切なくて、泣ける短編です。

愛するということ

緒方宗谷
恋愛
幼馴染みを想う有紀子と陸の物語

よめかわ

ariya
恋愛
遊び人として名高い貴族・夏基は、不祥事の罰として「醜聞の姫」白川殿と政略結婚することに。 初夜、暗い印象しかなかった姫の顔を初めて見た瞬間――大きな黒目がちな瞳、薄桜色の頬、恥ずかしげに俯く仕草に、夏基は衝撃を受ける。 (可愛すぎる……こんな姫が俺の妻!?) 亡き恋人への想いを捨てきれず、夫を拒む白川殿。 それでも夏基は過去の女たちに別れを告げ、花を贈り、文を重ね、誠心誠意尽くして彼女の心を溶かしていく。 儚くて純粋で、泣き顔さえ愛らしい姫を、夏基はもう手放せない―― 平安貴族の切なく甘い、極上よめかわ恋物語。 ※縦読み推奨です。 ※過去に投稿した小説を加筆修正しました。 ※小説家になろう、カクヨム、NOVELDAYにも投稿しています。

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

処理中です...