ヒーロー王子

礼二えもん

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ヒーロー王子が倒すべき敵は果てしなく広がる世間という闇

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僕はヒーローとして毎日敵と戦っている。
そういう意味では子どもの頃のヒーローになりたいという夢が叶ったのかもしれない。
でも怪獣や怪人を倒して子どもたちから憧れの目で見られるような輝かしい勝利を得るタイプのヒーローにはなれなかった。
戦ってはいる。世の中という、どんな怪獣怪人より恐ろしく巨大な悪と。そして、いつもその敵に敗れている。命までは失ってないが心身ともにダメージがどんどん大きくなってきてる。
ヒーロー王子とは特別に選ばれた人間ではない。
誰でもがなれる、俗人が言うところのハードルの低いヒーローなのだ。そして俗人は、誰でもなれるヒーローにはなりたくないと言う。ヒーローは一般庶民より一段上じゃないと価値がないと思ってるのだ。
僕の目指すヒーローは、そんなものじゃない。人間の弱さを知り、それとともにありながら他者を思いやり自分の夢を悩みながら信じる。そんなただの人間なんだ。
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