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三章 天下一暗黒天空武道会
024 勇者ワタルVS格闘家ゴッサム
しおりを挟む「なんだあのおっさん…めちゃくちゃ強いじゃないか!」
リーシャは驚きの声をあげた。
「うん。すごいね!僕も負けてらんないな。」
「本選の対戦相手はあのゴッサムっていう相手だね。大丈夫?」
リーシャは心配そうにワタルの顔を覗きこんだ。
「あぁ、ありがとう。本選に備えて少し休むよ。また本選の前になったら戻って来るね。」
「うん。私は他のブロックも観戦してる。」
勇者ワタルは本選が始まるまで、控室のベッドで横になって休むことにした。
「あのゴッサムっていう人の攻撃……。どうしたものだろうか…。」
勇者ワタルはゴッサムのダブルラリアットに対抗できる技を考えていた。しかし、その答えが出ないまま、本選が開始されるアナウンスが流れた。
「本選に出場する選手の方々は、控室までお越しください。」
「がんばってね、ワタル!他の本選出場者も強そうだけど…まずはあのゴッサムっておじさんを倒さないとね!」
「うん、応援よろしくね!」
リーシャに見送られ、ワタルは選手控室へと入っていった。
「本選第一回戦、勇者ワタルVS格闘家ゴッサム!!!」
会場から大きな歓声が起こり、ワタルとゴッサムはそれぞれリングにあがった。
「あんたと手合わせができるとはね。楽しみで仕方なかったよ。」
ゴッサムは太い腕を組みながら、威風堂々とした雰囲気を纏って現れた。
「こっちは予選であんなすごい技見せられて困惑してますよ…。でも、僕はあなたを超えてみせる!」
ワタルがファイティングポーズをとると、ゴッサムもまた拳を握りしめた。
「ほう、良い目をしている。虎の目だ…。」
「それでは、本選を始めます!」
本選開始のゴングが鳴った。ゴッサムは両腕を開き、ダブルラリアットの構えをとった。
「いきなり来るかっ…!」
ワタルは思わず後ろに跳びのき、ゴッサムから距離を取った。
「はっはっは…。ずいぶんと臆病じゃないか。そんな離れていたら試合にならないぞ。」
余裕の笑みを浮かべるゴッサムに、ワタルは唇を噛みしめた。
「くそっ…僕にも波〇拳とか出せたら…。でも、さすがにそんな技は僕には出せない。」
「あんまり下がるとリングアウトしちまうぜ!」
じりじりと距離を詰められ、ゴッサムはダブルラリアットを繰り出した。
「ぐはっ!」
ゴッサムの振り回される拳がヒットし、ワタルの身体は宙に舞った。
「おいおい…そんなもんか。とんだ期待はずれだったな。」
「ぐっ……、まだだ!」
勇者ワタルの目はまだまだ死んでいない。ワタルのセコンドからは、「足を使え!!」という指示が飛んでいる。
ワタルは師匠直伝の軽いフットワークを使った。
「ふんっ…その蝶のようなフットワーク。やっとやる気になったみたいだな。」
ゴッサムのダブルラリアットを、ワタルは身軽なフットワークで避けた。そして回転が弱まった瞬間を見逃さず、ゴッサムにワンツーパンチを叩き込んだ。
「はっはっは…。そうこなくてはな!」
口が切れてツッと流れた血を、ゴッサムは腕で拭いながら笑った。ゴッサムは再びダブルラリアットのモーションをとった。
「その技はもう見切った!」
ワタルは先ほどと同じように、華麗なフットワークでゴッサムの攻撃を避け、回転が弱まった瞬間に距離を詰めた。
「かかったなっ!」
「なにっ!?」
ゴッサムはワタルが近づいてきた瞬間に回転を止め、ワタルの襟首をつかんで引き寄せた。そしてワタルの頭を下に抑え込み、首を太ももで挟んだ。
「あの技は!もしや…!?」
解説の驚く声が会場に響く。
「ダブルラリアットに並ぶゴッサムの必殺技……パイルドライバーの構えだー!!」
ゴッサムはワタルの胴体に腕を回し持ち上げた。同時にワタルは、自分の視界が上下真っ逆さまひっくり返る。
「くらえっ!スクリューパイルドライバー!!!」
ゴッサムはワタルの身体を上下逆さまにして固定し、そのままの姿勢で高く跳びあがった。空中の最高到達地点でくるくると回転し、リングにワタルを叩きつけた。
「決まったー!回転の勢いもこめたスクリューパイルドライバー!!!これはさすがに勇者ワタルもダウンかーっ!?」
ゴッサムは勝利を確信し、リングを去ろうとした。しかし、さきほどの技の影響で砂埃がまっているリングには、ふらついた足どりで立ち上がるワタルの姿があった。
「おっとー!!!ゴッサムの必殺技をくらったにも関わらず、勇者ワタル…立ち上がったー!!」
頭から流血しながら、ワタルはなんとか立っていた。
「まだ……負けてない!僕はあなたを超えてみせる!!!」
ワタルを中心にブワッと強い風が巻き起こり、ゴッサムは思わず顔を伏せた。
タグ:波動拳 パイルドライバー
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