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彰、三神の手に堕ちる。

4 彰、ユリアンの狂気を知る。

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 いにしえより人間の世界には同性異性を問わず『魅惑の人』という人間を惑わす人間がいた。それは家系でもなければ地域特有の人種でもなく、生まれた時点で既に備わった奇異な能力で、ある程度成長した頃に本人の意思とは関係なく開眼された。
 史実では『魅惑の人』は一度その虜にされた権力者の愛玩に収まる者が多かったが、権力者はその『魅惑の人』を手元に置いたら、皆破滅への道を辿ったという。そのため革命時期には彼等も命を絶たされた。民衆は、彼等を君主を惑わした元凶と揶揄したから。しかしそれに反発する言葉は彼等にはなかった。言葉を発したところで革命は止められないと、皆分かっていたから。



*   *   *

 目を覚ました彰は、身体が動かせない事に違和感を覚えた。いや、身体が何かに嵌っていて四肢を動かせないのだ。

「なっ、何・・・あっ!」

 彰は、天井を多くの海の生物が泳いでいる姿に驚きの声をあげる。
 まるで水族館のようなそれは、人間界では見たこともない生物が悠々と泳いでいる。

「おはよう、ショウ。気分はどうだい?」

 すると奥から男の声がした。その声の主は自分に近づくと、屈んで四肢を固定された身体を撫で回す。

「ふぅ、うっ・・・」

 男の手の動きは彰の乳輪、臍、脇、更には脚の付け根と直接性器に触れるわけではなく、際どい部分を撫で回す。その手の感触に、彰は背筋に電流が走った。
 淫魔界に来てから、アルカシスや彼の配下達に抱かれた身体は指の腹が身体を掠める程度でも敏感に反応している。彼のように身体を撫でようものなら仰け反ってしまう。

「あれ?もう気持ちいいの?じゃあこのまま僕とセックスする?」

 目の前の艶やかな金色の長い髪を靡かせた男に彰は見覚えがあった。城からアルカシスと合流するため、ユリアンに運ばれた彰は地下に連れられ眠らされたのだ。その時見た。ユリアンではなく彼だったのだ。

「ロ、ロキ・・・」

 怯える彰が自分の名前を発した事に男は満足した様子でニコリと微笑んだ。

「正解。ユリアンの名前で呼ぶかと思っていたけど、ちゃんと覚えていてくれたんだね、嬉しいよ」
「ここは、どこ?」

 天井には海の生き物が泳いでいる。ここがアルカシスの城ではない事は彰もすぐに分かった。

「ここは深海にある水城って言って、水の神の棲まう城だよ。これから僕とさらに下層の世界に彰は行くんだ。この城は淫魔界との中間地さ」
「どうして、ユリアン兄さんに変身していたんだ?」

 震える彰の問いにロキはさらに微笑む。よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに。

「君を待っていたんだ。僕は淫魔王に見初められた君を、僕の妻にするためにあの城で淫魔に擬態して攫う機会を窺っていたんだ」
「俺を、待っていた・・・?」

ーー妻にするため?

 今までのユリアンの姿が、彰の脳内で回想する。彼は確かに自分に親密だった。始めて彼に会った時から『兄さんと呼んで』『可愛い』って言われる度、彼の過剰なまでの親密さを疑いもせずに受け入れてしまっていた。
 灰色の髪から自分にニコリと優しく微笑んでくれたその姿は、今は艶やかな金色の髪に邪心さを含んだ恐ろしい笑みに変わっていて、彰は言い知れない恐怖を感じた。

「そうだよ。僕はアルカシスが君と『主従契約書』を結ぶ儀式を見て、君こそ僕の妻に相応しいと直感したんだ。それからは君のお兄ちゃんとしてユリアンとして近づいた。予想通りすぐに君は僕に懐いてくれたし、アルカシスも全く僕に疑いの目を向ける事もなかった。だって完全に淫魔に擬態していたからね」

 彰の身体を撫でる手を引くと、ロキは指をパチンと鳴らした。すると彰の足元から細い繊毛を無数に生やしたイソギンチャクが現れた。イソギンチャクは細いその繊毛を揺らしながら、彰の後孔をくすぐるように刺激する。

「なっ、何だよこれ!離れろよ!」

 固定された足を閉じてイソギンチャク の侵入を拒もうとするが、足が全く動けない。まるで沼にはまったように、足が動かそうとしても動けないのだ。
 イソギンチャクは容赦なく彰の窄まった後孔の入り口に細い繊毛を細かく揺らしながらくすぐるようにこじ開けていく。

「ふっ、うっ、ん!や、やめろっ!」

 その部分はアルカシスに特に刺激され解された場所だ。挿入時に彰は後孔に力を入れて窄めるからと、一番丁寧に解されたのだ。そこにイソギンチャクの繊毛が容赦なく後孔に挿入された。

「やっ、いやぁ!これダメ取って!取って!ダメ!あっ、うっ、んっ!」

 挿入されたイソギンチャクの繊毛は、拒む彰の胎内で繊毛を拡げて腸壁をくすぐるように刺激する。繊毛一本一本が腸壁を刺激する度身体に強い疼きが彰を襲う。

「ううっ、あっ!やっ、取ってぇ、こんなのやだぁ・・・」
「大丈夫。心配しないで。そのイソギンチャクはショウの気持ちいいところを的確に刺激して、ショウを気持ち悦くしてくれるんだよ。ほら、アルカシスの事はもう忘れて、これからは神である僕と楽しく暮らそうよ」

 彰と目を合わせたまま、ロキが優しく微笑む。その姿は、どこかユリアンが自分に微笑んでくれた時と被ってしまい、彰はユリアンの姿を見たくなくて目を強く閉じた。

「ううぅ、やっ、ああっ、ん!」

 容赦ないイソギンチャクの胎内責めは、彰にとっては快楽よりも苦しさが勝っていた。このままこの快楽に屈してしまうと、アルカシスともう二度と会えないかもしれない。そうなれば、折角掴みかけた彼の真意も分からないままになってしまう。

 それではダメだ。
 早くここを出て、彼にもう一度会うんだ。

 イソギンチャクは彰の胎内だけでなく、外に残った繊毛は胎内を弄られて勃ちかけている彰のペニスに絡みつく。数本の細い繊毛が、ペニスの鈴口をこじ開けるように開くと尿道内に侵入した。

「ーーっ!!」

 尿道内に侵入した繊毛一本一本がさらに奥へと進んでいく感覚を感じ、彰は目を見開き声にならない悲鳴をあげた。

「ほらショウ、分かる?君の可愛いペニスに繊毛が入ったんだ。ほら、グリグリと中を刺激しているのが分かるだろ?可愛い君を、イソギンチャクが可愛がってくれているんだ」
「やっ、ダメっ、これは・・・!」

 このままじゃ、本当に堕とされてしまう。
 
 彰は身体に力を入れようと力むが、胎内を進むイソギンチャクの繊毛で力む度胎内に刺激が走ってしまう。

「ふあっ、ああっ、やっ」
「声がエロい。ショウも感じてきたかな?」

 すると奥から二人分の足音がこちらへ近づいて来た。訪れたのは黒髪の長身長髪の男性と彼の腕に絡んで寄り添うくすんだ金色の毛先が綺麗に揃えられたショートカットの男性だった。

 足音に気づいたロキは黒髪の男性に声をかけた。

「やぁ、オーディン兄さん。ライアン義理兄さんも。どうしたの?」
「そろそろライアンをまた妊娠させたくてね。また子宮を作ってもらおうと来たんだ」

 黒髪の男性オーディンに寄り添うように密着するライアンは恥ずかしそうにロキから目を逸らした。

「恥ずかしい?ライアン。これを受けるのも三回目になるというのに、全く可愛い」

 オーディンはライアンの額に優しくキスを落とす。オーディンはライアンの服を優しく脱がせると傍にあるカプセル型の容器にライアンを誘導する。その周囲はグニャグニャと壁が柔らかい。
 
 ライアンは慣れた様子で四肢をズボッと固定すると足元からあのイソギンチャクがウネウネとライアンの開かれた後孔に繊毛を挿入した。

「あっ、ああんっ!オーディンっ!これ、気持ちいいん!ああっ!も、もっと弄ってぇ!」

 イソギンチャクの繊毛が中へ進む度、ライアンは恍惚な表情を浮かべてオーディンに甘えるような声で言った。

「オー、ディンっ!お願い、見ててっ。また、あん!貴方との子、妊娠、する、準備っ、ああっん!する、から!ああっ、そこ好きぃ、もっと弄ってぇ」
「もちろんだ。我が愛しいライアン。たっぷりと気持ち悦くなって、また私との子を産もうね」
「ああっ、うれ、しい。僕、幸せぇ・・・ああっ、ああん!」

 ライアンはビクッと仰け反らせた。彼の両乳首には覆うよう二匹のイソギンチャクが密着し、グニャグニャと乳首を吸引しながら蠢いている。もう一体のイソギンチャクは二匹のイソギンチャクの間から触手を伸ばし、ライアンの臍に密着すると臍の周囲を一周させて固定する。すると臍にも、イソギンチャクの愛撫が施される。ベロベロと舌で舐められる感覚が気持ち良くて、ライアンは快感を表現するかのように喜び哭く。

「ああっ、これっ、これ一番好きぃ!気持ち、いい・・・」

 ライアンの後孔を嬲るイソギンチャクは彼の尻に密着し、彰と同じようにペニスの鈴口に繊毛を侵入させた。隣でイソギンチャクに嬲られている彰の尻にもイソギンチャクが密着し、両の乳首に二匹のイソギンチャクが張り付きグニュグニュと蠢いていた。臍にもライアンと同じようにイソギンチャクが張り付き、彼と同じように臍をベロベロと舌で舐めていく。

「ああっ、やぁん!」

 いつの間にか、彰の表情からも恍惚の姿が浮かんでいた。彰もライアンも、頬を赤く染め、目を閉じてわななき、イソギンチャクから与えられる快楽に悶えていた。

「お二人とも、楽しんでいらっしゃいますか?」

 快楽に悶える二人を見ているロキとオーディンの背後から、爬虫類のようなヌルヌルとした手を広げた男が穏やかな口調で言った。

「ライアン様は今回で三回目でいらっしゃるから、お手慣れされたご様子が伺えますな。ショウ様は今回始めてと聞いておりましたが・・・おやおや、もう馴染まれていらっしゃる」

 これはとても喜ばしい。
 
 彰とライアンの快感に悶える姿を穏やかに見守りながら、男はヌルヌルとした手を二人の勃起した竿を優しく掴むとヌルヌルした自身の手を潤滑油にしてゆっくりと扱いていく。

「ああっ、手気持ちいい~!ダメぇ、もぅ、イクゥ!」
「ああっ、ダメ!もう、無理ぃ!」

 竿を扱かれる刺激に二人はさらに悶える。絶頂が近いのか、二人とも視線は明後日の方を向き焦点が合っていなかった。

「「ああっ!!」」

 二人は男の手淫に同時に絶頂に達し、精液を迸らせた。
 彰は気怠さから、意識が朦朧としていくのが分かる。隣にはロキが微笑んでいて、彰が意識を手放していくのを優しく見守っていた。
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